■燃料電池バス「SORA」は期待以上の出来!
2019年10月24日から開幕した第46回東京モーターショー2019は、大きく分けて2か所の会場で展開されています。
メインとなる会場は東京都江東区の東京ビッグサイトで、もうひとつが東京テレポート駅の前にある青海会場です。
この2か所の距離は地図上で1.7kmほどあり、歩くと20分から30分かかるため、会期中は無料のシャトルバスが運行されています。
シャトルバスの車両は、普通の路線バスや観光バスが使われているのですが、なかに見慣れないバスが混じっていました。それが、トヨタが2019年3月に発売した、量販型燃料電池バス「SORA(ソラ)」です。
現行のソラは2019年8月に改良されたモデルで、トヨタの燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」用に開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能と、騒音や振動が少ない快適な乗り心地を実現しているといいます。
また、大容量外部給電システムを搭載しており、高出力かつ大容量の電源供給能力(最高出力9kW、供給電力量235kWh)を備え、災害時に電源としての利用が可能で、いざというときのインフラとして使うことも考えられています。
このソラにタイミングよく乗ることができたので、普通のバスとの違いを探ってみました。
まず、大きさはよく見る路線バスと変わりませんが外観のデザインは未来的で、色使いからゲーム機や音楽プレーヤーのような「ガジェット」をイメージさせます。
ノンステップとなっている前側のドアから乗り込むと、車内は普通の路線バスのデザインを一気にモダンな感じにしたようで斬新です。運転席まわりも液晶モニターが並んでおり、一番大型のモニターには車内外の様子が映し出されていました。
車内中程の頭上には横長の液晶モニターがあり、ソラの仕組みを解説する映像が流され、水素を使った燃料電池車がどういうものか理解できるようになっています。
燃料電池により発電して動力はモーターなので、停車時の振動も皆無ですが、走り出して驚いたのがスムースさです。急加速を抑制する機能を搭載していることと、車内はかなり混雑してざわざわしてこともあり、モーター音もほとんど聞こえない状況で、余計に発進時のスムースさが強調されました。
乗り心地はややゴツゴツしており、観光バスなどのフワフワ感というよりも、路線バスに近い印象です。実際にソラは路線バスとして使われることを想定しているので、サスペンションの硬さには納得できます。
したがってロードノイズも多めに感じましたが、エンジンの振動や音が無いからこそ、ロードノイズが目立ったのかもしれません。
繰り返しますが、最後尾の方に乗車していた関係で、エンジンを搭載していないことによる音と振動の無さが顕著に感じられ、わずか10分ほどの乗車でも近未来を体験できたとプチ感動しました。
※ ※ ※
ソラはすでに「都営バス」や「京浜急行バス」に納入されていますので、乗ったことがあるという人もいるのではないでしょうか。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京エリアを中心に燃料電池バスの導入が進められており、街でソラを見かける機会は今後ますます増えることでしょう。
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