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脱炭素でEVに駆逐されるってマジ!? ハイブリッドはいつまで生き残れるのか

掲載 更新 37
脱炭素でEVに駆逐されるってマジ!? ハイブリッドはいつまで生き残れるのか

 電動化加速でもEVの普及には時間がかかる!? ハイブリッドはいつまで生き残れるのか?

 先進国を中心にいっそう加速してきている「電動化」。その定義には、エンジンを使うハイブリッド車も含まれるが、多くの国々は最終的にカーボンフリー=脱炭素を目指し、ハイブリッドを含めたエンジンを搭載車の販売を禁止する方針を掲げている。

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 しかし、現状ではまだまだEVの普及も道半ば。最新のハイブリッド車には燃費性能を含めた総合性能で一日の長があるようにも見える。では、ハイブリッド車はいつまで生き残れるのか?

文/国沢光宏 写真/TOYOTA、VW、HONDA、奥隅圭之

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脱炭素加速でも現状は8割がハイブリッド含むエンジン車!?

 先進国を中心にカーボンフリー化はハッキリと進み始めたように思う。我が国でいえば2050年のカーボンフリーを宣言した。

 2050年以降、ガソリンスタンドで化石燃料を売らなくなることだと意味すれば考えればわかりやすい。クルマの寿命を15年としたなら、2030年代中盤にハイブリッドを含むエンジン搭載車は売れなくなるだろう。

 ヨーロッパの場合、ノルウェーの2025年を皮切りに、早い国だと2030年。フランスのように遅い国で2040年以降、化石燃料で走るクルマの販売が禁止される(化石燃料の販売終了時期は決めていない)。

【表】脱炭素を巡る世界各国・地域の主な動き ※GHGは温室効果ガスの略。またEUと英国の中間目標は、それぞれ2013年比にすると44%と55.2%削減相当。(経済産業省『2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き』より作成)

 国や地域毎のカーボンフリー化は表を参照のこと。今後、カルフォルニア州を除くアメリカや中国などもカーボンフリーを決めると思う。

 また、カーボンフリーと関係なく&同時進行形でCAFÉ(企業別平均燃費基準)が厳しくなっていく。2021年施行のヨーロッパCAFEですら、エンジンだけで走るクルマは厳しい。

 一段と厳しくなる日欧の2030年CAFEなど、規制をクリアしようとしたら相当な販売台数を電気自動車やPHVにしたうえ、コンパクトカーまで25km/L以上としなければならない。

2020年にVWはBEVブランド「ID.」を立ち上げた。写真はブランド第一弾モデルとして誕生したID.3。欧州各メーカーのEV投入はいっそう加速してきている

 一方、電気自動車の普及には少し時間が掛かりそう。世界で最も意欲的なヨーロッパを見ると、すでに50車種以上から選べ、2021年も10車種を超えるニューモデルが出てくる。

 価格だって下がりつつあり、国や車種によってガソリン車を買うより安くなるケースすら出てきた。2021年はヨーロッパにおける電気自動車シェアが20%に届く可能性大。

今後10~15年はフルHVが強力な“ショートリリーフ”に

ヤリスハイブリッドはWLTCモード燃費35.4km/Lとハイブリッドのなかでも特に燃費が高いモデル。2021年の欧州CAFEもクリアできる

 逆に考えるなら、それでも80%は依然としてエンジン車を買っていると言うこと。なかでも「1日の走行距離が長い、働くクルマ」の電気自動車化が難しい。

 「タクシーをどうするのよ?」みたいなことになると、電気自動車じゃ運用上厳しい。はたまた「広いキャビンスペース持ちながら燃費良いクルマ」となれば、もうフルハイブリッドしかない。

 違う観点から見たなら「80%がエンジン車という現在」と「近い将来のカーボンフリー」を繋ぐため、安価で実用的で二酸化炭素排出量少ないパワーユニットが必要だということ。

 あと10~20年すれば電池技術など大きく進化し、電気自動車もモノになることだろう。けれど、今日と明日のパワーユニットをどうするって話です。

 何度も書いてきたとおり、2021年CAFEすら相当厳しい。大半の自動車メーカーは既存のエンジン搭載車に電気自動車を混ぜ込んでいくことで規制をクリアしようとしている。

 けれど前述のとおり電気自動車の普及が進んでいない。そんなことから現実的な「対応策」をどうしようかという動きが、世界規模で出ているのだった。

 わかりやすく説明すると「電気自動車の時代を迎える直前の今後10~15年は燃費良く現実的なフルハイブリッドが絶大な売れ行きを示す可能性が出てきた」。

 ちなみにヨーロッパで主流となっている48Vの簡易型ハイブリッド(編注:いわゆるマイルドハイブリッド)は、燃費改善効果という点で効果が薄いため厳しい。中国など2035年でフルハイブリッド以外は販売禁止にしたほど。

ハイブリッドはいつまで生き残る?

ノーマルガソリンエンジン車を廃止し、e-POWER専用車として誕生した新型ノート(WLTCモード28.4 km/L)。e-POWERとは、エンジンを発電用の動力電としたハイブリッド車のこと

 そんなことからフルハイブリッドは、強力かつ有望なショートリリーフになりそうな流れになっている。

 我が国の場合、2030年代半ば以降に登場する新型車はすべて電気自動車か燃料電池車になると思う。けれど、そこまでの主役は間違いなく安価で選択肢の多いフルハイブリッドになるだろう(電動化車両のため東京でも売れる)。

 ヨーロッパは前述のCAFE達成のためハイブリッドが有効。実際、トヨタのみ電気自動車をラインナップしていないのに2021年のヨーロッパCAFEをクリアできる。

フィットには、ホンダが開発したフルハイブリットシステム「e:HEV」が搭載されている(WLTCモード28.8km/L)

 ただ日本勢以外、燃費の良いフルハイブリッドを作れるメーカーがなく、しかも今から開発したって手遅れ。電気自動車に猛進するだろう。日本勢、有利です。

 アメリカも環境問題に一切興味なかったトランプ政権からバイデン政権に変わり、厳しいCAFE(そもそもCAFEはアメリカが考えた規制)を打ち出すと思う。こいつに対応しようとすればハイブリッドがベストの答えになる。

 アメリカも今後10~15年はフルハイブリッドが重用されることだろう。バイオ燃料使ったハイブリッドも見直される?

 中国は「2035年から電気自動車半分。フルハイブリッド半分」という明確な規制を発表。西側諸国より確実に履行されるだろう。

 現時点で実用的なフルハイブリッドを作れるメーカーは世界中で日本の3社のみ。政治的に作られる経済断絶さえなければ、トヨタと日産、ホンダの技術が中国で広く普及していくと考えます。

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