株式会社e-Mobility Powerへ
先日、現状の日本国内の充電設備状況と今後の展開について理解を深めるため、充電インフラ整備を強力に展開している株式会社e-Mobility Powerを訪ねた。
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この会社の株主は、東京電力、中部電力、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車、日本政策投資銀行であることからも、国内で最大、最強の充電設備普及会社である事が判ろう。
現地では、企画部事業統括部長の花村様よりお話を伺ったが、私が実際にEVに乗って経験を積んでいるため、実態に即したかなり突っ込んだ話を聞くことが出来た。
その全てをここで紹介する事はできないが、掻い摘んで紹介してみよう。
国内の充電設備 設置の現状
まず、現在、国内には国の補助金と自動車4会社の資金により約3万基(普通充電器2万1198基、急速充電器8265基)のEV用充電器が設置されているが、その設置場所はバラツキがあり、まだ、地方では15km四方に1基も充電器がない空白地域がかなり存在していて、逆に都市部では、設置数は多いものの有料駐車場や自動車販社に集中していて、使い勝手が悪いのが現状である。
しかもそのうちの大半が3kWの普通充電器と50kW以下の急速充電器で、特に急速についてはパワー不足と劣化の問題があり、リプレースが推奨されている。
この状況から、新たな将来の目標としては、2030年までに15万基の公共充電器と1000基の水素ステーションの整備を目指すことが設定された。
充電インフラの整備については大きく基礎充電、経路充電、目的地充電の3タイプに分類され、それぞれに様々な問題が提起されている。
基礎充電は、自宅やマンションなどEVの所有者が住んでいる場所での日常繰り返す充電のことで、個人宅の場合は電力量のチェックをしたうえで普通充電器を設置すれば問題ないが、マンションでは駐車場に設置する場合、管理組合の決議が必要となり、導入コストについても誰がどのように負担するのかの問題が生ずる。
また、駐車場への設置数や方法についても十分な協議が必要である。この辺りは、合意形成のための決議の方法の改正が必要になるだろう。
マンションでの設置については国の補助金の対象であるため、設置を検討するところが増加しており、また、新築では、既に設置済みという施設も出てきている。
充電容量でも、国産の「日産サクラ」などの軽では大きな問題にならないが、大容量のバッテリーを持つ最近の輸入車などでは最低6kWの充電器の設置が望ましい。
しかし、この場合は、家屋全体の電気容量の計算が必要となって来る。無論、ポルシェの8kWやテスラの9.5kWであれば更に利便性は高いが、それなりの初期費用とランニングコストは掛かる。
経路充電、すなわち目的地に行く途中での充電では、基本的に急速充電器が、しかも可能な限り大容量の充電器が必要で、高速道路のSAなどで初期に設置された50kW以下の急速充電器の入れ替えと、設置数の増加が望まれている。
また、高速道路のSAでは充電渋滞の発生が大きな問題である。実際に私も先日、充電器の設置が1基しか無い東海北陸自動車道のひるがの高原SAでテスラとかちあい、充電をあきらめたことが思い出される。
一般的に言って、稼働率が20%を超えると渋滞が発生してしまうというデータがあるようで、都市周辺の高速道路のSAでは早急な対策が必要である。
この対策としては、現在、首都高の大黒パーキングにあるような6口タイプの200kW大容量の充電装置が計画されていて、これが全国に普及すれば、かなりの改善が見込めるはずだ。
この場合、補助金は1800万円まで出て、しかも必ず必要な高圧受電装置も対象に加えられる。
因みにEU諸国では、本国UKの編集部の記事でも記されているように、このタイプで200-350kWの充電器が設置され始めており、かの地とは、大きな落差がある。
空白地対策も、補助金の増額などで対処をしているが、じっさいのところ、需要が無いとなかなか設置に至らないのが現状であろう。
一番の問題 目的地充電
さて、私が一番問題としているのは目的地充電である。
これについては、経済産業省の報告書にも従業員駐車場や商業施設、宿泊施設と書かれているだけで、宿泊施設の特殊な事情については、残念ながら議論された形跡がない。
このうち、従業員駐車場は8時間労働としても個人宅と同様の普通充電器の設置で解決出来るだろう。
職場の場合、基本的に自宅で充電してくる人が殆どのはずだから数も大きな問題にはならないだろう。
また、商業施設では精々数時間の滞在なので急速充電器の設置が望ましいが、これも、無いよりはあった方が良いレベルであろう。
しかし、これまでも、何回もこの欄で主張しているような宿泊施設の特殊性については、省庁も含めてどうやら正確に認識されておらず、検討されたこともないようであった。
改めて、宿泊施設の特殊性をおさらいすると、仮に50室ある旅館であれば、EVの普及に伴い、毎日、全く違う宿泊者が最大50組、すなわち50台のEVが来館するはずで、その際の充電をどうするのかは大きな問題であり、他にこのような例はない。
しかし、それぞれの旅館で、部屋数分だけの充電器を用意するのは現実には難しく、かと言って、途中のどこかの急速充電器を利用しても、翌朝、満充電で出発できる保証はない。
旅行などでは、翌日、満充電で朝を迎えるのが大きな安心材料で、長距離になればなるほどその必要性は高まるはずだ。
全国に数万件もある旅館がしっかり充電器を備える、というのは、「EVでの旅行の安心担保」という意味で、最重要項目の1つではないかと思われる。
将来的には、部屋の予約と充電器の予約はセットになるはずだし、現在、無料が殆どの充電費用も有料になるのは眼に見えている。
これらの条件を全て解決しないと宿泊施設の問題は解決しないのである。
では、まず、どのような宿泊施設にどのくらいの充電器を設置すればよいのか、これは、全国レベルでレギュレーションを決め、特別な補助金を設定してでも、いち早く統一で設置する必要があると思う。
そこで、現在、私が所属している全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会として、関係各所に呼びかけをし、来年度にかけ一気に全国の旅館ホテルに設置をできないかと考えている。
ある程度、企画がまとまったら何れご報告したいと思う。
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