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絶滅危惧車の4代目Sクラス S600。12気筒エンジンの走りは圧巻だ!

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絶滅危惧車の4代目Sクラス S600。12気筒エンジンの走りは圧巻だ!

贅が尽くされたかつての高根の花も、今では身近な存在に

中古車の醍醐味のひとつは、かつて高根の花だったものが、時間の経過とともに“身近”な存在になっていることだと思う。

過去の『絶滅危惧車』シリーズを見てみる

そんな中、原稿執筆時点(2019年9月24日)においてメルセデス・ベンツ Sクラス S600(旧々型・4代目)のカーセンサーnet掲載台数が、たった3台になっていることに気づいた。

しかも、驚くほど安くなっている。

旧々型Sクラスは1998年にデビューし、S600は2000年に追加されたメルセデス・ベンツの最上級モデルだった。

至るところに本革が奢られ、天井にはアルカンターラ、ウッドシフト、ウッドステアリング、リアシート用のピクニックテーブル、4席に電動パワーシート/シートヒーター&クーラー……と贅が尽くされていた。

また、前方車両との距離を維持しながら走行できる、ディストロニック・コントロールと呼ばれるクルーズコントロールは画期的だった。

もちろん、世界で初めて採用された機構だったし、自動運転への未来を予感させるものだった。

足回りにはアクティブ・ボディ・コントロールと呼ばれる、油圧式可変サスペンションが奢られた。どんな路面でもフラットライドで、とにかくふんわりと快適。

登場時は排気量5785ccのV12気筒エンジンを搭載し、最高出力367ps/最大トルク54.1kg-mをたたき出していた。

数値はすごいが、圧倒的なゆとりこそ感じさせながらも、走りは「リムジン」を予感させるような柔らかな雰囲気が重んじられていた。

2002年にはマイナーチェンジが施され、排気量5513ccのV12気筒エンジンにツインターボが装着されることになった。

最高出力は、スーパーカーも驚くような最高出力500ps/最大トルク81.6 kg-mとなった。

ツインターボ化されたS600は、前期型とはまったく性格が異なるので面白い。

ちなみに0→100km/h加速はフェラーリ575並みの4.5秒!

前期型はどこまでもふんわりした雰囲気だったのに対し、後期型は巨漢ながら異様なまでにグイグイと曲がっていった。

前期型を「リムジン」と評するなら、後期型は「スポーツカー」だった。

もうこんな大排気量モデルは出てこないかも……

前期型の新車時価格は1690万円、後期型の新車時価格は1580万円だった。

そんな車が……今となっては100万円以下から狙えてしまう現状に驚かされる。そして、最も高い物件でも100万円後半だ。

もちろん、メンテナンスフリーとはいかないし、大排気量ゆえのガソリン代、税金なども高額。

同じSクラスでも、最上級モデルで12気筒エンジンならではの走りは別格だ。

大排気量エンジン搭載モデルの宿命ともいえるが、新車時はお金持ちが維持費を気にせず手を出すが、中古車となると堅実な人が多いのか敬遠されがち。

中古車販売店によっては低価格で早く手放そうとするところと、じっくり上客からのアプローチを待つところと分かれる。

よって、相場らしきものは存在しないことが面白くもある。

現在、12気筒エンジンを搭載する高級車メーカー(スーパーカーを除く)は、BMWとメルセデス・ベンツのみとなっている。

高効率エンジンの登場、時代のニーズ、売れ行き、と様々な要因があるだろうが、絶滅の危機に瀕しているのは明らかだ。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

文/古賀貴司(自動車王国)、写真/ダイムラー絶滅危惧車のS600を見てみる▼検索条件メルセデス・ベンツ Sクラス(4代目)×S600L/S600ロング×全国

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