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【バッテリー増加で航続距離は2倍】フォルクスワーゲンe-Up!へ試乗

掲載 更新 1
【バッテリー増加で航続距離は2倍】フォルクスワーゲンe-Up!へ試乗

航続距離は2倍にしつつ価格はお安く

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】e-Up!と競合コンパクトEV 全100枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォルクスワーゲンUp!の中で、トップグレードでもある純EVがe-Up!。2020年仕様としてアップデートを受けた。英国の一般道で右ハンドル車を試乗してみたい。

2020年モデルの特徴が、航続距離の伸延と、価格の低下にある。ボックス形状からポーチ状のセルに置き換わったことで、リチウムイオン・バッテリーの蓄電量が大幅に増加。従来のほぼ2倍に当たる、公称で255kmの距離を走れる性能を得ている。

同時に英国価格は2000ポンド(27万円)もダウン。2万ポンド(270万円)をわずかに超える程度となった。都市部向けのコンパクトカーとしては充分高いものの、ルノー・ゾエより大幅に安い。

新しいバッテリーによって、車重は15kgプラスされているが、メカニカルな部分での変更は受けていない。ほかの運動性能も変わってはいない。

エンジン版のUp!と比べると200kgほど重たいが、依然としてUp!らしく、運転は小気味よく楽しい。ほかのコンパクトEVも同様ながら、車重が増えたからといって、ハンドリングへの悪影響は最小限に留まっている。

インテリアは、アナログのメーターがEV専用のものとなる。中央には大きく読みやすいスピードメーターが配され、その横にバッテリーの充電量を示す残量計と、モーターの負荷を示すメーターが付く。

肝心の航続距離は示してくれない。トリップコンピューターの画面を切り替えて、表示させることができる。

笑みが溢れるほど力強い加速

フォルクスワーゲンは、Up!シリーズへ丁寧なアップデートを施した。このe-Up!も同様で、カメラ映像を利用した車線維持支援システムに、カーテンエアバッグなどが追加されている。

インテリアデザインは、都市部向けコンパクトとして考えればスマート。前席空間も広々としている。一方で後部座席は少し狭い。

シートはヘッドレストが一体の背もたれとなったが、筆者は従来までの、ヘッドレストが別になっていたシートの方が良いと思う。位置の調整ができない。

e-Up!では、5種類のドライブモードを選べ、モードによってエネルギー効率も変化する。ステアリングホイールに取り付けられたパドルを弾くと、モーターによる回生ブレーキの強さの調整も簡単に可能。

セレクターでDを選択するのが、デフォルトの走行モード。そこからシフトレバーを左右に倒すことで、D1、D2、D3と切り替わり、3段階で回生ブレーキの強さが異なる走りを選べる。

レバーを後ろへ倒せば、Bモードに入る。アクセルペダルを離した時の回生ブレーキが最も強くなり、多くの場面でワンペダル・ドライブが可能となる。

目指す速度に到達したら、クルマの備える運動エネルギーを用いて惰性走行するのが最も効率的。不要な加減速は、基本的にエネルギーの無駄遣いとなる。

回生ブレーキの強さを最も強くすると、ブレーキペダルの感触と減速感には違和感が残る印象だった。アクセルペダルの感触とレスポンスは好印象。リニアで予想も付きやすい。

e-Up!は、都市部の道では充分に小さく、不満ないほど良く走る。運転席からの視界にも優れ、ボディサイズも掴みやすい。BMW i3と同様に、シティカーとして良く考えられている。

都市部向けのセカンドカーとして

波長の長い起伏が続く高速道路に進むと、コーナリング時よりも増えた車重を実感する場面が多くなる。横方向のグリップ力は平均レベルといえるが、垂直方向の姿勢制御は優秀。きついカーブの続く区間でも、機敏に走っていく。

加速は笑みが溢れるほど力強く、都市部では交通の流れをリードできるほど。郊外の道へ出ても、活発さは衰えない。

高速道路の速度域では、風切り音が車内にも届く。それでも走行車線を保って穏やかに走っている限り、適度な静かさは保たれる。乗り心地にも、充分なしなやかさがある。

2020年に入り、英国市場では多くの純EVコンパクトが発表された。しかしその多くの価格は3万ポンド(405万円)前後。内燃エンジンのコンパクトモデルから買い替えを検討しているユーザーの期待には、充分に応えられていない。

純EV市場は成長を続けているが、ガソリン車並みの価格で手に入る、同等の性能を備えたモデルはまだない。フォルクスワーゲンe-Up!をもってしても、理想の答えではないだろう。航続距離は実質で180kmから210kmに留まり、利用範囲は制限されてしまう。

一方でセカンドカーとして、都市部向けの小さなモデルを探しているのなら、ぜひとも検討したいところ。フォルクスワーゲンe-Up!はライバルのコンパクトEVより扱いやすく、価格も手頃。しかも、驚くほど爽快な運転を楽しむこともできるのだから。

フォルクスワーゲンe-Up!(英国仕様)のスペック

価格:2万195ポンド(272万円・英国政府補助金適用後)
全長:3600mm
全幅:1645mm
全高:1504mm
最高速度:130km/h
0-100km/h加速:11.9秒
航続距離:255km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1235kg
パワートレイン:永久磁石モーター
バッテリー:32.3kWhリチウムイオン
最高出力:82ps/2800-1万2000rpm
最大トルク:21.3kg-m/0-2750rpm
ギアボックス:ダイレクトドライブ

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みんなのコメント

1件
  • フルモしてよ、早くー。コンセプトモデルのように派生車もパカパカ出してー。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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