「e 」がついたSKYACTIV-G2.0
ボディカラーはプラチナクォーツメタリックCX-30のデビューは2019年11月。すでに3年が経過した。とはいえ、そのスタイルは依然として魅力的だ。ちょうどいいボディサイズも相変わらずだ。では、大ヒットしたか?と問われれば、うーむ、とちょっとクビを傾げてしまう。
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2022年4-9月の半年間の販売台数は
CX-30:6649台
MAZDA3:4773台
トヨタC-HR:5726台
となっている。MAZDA3やC-HRよりは売れているが、ホンダ・ヴェゼル(2万2193台)、カローラクロス(カローラシリーズ全体で5万7850台)にはだいぶ水をあけられている。フルハイブリッドがないからの苦戦とも言えるが、CX-30には優れたディーゼルエンジン(SKYACTIV-D1.8)と革新的なエンジン(e-SKYACTIV X)がある……はずだ。
カローラクロス ハイブリッドZ(4WD):319万9000円(WLTCモード燃費24.2km/ℓ)
ホンダ・ヴェゼル e:HEV Z(4WD):311万8500円(22.0km/ℓ)
マツダCX-30 XD プロアクティブツーリングセレクション(4WD):331万1000円(15.5km/ℓ)
マツダCX-30 X Lパッケージ(4WD):391万5980円(16.6km/ℓ)
装備に差があるから簡単に横並びで比較できないが、SKYACTIV-Dもe-SKYACTIV Xもやはり高価だ。質感、デザイン、走行フィールなど、その価値は充分にあると思うが、やはり手が出しにくいのだろう。
2.0ℓ直4自然吸気+24Vマイルドハイブリッドはけっしてパワフルではないが、必要充分+αでクルマを押してあげてくれる。では、ディーゼルやe-SKYACTIV XでないCX-30を選ぼうと思うと、2.0ℓ直4ガソリンエンジンのSKYACTIV-G2.0しかない。おそらく販売比率でもっとも多くを占めるはずのSKYACTIV-G2.0は、もちろん悪いエンジンではないけれど、いまひとつ迫力に欠けるというか、存在感に欠けるというか……だった。
今回の商品改良で「SKYACTIV-G2.0」が「e-SKYACTIV G2.0」へと進化した。「e」が意味するのは、24Vマイルドハイブリッドシステムだ。24Vで駆動するスタータージェネレーターがエンジンをアシストする仕組みだ。同じタイミングでMAZDA3のSKYACTIV-G2.0にも「e」が付いた。
もっと売れていいはず マツダMAZDA3 e-SKYACTIV Gを得てどうなった?MAZDA3のメイングレードが大きな改良を受けた。2.0ℓ直4ガソリンエンジンを搭載したモデルに24V M-Hybrid(マイルドハイブリッドシステム)が付いたのだ。e-SKYACTIV G2.0…motor-fan.jp今回、借り出したCX-30は、20S PROACTIVE Touring Selection(4WD)である。
eがつくことで、WLTCモード燃費は14.8km/ℓから15.5km/ℓに向上している。
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHC+モーター型式:PE-VPS型(SKYACTIV-G2.0)排気量:1997ccボア×ストローク:83.5×91.2mm圧縮比:13.0最高出力:156ps(115kW)/6000pm最大トルク:199Nm/4000rpm燃料:レギュラー燃料タンク:48ℓモーター:MJ型交流同期モーターモーター最高出力:6.9ps/1800rpmモーター最大トルク:49Nm/100rpm
さて、いつもの通り、マツダR&Dセンター横浜でCX-30を借り出して、西新宿にある編集部まで流す。首都高を37.2km走行で燃費計は17.6km/ℓを示していた。燃費、いいじゃん。信号待ちでのアイドルストップからの再始動も「eなし」より格段にスムーズで気持ちがいい。これはいい!
いざ、ラリージャパンのステージへ
今回、CX-30を借り出して向かった先は、愛知県豊田市。ラリージャパンの取材である。11月10-13日に愛知県・岐阜県で開催されたWRC最終ラウンド、フォーラムエイト・ラリージャパン2022のメイン会場である豊田スタジアムへ向かったのは、11月10日早朝。東名高速道路は未明に起きた事故で通行止め区間あり、集中工事の規制ありで、酷い渋滞だった。ほとんど動かない渋滞。せっかく17.6km/ℓまでいっていた燃費計の数字はどんどん下がっていく。今回の試乗でもっとも低い12.6km/ℓになったのは、渋滞を抜けて御殿場ICあたりだった。逆に言えば、最悪の状況での燃費は12km/ℓ台ということだ。
渋滞を抜けて新東名高速道路を西へ走る。
100km/h巡航のときのエンジン回転数はメーター読みで2100rpm
110km/h巡航では2250rpm
120km/h巡航では2400rpm
である。エンジンのスムーズさ静粛性はなんの問題もないが、CX-30の巡航スピードで「スイートスポット」があるとすれば、それは85-95km/hあたりだと感じた。この速度域では、すべてが滑らかにスーっと走る。風切り音もしない。車室内はなんとも言えないすべてがニュートラルな雰囲気になる。ここで音楽を流せば、ピアノトリオの鍵盤のアタック音まで聴こえそうなほどいい音を楽しめる。
裏を返せば、120km/h巡航はなんの問題もないけれど、ちょっと速すぎ……な感じだ。
ついでに言えば、マツダのCTS(クルージング&トラフィック・サポート)は、まだ完璧とは言えない。たとえば、緩やかな右カーブを走行中に左車線かなり前方に走行しているクルマがいると、自車の走行車線ではないのにシステムが感知してブレーキがかかってしまう。一瞬だが、あまり心地よくはない。
全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm ホイールベース:2655mm 最小回転半径:5.3m
トレッド:F/R 1565mm 最低地上高:175mm車両重量:1500kg 前軸軸重910kg 後軸軸重590kg個人的には現在主流のSUVは、あまり好みではない。それでも、CX-30のスタイルやサイズはかなり好きな範囲にある。CX-30のボディサイズは全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm ホイールベース:2655mm。
MAZDA3のそれは全長×全幅×全高:4460mm×1795mm×1440mm ホイールベース:2725mm だ。全高は10cmしか違わないが、見える景色はだいぶ違う。この視界の良さがSUV人気の一因だろう。CX-30のいいところは、全高が高すぎないこと。1540mmは、都会の機械式駐車場で困ることのないサイズだし、ルーフ後端にシャークフィンアンテナがないものいい。
シャークフィンがないのがいい。荷室長は約810mm 幅は約1000mm 高さは520mm室内長×幅×高:1830mm×1490mm×1210mm見慣れたマツダ流インテリア。質感はいまもクラス水準を大きく上回る。後席はMAZDA3と違って穴蔵感はさほどしない。シートはスムースレザー(ピュアホワイト)。インテリアの質感の高さも相変わらずCX-30の魅力のひとつだ。借り出したクルマは白いスムースレザーのシートだったこともあって、室内も明るい雰囲気だ(個人的にはシートはファブリックの方が好みだが)。
ラリージャパンのSS18をCX-30で走ってみる
2022年8月の商品改良でSKYACTIV-G2.0からe-SKYACTIV G2.0へ。燃費はWLTCモード燃費が14.8km/ℓ→15.5km/ℓへ向上した。さて、ラリー取材である。1990年代後半、オートスポーツ誌でWRCを担当していた経験がありRAC、ポルトガル、アクロポリスなどのヨーロッパでのラリー取材はしたことがあったが、ラリージャパンは初体験だった。
せっかくなので、日曜日のSS(スペシャル・ステージ)の舞台を見てみようと金曜日に恵那に向かった。SS18恵那シティは21.59km。「シティ」といっても、かなりの山奥だ。SS本番の2日前だから道はクローズされていない。もちろんオフィシャルもまだ誰もいない。
この道幅なら大丈夫、と思って走り始める。間もなく、こんな道幅に。WRCマシンはここを80-90km/hで走るのだ。恵那の山中へは、もちろん上り坂の連続である。SS18の入口に辿り着いたときには、通行するクルマもほぼいない。せっかくなので、そのままSSを走ってみることにした。
せ、せ、狭い。
側溝がある。
落ち葉が積もっている……
こんなコースを走るなんて、クレージーだ、と正直驚いた。
SSを駆け上がった先は、こんな景色に。CX-30のサイズと見切りの良さのおかげで、丁寧なドライブ(ようするにゆっくり)で走り切れたが、もっと大きなSUVなら、立ち往生したかもしれない。
最終日、ホンモノのWRCマシンとドライバー&ナビゲーターがSS18を走行するオンボード映像をプレスルームで観戦した。
たまげた!
私がCX-30でそろりそろりと走ったあのコースを、WRCマシンは60~90km/h、場所によっては100km/hオーバーのスピードでカッ飛んでいた。やはり、WRCドライバーの能力は別世界別次元だ。ちなみにこのステージのトップタイプはクレイグ・ブリーン選手(フォード・プーマRally1 HYBRID)の17分42秒1だった。平均時速は73.2km/h!
215/55R18のブリヂストンTURANZAF:マクファーソンストラットR:トーションビーム式4WDはカップリング式1000km走行して、燃費はどうだったか?
約1000km、さまざまなシチュエーションを走行した結果の燃費は14.8km/ℓだった。燃料はレギュラー。ラリージャパン取材を終えて、帰路につく。幸い復路は大きな渋滞には遭わなかった。
今回のドライブの燃費はトータル1034.8km走って14.8km/ℓだった。WLTCモード燃費の95.5%だったから、ほぼ実力通りの燃費性能と言っていいだろう。渋滞に遭わなければモード燃費は問題なく出せたはずだ。
CX-30、商品改良を受けて、「e」が付いた2.0ℓ直4ガソリンモデルは確実に魅力を増している。参考までに書いておくと、ディーゼルのSKYACTIV-D1.8搭載モデルとの価格差は27万5000円。レギュラーガソリン=168円/ℓ、軽油148円/ℓでモード燃費通り走ったとすると
SKYACTIV-D1.8+6AT+4WD=8.9円/km
e-SKYACTIV G2.0+6AT+4WD=10.8円/km
となる。つまり1km走るコストは1.9円、ディーゼルの方が安い。
だから、275000÷1.9=144737
ディーゼル代を燃料代で取り戻そうとすると14万5000km走らないといけない計算になる。e-SKYACTIV X搭載モデルとなると価格差は60万円を超える。
こうして考えると、現在のCX-30のベストバイはe-SKYACTIV G2.0であると言える。
私がCX-30をいま選ぶとすると、
e-SKYACTIV G2.0+6MT+FFの20S Black Tone Edition 286万4380円(6ATは272万8000円。あれ? MTの方が高くなってる!)、ボディカラーはマシングレープレミアムメタリックを選ぶ。MTが選べるクロスオーバーというのも、CX-30のポイントなのだ。
もっと売れていいはず マツダMAZDA3 e-SKYACTIV Gを得てどうなった?MAZDA3のメイングレードが大きな改良を受けた。2.0ℓ直4ガソリンエンジンを搭載したモデルに24V M-Hybrid(マイルドハイブリッドシステム)が付いたのだ。e-SKYACTIV G2.0…motor-fan.jpマツダCX-30 20S PROACTIVE Touring Selection(4WD)全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mmホイールベース:2655mm車重:1530kgサスペンション:Fマクファーソンストラット式&トーションビームアクスル式 駆動方式:AWDエンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHC+モーター型式:PE-VPS型(SKYACTIV-G2.0)排気量:1997ccボア×ストローク:83.5×91.2mm圧縮比:13.0最高出力:156ps(115kW)/6000pm最大トルク:199Nm/4000rpm燃料:レギュラー燃料タンク:48ℓモーター:MJ型交流同期モーターモーター最高出力:6.9ps/1800rpmモーター最大トルク:49Nm/100rpm燃費:WLTCモード 15.5km/ℓ 市街地モード 12.1km/ℓ 郊外モード 15.9km/ℓ 高速道路モード 17.3km/ℓトランスミッション:6速AT車両本体価格○303万6000円 オプション360°セーフティパッケージ 8万6880円
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