クルマの性能を目一杯引き出せるのはディーラーのタイヤ
新車に装着されているタイヤと、タイヤ販売点などで売られているタイヤでは、たとえ同じ名前のタイヤであっても性能は若干異なる。したがって、タイヤが摩耗し、新品へ交換する際、理想的には新車装着時と同じタイヤを自動車メーカーの販売店で求めるほうがよい。しかし実際には、新車装着と同じサイズのタイヤを、銘柄を変えることも含めタイヤ販売店などで買うのが一般的ではないか。
【今さら聞けない】タイヤのエアバルブのゴムキャップの役割とは?
新車の開発において、タイヤも同時に走行試験を経ながら目標性能に合わせ調整されていく。開発されている新車の走行性能や快適性、また摩耗、燃費、原価に対し、自動車メーカーの要求に従った性能実現のため、タイヤメーカーは専用の開発を行っている。
それぞれの新車によって、車両重量や前後重量配分、駆動輪が異なり、また走行中のタイヤのトーインやキャンバーなど接地状態も、サスペンション形式やホイールアライメントの設定の仕方で違ってくる。
そうした細かい条件に対し、最適なタイヤ性能を発揮し、新車がよりよい商品性を得られるように専用開発されているのである。
したがって、所有するクルマの最良の性能を引き続き維持したいと思うなら、新車購入時の販売店などで新車装着と同じタイヤを手に入れるのがよいことになる。ただし、その場合は正価で買うことになるので、タイヤ販売店やガソリンスタンドなどで同じ寸法の市販タイヤを買うより割高になる傾向にある。
では、一般市販タイヤを装着すると不具合が生じるかといえば、そういうことはないはずだ。市販タイヤは、その寸法に合うクルマであればどの車種に装着しても不具合が出ないよう、複数の車種を使ってタイヤメーカーは開発している。とはいえ、複数の車種の異なる条件に対し不都合なく性能を満たすため、全体的には可もなく不可もなくというまとめかたで開発が進められる。
洋服で言えば、オーダーメイドかレディメイドかというのと似ている。オーダーメイドの服であればその人の体系にぴったり合った寸法で仕上がり、シルエットも美しい。レディメイドの場合は、寸法がほぼ合えば細部のシルエットの仕上がりにはこだわらないといった買い方になるだろう。
それでも全体的な見栄えはそれほど悪いわけではない。また、レディメイドであれば大量生産できるので、価格も手ごろな金額に落ち着く。タイヤも、同じ寸法の不特定多数の車種に販売できるとなれば、大量生産し価格を安く抑えることも可能だ。
タイヤは消耗品なので、手ごろな価格であれば買い替えしやすく、溝の減ったタイヤは早めに交換する方が安全でもある。また市販タイヤは、同じ寸法でもタイヤメーカーによって個性が異なる場合もあるので、いろいろな銘柄を選び、走行性能や静粛性、燃費などを比べてみるのも興味深いかもしれない。
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