例えば敷地の広さを「東京ドーム何個分」と言い表すように、クルマの荷室のサイズを測るものさしとして使われるのがゴルフのキャディバッグだ。ゴルフをプレーしない者にとっては、「キャディバッグが何本入るとか、そんなの知らんわ!」という声が聞こえてきそうだが、自動車メーカー各社は、自動車保有率が高いゴルファー層からの支持を獲得すべく、ラゲッジスペースにおけるキャディバッグの積載性を大いに意識しているのは間違いないだろう。
そのためなのか、世の中には荷物のベンチマークであるキャディバッグの積載を意識したであろう意外な“ゴルファー仕様”のクルマも少なくない。もちろん、大きなキャビンやラゲッジルームを持つ1BOX、SUVを選べばスペースの心配など無用だろうが、積載性能のみで愛車を選ぶのもなんだかつまらない。「ワタシ、キャディバッグを載せると凄いんです」なラインナップを探ってみた。
「キャディバッグがこんなに載るの!??」実はゴルファーご用達の国産車たち
文/藤井順一、写真/藤井順一、スズキ、トヨタ、ホンダ、マツダ
載せられるキャディバッグのサイズ、〇型、〇インチ、って何だ?
前に伸びた脚で地面が平坦でなくても自立させやすいスタンド式は、セルフプレー(キャディが帯同しない)が中心の欧米で人気。ナイロン製など小型、軽量なものが多い
キャディバッグと一口に言っても、そのサイズは大型のものから、小ぶりなタイプまで実はさまざまだ。大きくはカートタイプと呼ばれる円筒状で直立するモデルと、スタンドタイプと呼ばれる、格納式の脚で支えて斜めに立つモデルがあり、一般にカートタイプのほうがサイズや重量ともに大きめで、スタンド式は比較的軽量なものが多い。
標準的なキャディバッグは、3kg前後の重量(クラブを含む総重量は10kg前後)で、8.5型の口径。口径とはクラブを挿し込む楕円形の口枠部分の縦の長さを表したもので、8.5型なら、8.5インチ(1inch=2.54cm、約22cm)を意味する。
プロゴルファーなどが使用する大容量タイプで10型、ゴルフ用の乗用カートに載せずに自身でかついでプレーしやすい軽量なタイプで7型と幅があり、口径が小さいほどサイズも小ぶりとなる。また、対応可能なクラブの長さとして「47インチ対応」と、ルール改正以前の長尺クラブの長さに対応できることを表記している場合もある。
キャディバッグが積めるクルマを考える時、実はこうしたバッグのサイズ選びも大きなポイントで、「何型までは積める」、「ドライバーやウッド類を抜けばトランクに入る」といった情報を確認し、クルマに合わせたキャディバッグを選ぶことで、かなり車種の選択肢を広げることができる。
ゴルフ車としての必要条件は、キャディバッグが横置きできること
MAZDA3の前身、マツダ・アクセラのラゲッジスペース。標準サイズのキャディバッグが横置きでき、見た目以上の収納力を誇る
キャディバッグをトランクに収納する際、ラゲッジスペースの幅で真横に横置きできるかは一つのポイントだ。
一般に4名乗車のクルマであれば、分割可倒の後部座席を倒してキャディバッグを縦に寝かせて置けば、3名乗車で3本のキャディバッグまでは無理なく積める。だが4名乗車で4本キャディバッグを収納できるクルマは限られる。ラゲッジスペースに横置きでるクルマなら、斜めに積む必要があるクルマよりもスペースを有効に使え、座席を犠牲にすることなく積載できる可能性があるからだ。
首都圏など都市生活者のゴルファーは、ゴルフ場へのアクセスにクルマを使用することがほとんどだ。ゴルフは最大4名までを一組として、同時にプレーが可能なため、乗合でコースへ向かう場合、最大4名乗車で4本のキャディバッグを積めるかは、ゴルフカーとしての分水嶺とも言える。
1本でも大きめなキャディバッグを横置きできるスペースがあると、4名乗車で4本のキャディバッグを積載できる可能性が高まるし、練習場を訪れる場合にも、クルマのトランクにバッグ1本がスムーズに積載できるかで、ゴルファーが受けるストレスは変わってくる。
実はミドルサイズのクルマであってもキャディバッグを横置きできないクルマは意外に多いのだ。そんななか、積載性能を高そうに見せる演出のためか、はたまた単に開発者にゴルフ好きがいるのか、コンパクトカーであってもキャディバッグを横置きできるクルマも少なからず存在している。
開発陣がゴルフ好きなのか!? ゴルファーの隠れ人気車2選
半導体不足と人気の高さから、いまだ納車待ちが1年以上といわれる現行「スズキ・ジムニー」もそんな一台だ。さすがに後部座席を倒す必要はあるが、幅1300×高さ850×奥行980mmというアウトドア仕様の広大なラゲッジスペースは、実はキャディバッグを2本横置きで積載でき、2サム(2名でラウンドすること)プレーで大活躍してくれる。
幅1300×高さ850×奥行980mmのゆとりのラゲッジスペースを持つジムニーは、キャディバッグを2本横置きで積載して、さらに2名乗車可能と、軽自動車ながらゴルフ車として活躍してくれる優秀車
また、2013年デビューの初代「ホンダ・ヴェゼル」は、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用したことでクーペライクなスタイリッシュな外観からは想像できないゆとりある室内空間が自慢。荷室の幅1180×高さ830×奥行800mmのラゲッジスペースには、小ぶりなスタンドタイプのキャディバッグという条件は付くが、コンパクトなSUVでありながら、4名乗車でキャディバッグを4本横置きで積み込むことができた。
ただ、2代目となる現行モデルだが、荷室幅が100mmほど狭くなったことから、46インチドライバーは(約115cm)をバッグに挿すと考えると、初代のほうがゴルフ車としてはふさわしいと言える。
4名乗車で小ぶりなキャディバッグなら4本横置きで積める初代ヴェゼルの幅1180×高さ830×奥行800mmのラゲッジスペース。初代のほうがゴルファーの使い勝手は良い!?
トヨタのコンパクトカーはゴルフにうってつけ!!
キャディバッグの積載においても販売台数世界ナンバー1の自動車メーカーであるトヨタは圧巻のパフォーマンスを見せつける。
4名乗車でキャディバッグ4本積載が余裕の「プリウス」(4代目)
例えば2015年に発表された先代「プリウス」。ハイブリッドカーながらバッテリーの小型化などにより確保されたラゲッジルームは幅1390×高715×奥行890mm、容量502リッター(2WD・スペアタイヤレス仕様)を誇った。
現行「カローラツーリング」のラゲッジ容量が390リッター、「トヨタ・ハリヤー」が409リッターであることから考えても、先代プリウスのパッケージングは驚くばかり、荷室幅だけなら今年発表された最新モデルよりも広いスペースを確保していた。
そのため、4名乗車のまま大型の9.5インチのキャディバッグを4本収納でき、開口部も広く積み下ろしも容易。未来的なエクステリアデザインであってもゴルフにおいて抜群の実用性を確保しているのだ。
そんな隠れゴルフ車としての実用的な造りは、よりコンパクトなモデルにも貫かれている。
ハイブリッドカーならではの燃費性能と優れたパッケージングで、ゴルフカーとしても優秀だった先代プリウス
クーペルックの「C-HR」だってキャディバッグを横置き
スタイリッシュなデザインで人気の高いクロスオーバーモデルの「C-HR」。寝かされたCピラーやそこに内蔵するように配置されたドアハンドルなどクーペを思わせるルックスは、一見パッケージングよりデザイン性を重視したものに思われるが、実は見た目以上にラゲッジスペースを確保している。幅1100×高675×奥行770mm、容量318リッターで、実はキャディバッグを横置きで1本積載可能だ。
1本だけ横置きできたって意味がない、そう思う方もいるかもしれないが、ドライバーなど長いクラブを抜かなければ横幅が収まらないクルマでは、ゴルフ場に到着後、抜いたクラブをバッグに戻し忘れて、ラウンド前に慌ててクルマに戻るなんてトラブルも少なくない。メンタルスポーツであるゴルフでは、こういう余計な手間でスコアを崩すこともある。1本でも横置きできるラゲッジスペースがあれば、ゴルフの快適性はぐっと上がるのだ。
2014年パリ自動車ショーでお披露目されたコンセプトカーそのままのデザインで発売された流麗なC-HRでさえ、キャディバッグを横置きできるパッケージングを備える
C-HRより実は優秀!? 「カローラスポーツ」&「ヤリス クロス」
そういう意味でも、幅1390×高さ770×奥行800mm、のラゲッジスペースを持つ、カローラスポーツも9型サイズのキャディバッグが1本ながらしっかり横置きできる優秀さだ。
さらにトヨタではより下のクラスでもキャディバッグが横置きできるから驚きだ。「ヤリス」のクロスオーバーモデル「ヤリス クロス」は、フルサイズのキャディバッグを2本横置きできる。幅1400×高732×奥行820mm、容量390リッターのラゲッジスペースは兄貴分にあたる「C-HR」よりもさらに広い。
ラゲッジスペース手前の両サイドが抉れており、46インチのドライバーを挿したキャディバッグがまさに“シンデレラフィット”がごとくそのまま収納できる。
キャディバッグがすっぽり収まるヤリス クロスのラゲッジ。2WDモデルならデッキボードを下段にすることで荷室の高さを118mm拡大することができる
ゴルフカーとしてもイケるコンパクトミニバン「シエンタ」
ファミリーに人気のコンパクトミニバン「トヨタ・シエンタ」。トヨタ製ミニバン唯一の5ナンバーで取り回しの良いボディサイズと、低床設計の優れたパッケージングは、4名乗車でキャディバッグ4本積載もこなせる、ゴルフカーとしても注目の一台と言える。
まずは2列シートの5人乗りモデル。幅1265×高さ1070×840mmのラゲッジスペースは、シートを倒すことなく、4名分の荷物とキャディバッグを積載するのに十分な広さだ。
また、3列シート7人乗りモデルは持ち前のシートアレンジが性能を発揮する。2列目と3列目のシートを片側だけ倒し、そこにキャディバッグ4本分のスペースを確保。これにより、1列名が2名、2列目1名、3列目1名の変則的な4名乗車とはなるが、5人乗りモデルの4名乗車でラゲッジいっぱいに荷物を積載するよりも乗車中の重量バランスは良いかもしれない。後部座席同士の会話がスムーズにできないことに目をつぶれば、ゴルファーズビークルとしてはかなり優秀な存在だろう。
22列シート6人乗りモデルでもゴルフ車として十分に機能してくれるシエンタ。3列シートもシートアレンジ次第でキャディバッグ4本分のスペースを確保できる
まとめ
古くから、ドイツの自動車メーカー御三家のセダンタイプにはラゲッジにキャディバッグの積載を意識したかのようなスペースがあるということもあってか、日本ではゴルフ車というと輸入車のイメージが強い。しかし、トヨタ車の全方位的なキャディバッグ積載力は、ゴルファーならばもっと目を向けるべきかもしれない。
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みんなのコメント
今はレクサスですら入らない、斜めに入れて3個
あとプリウスに4個は絶対に入らないです
だいたいプリウスに4人も乗ってくる
ゴルファーなんて、いねーよ
自社HPでも修正せずこのまま
記事に対する責任の無さを感じますね