電気自動車の普及に急速充電インフラは必要なのか?
自動車の電動化は待ったなしのムードになっています。温暖化対策としてのカーボンニュートラルというのは非常に科学的なアプローチなので「なんとなく電気自動車にすると環境に良さそう」といった雰囲気で、電動化に向かってしまうのはよくない面もありますが、人間社会をロジックだけで変えるもまたは難しく、とくに日本では、空気感によって変化を促す環境を作るのは、政治の役割といえるでしょう。
その電動化といえば電気自動車(BEV)が最初に思い浮かぶわけですが、電気自動車の普及がそれほど進んでいない理由について、急速充電インフラの整備が足りないという指摘を見かけます。しかし、日常的にBEVに乗っているユーザーの一人からすると、その指摘は間違いです。はっきり言って急速充電をメインの充電と考えてはいけません。
急速充電は電力消費が大きくバッテリーも傷みやすい
なぜなら、急速充電は消費電力が大きく、またバッテリーも傷みやすいからです。電気自動車を大切に使おう、環境負荷を減らそうと思ったら、200Vの普通充電での運用を考えるのが、いまのところベストなのです。
日本で電気自動車には急速充電が不可欠と考える人が多いのは、日産が初代「リーフ」の販促として展開した、月々2000円+消費税で急速充電インフラが使い放題になるというサブスク的なサービスが原因です。これを利用すれば普通充電よりも電気代は安く済ませることができたのですが、赤字覚悟の、あくまで普及を促すためのサービスだったので、現在は新規加入できなくなっています。
普通充電でも一晩あれば平均的な走行1週間分を充電できる
もっとも、普通充電は時間がかかり、エンジン車と同じように運用できないという指摘もあるでしょう。そこで考えてほしいのが、日本における平均的な乗用車の年間走行距離は6000~6500km程度ということです。単純計算では毎月500km程度、1週間で120km程度の走行距離です。
電気自動車の普通充電には3kWと6kWの2種類がありますが、出力の小さな3kWのほうでも、単純計算すると10時間で30kWh(初代リーフの後期型であれば満充電できるほど)の充電が可能です。電費は車種によって異なりますが、30kWhの電力量があれば、リアルワールドで150~200kmは走ることができるというのは、電気自動車オーナーであれば理解できるところでしょう。
つまり、平均的な走行距離のユーザーであれば1週間に1回、ひと晩普通充電をすれば事足りてしまうのです。電気自動車は航続距離が短いので、毎日普通充電につながないといけないという思い込みは、電気自動車をリアルに使ったことがない人の想像です。
筆者はバッテリー総電力量が30kWhしかない初代リーフを日常の足として利用していますが、実際には週に1回の充電で十分過ぎるほどです。出先の駐車場に充電器があって利用するなど隙間時間に充電をすることがあるので、自宅での充電は1月に1回くらいということも珍しくありません。急速充電を利用するときも5分~10分程度の“ちょい足し”的に使うことが多いほどです。
普通充電の普及こそが電気自動車普及への近道
たしかに遠出をするときには急速充電が必要になるし、急速充電インフラがもっと整備されれば、急速充電待ちをすることもなくなるでしょうから、大歓迎なのですが、日常的には急速充電インフラがそれほどなくても困らないのです。
実際に電気自動車と数年を過ごして思うのは、電気自動車の普及において本当に必要なのは、普通充電がスタンダードであるという認識が広がることと、それに伴って普通充電を設置しやすい住宅設計が進むことだと感じます。戸建てであっても普通充電用には別途配線する必要があるし、マンションなど集合住宅の駐車場に普通充電用のコンセントを用意するのは非常に難しいのです。
急速充電インフラの整備より、普通充電のしやすい環境を整えることが、電気自動車への心理的なハードルを下げるのではないでしょうか。そうなればガソリンスタンドに行かなくて済むという利便性からも、電気自動車を選べる社会になっていくことでしょう。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
自分の使い方がメジャーだと思うものかね?
それが環境にも懐にも一番賢いやりかた。