■間もなく発売! レクサス新型「LS」の魅力
レクサスは、2020年7月7日に新型「LS」を世界初公開。日本での発売は2020年秋頃を予定していますが、ひと足早く最高級セダンの魅力を体感してきました。
レクサス初搭載の機能も備わる新型LSには、どのような魅力があるのでしょうか。
レクサスのフラッグシップセダンとして30年以上に渡って進化をおこなってきた「LS」。
2017年に登場した5代目はフォーマルセダンとは思えない斬新なクーペフォルムと全長5mオーバー/車両重量2トンオーバーの巨体を感じさせないフットワークの軽さや一体感のあるハンドリングを手に入れました。
しかし、その一方で、歴代LSの美点だった快適性/静粛性が犠牲になっていたのも事実です。
これまでもAllways onの精神で、毎年進化/熟成がおこなわれてきましたが、今回は大規模な変更となります。
間もなく正式発表ですが、筆者(山本シンヤ)は一足お先に試乗してきたので報告したいと思います。
エクステリアはフロントマスクを中心に変更がおこなわれています。「RX」で初採用されたブレードスキャンAHS搭載のヘッドライトやラジエーターグリル、バンパーの変更などにより、ノーマル系はスッキリかつ上品、Fスポーツはより精悍さが強調されました。
加えて、特別なボディカラーのひとつとして「銀影ラスター」が設定されています。
この色、鏡面のように粒子感をほとんど感じさせない滑らかなシルバーで、光の角度によってマットから艶やかなどさまざまな表情を見せ、LSのデザインをより引き立たせる存在です。
一方、インテリアはタッチパネル対応のワイドディスプレイやメーター周りの変更、ブラックで統一されたスイッチパネル類、わかりにくかったシートヒーター/ステアリングヒーターの操作画面を表示させるショートカットスイッチの追加など、操作性や利便性の向上に加えて、新たに追加されたドアトリムでしょう。
従来モデルでは「ハンドプリーツ+切子調カットガラス」が話題となりましたが、今回は「西陣+プラチナ箔」です。
どちらもクルマ用としては珍しい素材(西陣織はクラウン・エイト以来!?)ですが、月明かりに照らされた波の揺らぎによる「月の道」を表現しています。このモダンと和の融合もLSの挑戦のひとつといっていいでしょう。
個人的にはタッチパネルのワイドディスプレイの操作性向上は理解できますが、流れるようなインパネデザインのバランスが崩れてしまったのは少々残念な所です。
個人的にはLSはレクサスのフラッグシップをけん引するモデルであるからこそ、中途半端にせず潔くインパネ変更を行なうべきだったと思います。
フットワークは新開発のAVS(電子制御ダンパー)、縦バネを最適化した新開発のランフラットタイヤ、アルミ製ロアアーム、低バネ化されたスタビライザー、エンジンマウントの減衰特性の変更。
さらに縫い位置変更や低反発素材を用いたウレタンパッド採用のシートなど、変更は細部に及びますが、奇を衒わず基本に忠実におこなわれているのがポイントです。
パワートレインにも手が入っています。3.5リッターV型6気筒エンジン+モーターのマルチステージハイブリッドは、バッテリーアシスト量の増加や発進加速時のエンジン回転数の低下などで「静」と「動」のギャップをカバー。
ガソリン車は加速レスポンスアップやシフトスケジュール変更で、エンジンのポテンシャルをより実感できるセットに変更されています。
今回は一般道を模したクローズドコース(路面の凹凸は厳しい)でLS500/LS500hのノーマルモデルに試乗をおこないました。
クルマをスタートさせて数百m、コーナーを2、3つ曲がるだけで違いは歴然で、まるで舗装が変わったと思うくらいの変化です。
具体的にいうと、バネ下重量が軽くなったかのようにスムーズな足さばきと路面の凹凸の吸収性の高さ、大きめのギャップを乗り越えるときに「ドーン」から「トン」とカドが取れたアタリの良さ、さらにアッパーマウント周りで共鳴していた衝撃音の減少などが感じられました。
筆者は従来モデルでは一般道はドライブモード・コンフォートがデフォルトでしたが、新型モデルはノーマルでまったく問題ないのに加えて、もっともハードなスポーツ+でも快適に感じたくらいです。
これだけ書くと、「結局、サスペンションをソフト側に振ったんでしょ?」と思われがちですが、実はそんな単純なことではありません。
ステア系は軽めの操舵力ながらもカッチリとした安心感はそのままに、直結感が増しており路面からの情報が解りやすくなっています。
ハンドリングは全長5m/2トンオーバーの巨体を感じさせない俊敏性の高さは不変ですが、そこに至るためのアプローチが変わっています。
具体的には大幅改良されたLCと同じで、従来モデルよりも姿勢変化は大きめですが、綺麗に動かす/動きに連続性を持たせるという考え方に加えて、ランフラットタイヤとアルミ製ロアアームによるバネ下重量の軽減も効いているはずです。
加えてVGRS(可変ギアレシオステアリング)、EPS(電動パワーステアリング)、DRS(ダイナミックリアステアリング)などを統合制御するLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング)も激変です。
従来モデルはいかにも「クルマが曲げています」という制御でしたが、新型モデルは良い意味で存在を感じさせない自然な制御ながらも最後は黒子のようにスッとアシストと人間味が増しています。
つまり、基本性能の底上げとそれを上手にサポートする制御とのタッグにより、操作に忠実な応答性、前後バランスの良さ、ライントレース性の高さがより実感でき、結果として一体感や操る歓びの引き上げに繋がっているのでしょう。
LSが用いるGA-Lプラットフォームは、ほかのTNGAプラットフォームと比べると従来プラットフォームからの伸び代が少々気になっていましたが、GA-Lは失敗作ではなく、さまざまな経験を経て「使いこなせるようになった」のでしょう。
■ついにレクサスも「ハンズオフ」が可能になる!? 最新機能とは
パワートレインはどうでしょうか。ハイブリッドは静粛性向上がメインです。
従来モデルでも一定速では静かでしたが、アクセルを踏み込みエンジンが始動した瞬間に回転数が一気に上昇し「静」と「動」のギャップに興ざめしましたが、新型モデルは絶対的な音のレベルが下がったのはもちろん、エンジン始動後も回転数が一気に上昇しない制御により、実用域では気にならないレベルに抑えられています。
また、モーターアシスト量の増加で、ビジーシフトせずに粘りが増したのも嬉しいポイントです。
ガソリン車は従来モデルでも絶対的な動力性能は十分だと感じる一歩で、発進時や巡航からの再加速時などにアクセル操作に対する僅かなタイムラグがクルマの重さを感じさせていました。
新型モデルはエンジントルクの立ち上がりの向上とエンジントルクをより活かしたシフトスケジュール変更(各ギアの守備範囲の拡大)により、ドライバーの意志により忠実かつ、スペック上は変更ありませんが動力性能の余裕をより実感できるようになったと感じました。
ちなみに新型モデルは最先端の運転支援システムの導入もポイントです。AI技術を取り入れた最先端の運転支援システム「Lexus Teammate」。
全貌はまだ明らかになっていませんが、そのなかの機能のひとつで「Advanced Drive」はアクセル、ブレーキ、ステアリングを統合的に支援。
公式の説明では「ドライバーはアクセル、ブレーキそしてハンドル操作からも解放」とありますが、恐らく日産のプロパイロット2.0以上の機能つまりハンズオフでの車線変更なども可能でしょう。
ちなみにフロント/リア、そして左右フェンダーにセンサーがプラスされていますが、これはLider(光による検知と測距)でしょう。今回の試乗車には未装着だったので追々紹介します。
もうひとつの機能「Advanced Park」はカメラと超音波センサーを融合して全周囲を監視し、ハンドル操作、アクセル。ブレーキ、シフトチェンジを統合的に支援します。
すでにトヨタ「ヤリス」「ヤリスクロス」に採用済み(シフトチェンジは手動)ですが、サイズが大きなLSでは大きな武器となるでしょう。
今回、体験をしてみましたが、とくに縦列駐車に関してギリギリを攻める精度の高さと躊躇しない動きに感動レベルといっていいです。
※ ※ ※
今回の変更は車両全体に手が入っており、その進化は誰でも実感できます。
とくに走りの部分に関しては飛び道具に頼らず基本立ち返ったことで、いいサイクルが回り始めた気がします。
ただ、厳しいいい方をすれば、「それなら、最初からやってよ!!」といいたくなるのも本音です。
実は新型モデルのリリースを見ると大幅改良、マイナーチェンジというキーワードはなく「新型LS」とだけ記載されています。
その心は「トップofレクサスとしての新たなスタートラインに立った」という“宣言”なのかもしれません。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
本当のお金持ちはLSくらい普通に買います。
さすがにそこまでは無理なんでしょうねえ