大幅なイメチェンが目指された3代目
フォルクスワーゲン・ティグアンは、なんと16年間で750万台も売れた。そこで今回のモデルチェンジでは、大幅なイメチェンが目指されたようだ。2代目以上にインテリアは上質さが追求され、プレミアム・ブランドの水準へ迫っている。
【画像】オススメできない理由がない! 新型VWティグアン サイズが近いSUVと写真で比較 全180枚
お手頃な日産キャシュカイ(旧デュアリス)から、お高めのアウディQ3、北欧のボルボXC40まで、このクラスには迷うほどの選択肢がある。果たして、その中で際立つ強みを獲得しているのか、ツギハギだらけの英国の一般道で確かめてみよう。
「壊れていない部分は直さない」という哲学がフォルクスワーゲンには存在するようだが、新型ティグアンの見た目は間違いなく新鮮。パワートレインのラインナップは見慣れたものでも、同社のトゥアレグをひと回り小さくしたような雰囲気が漂う。
フロントノーズは、最新のIQ LEDヘッドライトを獲得。オプションだが、水平に伸びるデイライトで左右が結ばれ、モダンな顔つきになった。ホイールやボディカラーの選択肢も幅広い。
英国で提供されるトリムグレードは5種類。ベースの他に、ライフ、マッチ、エレガンス、Rラインから選べる。
完全に新しくなったインテリアの注目ポイントは、やはり大きなタッチモニター。通常は12.9インチだが、上級グレードでは15.0インチへサイズアップする。僅かに前方視界へかかってしまうほどの大画面だ。
アウディQ3と比べても見劣りしない車内
インフォテインメント・システムのグラフィックは、このクラスでは最も高精細な部類に入り、反応は正確。メニュー構造も覚えやすいだろう。ただし、表示されるアイコンは小さめで、走行時は触れにくい。
エアコンの操作パネルがモニター下部へ常設され、扱いやすくなったのも美点。送風温度を調整するスライダーにはイルミネーションが追加され、夜間でも迷わなくなった。
そして何より、ステアリングホイールのスポークへ、実際に押せるハードボタンが帰ってきたのが喜ばしい。従来のタッチセンサーは、ヤキモキするほど反応が鈍かった。
センターコンソールには、小さなモニターが仕込まれたロータリー・コントローラーもある。ドライブモードやラジオの音量、間接照明の色などを、手元で簡単に選べる。
インテリアの質感は、先述の通り大幅に上昇。ファブリックは明らかに上質で、手に触れる部分のプラスティック製トリムはソフト加工されている。ソリッド感が足りない部分も多少残るが、アウディQ3と比べても見劣りしないかも。
車内空間は、縦方向に10mm拡大。荷室容量は33L増えた。
2024年として触れておきたい新機能が、チャットGPTに対応した音声操作システム。アイフォンのシリのように、質問すると人工知能がビッグデータを利用し答えてくれる。
フォルクスワーゲンの技術者は、チョコレートケーキの作り方を聞いてみて欲しい、と勧めてきた。確かに、素晴らしい回答が返ってきた。運転中はメモできないとしても。
ディーゼルに代わる有能なプラグインHV
英国仕様のエンジンは多様。マイルド・ハイブリッドのガソリンが2種類に、プラグイン・ハイブリッドが2種類、ガソリンターボが2種類、ディーゼルターボが2種類だ。
その内、ディーゼルターボはトルクが太く安楽。高速道路では、7速デュアルクラッチATの変速を最小限に留め、平穏なクルージングで遠くを目指せる。高回転域では、ザラ付いたノイズが聞こえるけれど。
低い速度域では、ATが変速をためらう場面があり、交差点からの発進時などでもたつくことはある。そんな時は、左側のシフトパドルを弾けば解決できる。
プラグイン・ハイブリッドは、ディーゼルターボに代わる有能な選択肢。最高出力は203psか271psを選べ、どちらも電気だけで99km走行可能。今回は後者を試したが、充分以上にパワフルなことを確認できた。
燃料タンクを小さくした空間へ駆動用バッテリーが載るため、荷室容量への影響はなし。車重も重すぎず、カーブでの安定性も高いと感じた。
内燃エンジンと電気モーターの協調性も良好。エコ・モードを選ぶと、可能な限り電気だけで走ってくれる。スポーツ・モードでは、ガソリンを燃やす機会が増える。
アクセルペダルを踏み込むと確かに速いが、エンジンの回転も相応に高まる。ちょっと上質さに欠け、ノイズは耳障りかもしれない。
最高出力150psの1.5Lのマイルド・ハイブリッドも、高負荷時の印象は同様。とはいえ、基本的には静かで滑らか。長距離ドライブも快適にこなせるはず。不足なく力強く、効率も悪くない。
洗練性と敏捷性を大幅に向上したシャシー
3代目で注目ポイントのもう1つが、シャシーの進化。2バルブ内蔵のダンパーが組まれ、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIも採用するビークル・ダイナミクス・マネージャーと呼ばれる電子制御と統合され、洗練性と敏捷性が大幅に向上している。
ドライブモード次第で、15段階も設定の幅があるとのこと。タッチモニターのメニューで、細かく指定することもできる。
コンフォート・モードが最もソフトで、フレッシュなゴムを挟んだように、傷んだ路面を適度な締りと快適性で通過してみせる。ロードノイズも小さく、石畳でも快適。ファミリーSUVの車内へ、プレミアムな雰囲気が漂う。
同社の技術者は、古いシトロエンのように、魔法のじゅうたん的な乗り心地は狙わなかったという。路面へ追従しつつ、快適性を高めることが目標だったとか。
かくして、乗り心地はしなやかでありつつ、うねるほどではない。ボディロールは見事に抑制されている。むしろ、スポーツ・モードを選ぶ必要がないほど。仕事に疲れたお父さんが、1人で家路を急ぐときなどは、そのモードが良いかもしれないが。
ただし、ダンパーを1番引き締めても、ゴルフ GTIに化けるわけではない。コーナーでは身体が左右に振られ、高めの重心位置を実感させる。
コンフォート・モードのまま、英国郊外の道を飛ばしてみたが、適度に浮遊感のある乗り心地は安定してもいる。カーブでボディは多少傾くものの、不安なほどではなく、正確で好反応なステアリングが運転する自信を高めてくれる。
オススメできない理由は見当たらない
燃費は、ディーゼルターボの平均で18.8km/L。頻繁に充電できる環境なら、プラグイン・ハイブリッドの方が有利ではあるが、価格はお高めになる。
筆者が好印象だったのは、1.5Lのマイルド・ハイブリッド。特に燃費を意識することなく、13.9km/Lの平均燃費を得られた。スキーやキャンプなど、遠くを目指す機会が多い人にはベターチョイスになるだろう。
毎日の素晴らしい相棒になりそうな、3代目フォルクスワーゲン・ティグアン。比較的小さなサイズで、ファミリーSUVへ求められるものをそつなく満たしている。プラグイン・ハイブリッドの実力は、クラス上位にもある。
走行時の洗練性やインテリアの品質は高く、少しスポーティな走りを楽しめるのも魅力。プレミアム・ブランドへ伍するほど、価格価値も高いといえる。俯瞰すると、オススメできない理由は見当たらない。
◯:比較的小さなサイズに大きな実用性 知的なパワートレイン 優れたインフォテインメント・システム
△:チャットGPTはちょっとギミック的 プラグイン・ハイブリッドはお高め やや上質さに欠けるディーゼルターボ
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みんなのコメント
日本の自動車評論家ではなく、イギリスの評論家が書いているので、それなりの信憑性があると思います。
悪くない車とみました。