ベストカー本誌で丸30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。第2回はGRスープラ試乗です!(2019年10月26日号より)
写真/西尾タクト
GRスープラには「爆弾」が必要だァ! ぜひ”豊田章男スペシャル”を作ってほしい!! 【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
■ものすごくアナログなスポーツカー。今の時代、それが嬉しい!
BMWと共同開発で誕生したGRスープラに試乗するテリーさん
ついにスープラに乗る日がやってきた。令和の時代に昭和~平成時代のスポーツカーを復活させるのだから、トヨタのスポーツカーに対する思いは深い。BMWと共同で作るという方法も興味深い。
デザインに関しては「新しい提案がないな」と思う。伝統的なスポーツカーに未来的なデザインは似合わないという判断があったのかもしれない。
これは私の予想だが、クルマの新しいデザインはEVなど次世代車のために残しているのではないだろうか。おそらく次世代車はデザインもガラリと変わるはずだ。スープラのデザインは格好いいとか悪いではなく、新しさは感じられない。
話は変わるが、私にもあまり好きじゃない女性タレントがいたりする。明日の収録でその人と一緒になると聞くと気が重くなったりする夜もあるのだが、そんな子でも「テリーさん、会いたかったです~!」とかいって楽屋に挨拶にこられると「いいね~」とコロッと評価が変わってしまうことがある。
スープラはまさにそんなクルマで、乗る前は「今時スポーツカーといってもなぁ」とテンション低めでも、実際に乗ると「いいよ、いい!」と急に嬉しくなってしまう。スポーツカーとはそういう魔力を持っているのだ。
街中をゆっくり走らせていると、本当に「普通のクルマ」だ。今回は最上級の直6、3Lターボ車に乗ったのだが、神経質な面はまったくなく、いわばクラウンクーペに乗っているような感覚である。
ブレーキが気持ちいいのはさすがだが、アクセルを深く踏み込まなければスープラらしさは味わえない。周囲の状況を見て、一瞬だけ全開にしてその片鱗を味わったが、あっという間に減速することになってしまった(笑)。このクルマの走りを一般道だけで語るのは無理がある。
ただ、凄くアナログっぽいクルマだということは伝わってくる。運転席からの眺めもそうだし、エンジンの感覚もそう。このあたりもわざとそうしているに違いない。かつてのスープラ好きか、もしくは今86に乗っている人たちに愛されることが最も大事なのだ。ヘンにデジタルな雰囲気にするのは危険だと判断するのはわかる。
17年ぶりに復活した5代目A90型スープラ。BMWとの共同開発で、BMW Z4とは兄弟車となる。今回試乗したRZは直6、3L DOHCツインターボで340ps/51.0kgmを発生する
■免許を取って最初のクルマはスポーツカーがいい!
GRスープラをドライブするテリーさん
スープラを運転していて思ったのは、免許取り立ての若者にこそ、こういうクルマに乗ってほしいということだ。
私たちは仕事柄いろんなクルマに乗れる。これが意外と危険で、どんなクルマに乗っても別のクルマと比べてしまいがちになるということだ。つまり「素直に感動できない」という職業病に陥りやすいということなのだ。
おそらく、免許を取って初めてスープラを運転したら、すべてに感動できるだろう。圧倒的なパワーがあるのに乗りやすいことや、ブレーキの気持ちよさなどに素直に感動できるだろう。
もしも初めて乗るクルマがスープラだったら、その人のクルマの基準はスープラになる。そのレベルの高さは想像するだけで身震いしてしまいそうだ。
最近の軽自動車はとてもよくできているのはわかるし、いろんなクルマに乗ったあとで「もう軽自動車で充分だ」という結論に達するのも理解できる。しかし、初めてのクルマが軽自動車で、以降もそれしかクルマの世界を知らないというのはあまりにももったいない。
若者たちはぜひ最初のクルマにスポーツカーを選び、クルマの真髄を体に叩き込んでほしいと願う。その素材としてスープラは最高だが、若者がおいそれと手を出せる価格でないのが残念だ。でも、世の中には安い中古のスポーツカーはいくらでもある。ぜひ検討してほしい。
うねり感を強調した独特な形状のリアデザイン。先代A80型や往年のトヨタ2000GTを彷彿とさせる
さて、スープラに乗ってもうひとつ思ったことがある。このクルマは毎年進化させていくだろうが、時には「爆弾」も用意してほしいということだ。エゴイストやニスモ、イタルデザインなど、GT-Rが時々出す爆弾的なモデルをスープラでも出してほしい。
実は私にはアイデアがあって「章男スペシャル」がお薦めである。ボンネットの真ん中やハンドルの中央に豊田章男社長の顔イラストを貼り、ボディの横にはでっかくT・AKIOのステッカー。そして、ランエボのように毎年、章男I、章男II、章男IIIと進化させていくのだ。いわば、エンツォ・フェラーリのトヨタ版。社長が「やる」と言ったら止められる人はいないはずだ。ぜひお願いしたい。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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みんなのコメント
某ドイツ輸入車の営業やっていた時に商談したことあるが運転は下手だしとにかく値引き値引きの一点張りテレビで見る通りの嫌な人でした。