往年のホットハッチを想起させる“らしさ”満点のフロントマスク
日本に上陸している唯一のイタリアンMPVとして、イタリア車好きのファミリー層やアクティブな趣味人たちから支持を集めるフィアット「ドブロ」がマイナーチェンジ。資料を見る限り、機構的な部分に手は入っておらずフェイスリフトがメインといった感じですが、写真だけでも雰囲気がずいぶん違って見えました。
【画像】「えっ!…」ミニバンとは思えない元気な走り! これが進化したフィアットのミニバン「ドブロ」です(30枚以上)
実車を前にすると、その印象はさらに強くなります。ヘッドライトが新デザインのLED式となり、顔の中心にあるブランドロゴのバッジは最新のレタリングに。
バンパーは素材が変更され、色もグロスブラックとなり、通常ならメッキパーツが使われがちなブランド&車名ロゴ、フロントの新しいスキッドプレートなどはダークトーンで統一されています。加えて、16インチのアルミホイールがブラック仕上げとなったこともあって、全体的にグッと精悍さを増したように思います。
ヴォラーレ ブルー、ジェラート ホワイト、シネマ ブラックという3色のボディカラーのうち、僕(嶋田智之)に与えられた試乗車のボディカラーはブラックだったこともあって、そのイメージはさらに強く感じられたのでした。「ここまで雰囲気が引き締まったのなら、いっそのこと車高を30mmぐらい下げるともっとカッコよくなりそう」と、よからぬ想像までしてしまうほど。
と同時に、左側ヘッドランプの横、ややセンター寄りに、1980年代から1990年代にかけてのフィアットのエンブレムをモチーフとしたトリムがあしらわれているせいか、ふと当時のよくできたホットハッチ「プント アバルト」辺りを連想してしまいました。おそらく古くからのフィアットファンの中には、同じ感想を抱く人も少なからずいることでしょう。
インテリアも、パッと見では大きな変化はないように感じるかもしれませんが、実はいろいろ様変わりしていました。
全体的にブラック基調であることに変わりはないのですが、ダッシュボードやドアパネルのところどころにさり気なくシルバーのアクセントがあしらわれる、落ち着いた空間となっています。
シートはネイビーブルーのファブリックがメイン素材で、前席の背もたれには“FIAT”のロゴが刻まれたシルバーのアクセントラインが入ります。
ステアリングは下側のみD字型だった先代から、上下にD字を合わせたような形状となり、スポーク部分にクルーズコントロールなどのスイッチが移設されました。
その奥にあるメーターパネルはアナログ式から色鮮やかなTFTマルチファンクションディスプレイに。そして、ダッシュボード中央のタッチスクリーンは10インチへと2インチ拡大されています。
シフトセレクターは、ダイヤル式からレバー式に変更。クルマの性質上、もちろんゴージャスではなくシンプルではあるのですが、それでも足りないものなどはなく、扱いやすい操作系と居心地のよさを併せ持ったインテリア、といっていいでしょう。
イタリア車好きも納得の元気のいいドライブフィール
「ドブロ」シリーズには、2列シート仕様(5人乗り)の「ドブロ」と、3列シート仕様(7人乗り)の「ドブロ マキシ」がラインナップされていますが、今回の試乗車は前者でした。
そんな新型「ドブロ」で走り出してみると、思わずニンマリしてしまいました。
「ドブロ」はステランティスグループの中のプジョー「リフター」、シトロエン「ベルランド」とプラットフォームやパワートレーンを共有していて、エンジンは130ps/300Nmの1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボ、トランスミッションは8速ATと、これまた共通です。
パワートレインに関してはプジョーもシトロエンもフィアットもなく、3車とも同じパフォーマンス、同じフィーリングなのですが、だからといってなんら不満はありません。というのも、このエンジンとトランスミッションはともに、「名機!」と賞賛したくなるほどのコンビネーションを見せる組み合わせだからです。
ディーゼルらしく低回転域から太いトルクを提供してくれて、そこから先の回転上昇も実になめらかで心地よく、スロットル操作に対するレスポンスも良好。いかなる場面でも力不足を感じることなく、おだやかに走りたいときはしっとりと同調してくれる一方、元気よく走りたいときはダイナミックに応えてくれるという両面を持ち合わせています。それでいて、その気になって走ってもうれしくなるほど燃費がいい……と、死角らしい死角が見つけられず、とにかく乗っているときの満足感が高いのです。
確かに、サウンドはディーゼル特有といえる範疇のものではあるのですが、やかましいとか耳ざわりだとか、そんな風に思ったことはなく、むしろ、なんとなくエネルギッシュに感じられて、楽しい気分になるときすらあるくらいでした。いかにもラテン車のディーゼル、といったところでしょう。
フットワークに関しても、同様の印象でした。
「ドブロ」は……「リフター」も「ベルランゴ」もそうなのですが……コンパクトMPVとは思えないくらい、実に気持ちよく曲がってくれるモデルなのです。もちろん、マイナーチェンジを受けたからといってその美点に変わりがあるはずもなく、ジワーッとしなやかにロールしていき、腰をグッと粘らせながらきれいにコーナーをクリアしていきます。
そのときのステアリング操作に対するクルマの反応も、かなり正確。ステアリングを切り込んでいくときのフィールも、なかなか良好です。なんだかスポーツカーについて語ってるかのようですが、自然とそんな風なモノいいになってしまうくらいスポーティ。ファン・トゥ・ドライブといっても過言じゃないくらいの乗り味を披露してくれるのです。
乗り心地も楽々と及第点を超えています。それどころか、快適といえる部類。サスペンションはしなやかに伸び縮みしてフラットな姿勢を保とうとしてくれるし、段差やうねりのような外乱を不快なショックとして乗員に伝えてくることもありません。商用車ベースとして設計されたことが信じられないくらいです。
そうしたところも「リフター」や「ベルランゴ」と基本は同じなのですが、でも……と気づいてしまいました。まぁ「リフター」は、先代のときから車高が異なることもあって少々違っていたのですが、酷似していて違いがあるかどうか微妙だった「ベルランゴ」と「ドブロ」の乗り味が、この新型では差違があるように感じられたのです。
新型「ベルランゴ」は、タイヤ銘柄が変わったことで先代よりも乗り味が若干ながらさらにしなやかに、さらにシトロエンらしくなってます。「ドブロ」はどうかといえば、やはりタイヤが変わったことで若干ながら先代より引き締まった乗り味を示すようになり、そこがスポーティなフィールを強調してるかのように感じられたのです。そこが、たとえ実用車であってもスポーティさを忘れない、フィアットらしさを強調してるように感じられたのです。
いずれにしても、同じベクトル上の近似値にあるので、ちょっと感じとりにくいところではあるのですが、実用車であってもスポーティなテイストは絶対に忘れないフィアット“らしさ”、イタリア車“らしさ”がさらに強調された気がして、そうしたところのファンのひとりである僕としてはなんだか喜ばしい気分だったのでした。
* * *
室内のスペースがたっぷりしていて、居住性は良好。ラゲッジスペースは広大で積載性も充分以上。室内のあちこちに大きな収納スペースが隠されていて、実用性もしっかり。MPVとしての実力は、従来モデルから極めて高いレベルにあった「ドブロ」。その上で新型は、イタリア車好き、フィアットファンなら心くすぐられる“らしさ”が色濃くなっています。
「家族のために選ぶクルマだからといって退屈なのはイヤだ」という人にとっても、「趣味で人や荷物をたくさん積んで出かけるけど、ただの運転手になるのはイヤだ」という人にとっても、新しい「ドブロ」はさらにふさわしいモデルになったと思います。個人的には、今、販売されているMPVの中で、最も欲しいと思う1台です。
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みんなのコメント
本国ならグレンダイザーカラーとか鋼鉄ジーグカラーの方が売れるんだろぅけど