ここ10年で劇的に進化!? クルマ全体の燃費のうち寄与率は実に2割以上ともいわれるタイヤの燃費性能がいま、大きく進化しています。
特に直近10年間で進化した、低燃費タイヤの驚くべき性能とは?
「高空気圧=破裂しやすい」は間違い! 月イチ点検で気を付けたいタイヤの低空気圧
文/斎藤聡 写真/YOKOHAMA、編集部
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10年で大きく変わった低燃費タイヤの位置づけと進化
省燃費性能タイヤの開発は、1990年代から各メーカーで開始され、2010年代に大きく進化。写真のブルーアース(ヨコハマ)やエコピア(ブリヂストン)などのブランドが登場し、各社がしのぎを削る
最近のタイヤは省燃費性能が大きく取り上げられています。いま世界的にもCO2削減が叫ばれていて、自動車もCO2低減=燃費性能アップに注目が集まっています。
タイヤの転がり抵抗とグリップ性能がトレードオフの関係にあるというのはよく知られています。つまり、転がり抵抗を少なくするとグリップ性能が低くなって操縦安定性を悪化させてしまうということです。
クルマの操縦安定性を確保する観点から、転がり抵抗の少ないタイヤの開発は、10年くらい前まではそれほど積極的におこなわれていませんでした。けれどもクルマのパワーユニットの改良だけでは燃費性能の向上にも限界があるため、転がり抵抗の少ないタイヤの開発に注目が集まるようになってきました。
そして、トレードオフの関係にあるとされていた低転がり抵抗とグリップ性能をかなり高いレベルで両立できるようになってきたのです。
これは結局のところ「低燃費性能」がタイヤの性能として注目されるようになってきたことで、低燃費タイヤの開発に予算が割けるようになった、ということなんです。
横浜ゴムでは、1998年にECOタイヤ DNAの販売から開始、2010年より“環境+人に優しい”をコンセプトに開発されたBluEarthが登場した
以前からミシュランのグリーンタイヤシリーズやヨコハマタイヤのDNAシリーズなど低燃費性能を売りにしたタイヤが作られていたように、タイヤメーカーも、低燃費タイヤの研究をおこなっていたのです。
それが2008年に開催され、CO2問題を大きく取り上げた洞爺湖サミットが大きなきっかけになって低燃費タイヤというカテゴリーが作られることになったのです。
客観的な認定制度でタイヤの燃費性能がハッキリわかるように
2010年、タイヤラベリング制度開始され、転がり抵抗がAAA~CでA以上、転がり抵抗がa~dの範囲にあるものが低燃費タイヤと定義して表示することが許可されている
具体的には低燃費性能とウェットグリップを表示することで、タイヤの性能を表示するタイヤラベリング制度が始まりました。ちなみに、現在では消費者庁が定める「景品表示法に基づく公正競争規則」によって表示内容の正確さは厳しく規制されています。
国産タイヤメーカーと主要輸入タイヤメーカーのほとんどがタイヤラベリング制度に参加し、テストを受けてグレーディング表示を行っています。新品タイヤのトレッドに貼ってある低燃費タイヤのラベルです。
この表示は厳密なテストによって、同銘柄のタイヤであってもすべてのサイズをテストし等級分け(グレーディング)されることになっています。
等級は、転がり抵抗はAAA~Cに、ウェットグリップはa~dに分類されています。このうち転がり抵抗がA以上で、転がり抵抗がa~dの範囲にあるものを「低燃費タイヤ」と定義して表記することが許されています。
では実際に、転がり抵抗が少なくなるとどのくらいクルマの燃費はよくなるのでしょう。
タイヤを替えるだけで燃費が4%改善する
タイヤグレーディングを例にとると、転がり抵抗「C」のタイヤを基準にすると、「B」で1%、「A」で2%、「AA」で3%、「AAA」で4%燃費が改善するそうです。もちろんこれは参考値ですが、大雑把にタイヤグレーディングで1グレード上がると、燃費は1%程度向上するということになります。
タイヤの自動車燃費への寄与率(どのくらい影響を与えているかの割合)は、一般道で7~10%。これを基準に算出した数字です。「C」グレードの転がり抵抗のタイヤから最高ランクの「AAA」グレードのタイヤに履き替えた場合、燃費は4%良くなり、仮にリッター20キロのクルマだとすると20.8km/Lとなるわけです。
このくらいしか燃費が良くならないのならあえてエコタイヤを選ばなくてもいいじゃないか、と思われる人も少なくないと思います。
ただ、このデータは一般道での燃費向上です。これが高速道路で、限りなく一定速走行が多い場面になると、クルマの燃費に対するタイヤの寄与率は20~25%まで上がります。25%の寄与率だとすると、20.0km/Lのクルマの燃費は22.0km/Lになります。
最近の低燃費タイヤの性能は日々向上。ウェット性と低燃費性を両立させるため、ダブルシリカとブレンドポリマーを採用し、ゴムコンパウンド内部の「シリカ」分散性・均一性を向上するなどの工夫も(写真はブルーアースの例)
それに加えて興味深いのが、燃費向上にまつわる様々な相乗効果です。現在のクルマはエンジンやドライブトレーン系のフリクションロスが少なくなっているので、アクセルオフによる燃料カット機能や、走行抵抗が少なくなったことによる多段ギア化の効果などによって、試算以上の低燃費を記録することも少なくありません。
実際、自車で「B」クラスの転がり抵抗のタイヤを「AA」クラスに履き替えてみたところ、郊外路や高速道路では1~2km/Lくらいの省燃費効果を経験しました。
筆者だけでなく省燃費タイヤを履いて予想以上に燃費が良くなったことを実感した人は少なくないのではないでしょうか。
とくに、最近の低燃費タイヤは、ゴムコンパウンドに分子レベルで手を加えたり、燃費に効果がある補強材である「シリカ」の(ゴムの中の)分散性をよくすることで、コンスタントに転がり抵抗を少なくすることができるようになりました。
最新のタイヤは走り方を変えても低燃費性能期待通りに
最新の省燃費タイヤは、性能が上がり、期待どおりの燃費を得ることが出来るようになった。今なお、タイヤ性能が進んでおり、近い将来、低燃費性能を満たしたスポーツタイヤの誕生が期待される
タイヤラベリング制度が始まった頃の低燃費タイヤは、ツボにはまると燃費の良さが実感できるのに、ちょっとタイヤに負荷をかけるような走り方をすると案外低燃費性能の恩恵が感じられなくなってしまう、ということもありました。
これに対して最新の省燃費タイヤは、走り方を変えても、ほぼ期待どおりの燃費が得られるようになりました。低燃費性能がとても安定してきているといえると思います。
転がり抵抗はタイヤグレーディングによってランク分けされているので、とびぬけた低燃費性能のタイヤが登場するということは、ここ暫くないと思いますが、それでも従来転がり抵抗「A」だったものが「AA」になったり、「A」のままウェットグリップが「b」とか「a」になったりという低燃費性能、グリップ性能の進化はタイヤが多くみられるようになってきました。
省燃費タイヤが本格的に作られるようになってまだ10年ですから、これからさらにタイヤが進化することは十分に期待できます。
いまでもミシュランのハイグリップ系ウルトラ・ハイ・パフォーマンス・タイヤ=ミシュラン「パイロットスポーツ4S」の一部サイズに転がり抵抗A/ウエットグリップaのタイヤがあります。
今後モーター駆動のスポーツモデルの登場は当然期待できるわけで、そうなると低燃費性能を満たしたスポーツタイヤが登場することも予想できます。
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みんなのコメント
燃費のためにそれ以外が犠牲になるタイヤ。
走っていて乗り心地もドライバビリティも
不自然で不快な気分になり、運転する気が失せるから
そのタイヤを履いたクルマには乗りたくなくなる。
それくらいタイヤ選びって大事なことで、
いま付いているタイヤの特性を変えてしまうと
良くも悪くもまるでクルマが変わってしまったように
なってしまうので要注意。
タイヤの燃費性能はここ10年で劇的にあがってる。