■走行性能と積載量のバランスに優れたモデルが人気
定番といえるレジャーのひとつに「釣り」があります。釣りをする人は、竿やリールなど、たくさんの道具が必要なため、クルマで移動することが多いといいます。
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釣り好きが選ぶクルマの条件として、「目的地まで快適に移動できる」「十分な荷物を積載できる」「多少の悪路も安心して走りたい」「車中泊もできれば最高」「経済性(燃費)に優れている」などがあげられます。
今回は、釣りマニア視点から、釣りに行くのに「ガチで使えるクルマ」を、実際のユーザーの声を交えて5台紹介します。
●ホンダ「シャトル」
釣り好きの人は、いかにもヘビーデューティなクルマを選びそうなイメージがありますが、意外にも実用性の高さと経済性で選んでいるケースが多いようです。
釣り具メーカーの広報担当者が「釣り好きなら間違いなく選択肢に入る」と高く評価したのが、ホンダ「シャトル」です。
全長4440mm×全幅1695mm×全高1545mmと5ナンバーに収まるコンパクトなサイズながら、それでいて、通常でも570リットル、後席を倒せば1141リットルもの大きなラゲッジスペースで、たくさんの荷物が積めるのが大きな魅力です。
「扱いやすいサイズなのに、たくさんの道具や長尺の竿もらくらく飲み込んでくれます。低燃費なので、給油せずに長距離を走行できるのもありがたいです。安全運転支援システム『ホンダセンシング』搭載車なので、長距離移動でも疲れがかなり軽減されます」(釣り具メーカーの広報担当者)
荷物の積載性のみならず、スタイリッシュなスタイリングや、タワー型駐車場にも入る低い全高は、街中で乗るときにも実用的です。
燃費(WTLCモード・2WD)は、ハイブリッドモデルが25.2km/L、ガソリンエンジンが19.4km/Lという経済性に加え、税金などの安さもあって、維持費が捻出しやすいという点でも、釣り好きから根強い人気を誇っています。
●トヨタ「ハイエース」
釣りの道具は竿などの長尺物やアイスボックスなどの大きな荷物が多く、釣りをする場所によっては車内泊をしたりと、居住空間やラゲッジスペースが広いクルマが釣り好きには人気です。
なかでも、愛好者が多い人気車種がトヨタ「ハイエース」です。
ハイエースは、1960年代の小型トラック「トヨエース」の小型版として、1967年に初代モデルが登場しました。ボンネット&フロントエンジンのミニバンが登場してもなお、その実用に特化したキャブオーバースタイルのワゴンとして、圧倒的な積載量を誇ります。
全長4840mmのロング、5380mmのスーパーロングという2種類のボディを持つハイエースに搭載されるのは、直列4気筒の2.8リッターディーゼルと2.7リッターガソリンがラインナップされています。
乗車人数は10名(ロングボディ)から最大14名乗車可能(2ナンバーのマイクロバス仕様)があり、広大な室内空間が特徴です。
現行モデルは5代目で、2004年に登場と設計はかなり古いのですが、マイナーチェンジで機能や性能を向上させ、現在では衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンス」も搭載しています。
また、ハイエースは、オフロードバイクやアウトドアの愛好者にも人気が高く、さらに、キャンピングカーやバニングと呼ばれるカスタムのベース車両としても根強く愛されています。
■軽自動車ながら釣りに最適なモデルとは?
●スズキ「ジムニー」
ハイトワゴンが主流の軽自動車のなかでも、圧倒的な悪路走破性で多くのファンを魅了するのがスズキ「ジムニー」。釣り好きの人たちにも熱狂的なファンが多くいる人気モデルです。
BMWを手放してジムニーに乗り換えた釣り好きのA氏は、「海釣りはともかく川釣りの場合は、かなりの山奥まで移動することも多く、そこまでたどり着くには舗装された道ばかりとは限りません。
そんな悪路でもガツガツ登っていけるのは、ジムニーくらいです。あの走破性にはロマンを感じます」と、悪路走破性の高さが気に入っているといいます。
2018年7月に20年ぶりにフルモデルチェンジした新型ジムニーは、クロスカントリーモデルらしく伝統のラダーフレームを採用し、通常のシフトとは別に、2WDと4WDを切り替えることができる機械式副変速機を装備。また、パートタイム式4WDは、シンプルな構造にすることで高い信頼性も確保しています。
無骨なスタイルやローギア気味のセッティングは、悪路や河原、山道などの本格的なオフロードを走行するためです。本当の「クロスカントリー」に対応できるタフさと、確かな駆動力を誇る4WD機構を備えています。
●ダイハツ「ハイゼットトラック/ハイゼットカーゴ」
「大きなクルマを所有する余裕はないけれど、趣味用の道具を積みまくりたい」と考える釣り好きは多いようで、趣味用のセカンドカーとして軽トラックや軽ワゴン(バン)を選ぶ人がいます。
そのなかで人気なのが、ダイハツ「ハイゼットトラック/ハイゼットカーゴ」です。
2輪を中心に執筆活動しているモータージャーナリストG氏は、釣りのためにハイゼットカーゴを購入した理由を次のようにコメントします。
「あくまで『釣りや遊びなど趣味のため』と割り切って、快適装備は最小限でガンガン荷物が積めるクルマが欲しかったのです。
最初は軽トラのハイゼットトラックを考えたのですが、後部座席もあったほうが便利なので、軽バンのカーゴにしました。
よく漁港近くの防波堤で停まっているたくさんの軽トラは、大体釣りにきている人です。軽商用車は、釣り好きにも人気があります」
ハイゼットの魅力は、価格の安さと使い勝手の良さです。軽自動車ならではのコンパクトなサイズながら、実用第一主義の働くクルマだけに、室内に余計な出っ張りが少なく、軽自動車としては広々としており、積載性に優れています。
また現行モデルでは、衝突回避支援ブレーキ機能「スマートアシスト III(ハイゼットトラックはスマートアシスト III t)」が搭載されるなど安全性も向上。ワゴンモデルのカーゴでは、燃費(JC08モード・5速MT)は18.8km/Lと燃費も良く、「スマートアシスト III」搭載車は新車で99万円9000円(消費税込)からとお求めやすい価格で購入できます。
維持費も安く、釣りの相棒として非常に便利な1台です。
●スバル「レガシィアウトバック」
現在はSUVが人気ですが、釣り好きの人が求める実用性や積載性を考えるとステーションワゴンタイプのボディが適しているといえます。
そのため、ステーションワゴンの使いやすさとSUVの十分なロードクリアランス(地上最低高)を確保したスバル「レガシィアウトバック」が、隠れた人気モデルになっています。
全長4820mm×全幅1840mm×全高1605mm(X-BREAKの全高は1660mm)のボディで、ゆとりある車内空間とラゲッジスペースを確保。200mmの最低地上高を確保しながらSUVのような腰高感が少なく、高速道路などの走行フィーリングはステーションワゴンそのものです。
搭載されるエンジンは、2.5リッター水平対向4気筒エンジンで、ピークパワーより扱いやすさを優先したフィーリングになっています。
また荷室高824mm×荷室開口部幅1175mmのラゲッジスペースは必要十分な大きさで、おしゃれなアウトドア感を感じさせる上質な造りの室内空間はゆとりがあり、大人が乗るのにふさわしいモデルです。
駆動方式はAWD(4WD)で、急な天候の変化や路面変化でも安心です。かつては、スバルのボクサー(水平対向)エンジンは燃費がイマイチといわれていたこともありましたが、現在では14.8km/L(JC08モード)と、環境性能も進化しています。
IT企業に勤めているN氏は、週末になると「釣り人」に変身すべくアウトバックでよく釣りに行くといいます。
「高速道路でも安定感があって、走っていて楽です。釣りのポイントへ向かう道中は、ぬかるんだ道など未舗装路などもありますが、十分なロードクリアランスがあるので助かっています。
それでいてインテリアは質感が高く、実用的すぎないので、普段の買い物にも使うなど、どんなシーンでも違和感がないのがいいですね」
ワゴンとSUVのクロスオーバー的存在のアウトバックならではのオールラウンダーぶりは、釣り好きにもしっかり伝わっているようです。
※ ※ ※
釣り好きが選ぶクルマは、日常の使い勝手と趣味のための用途を兼ね備えたクルマばかりです。
長距離移動も考慮して、ステーションワゴンのように使えるクルマが多いのも、トレンドより実益を優先した結果といえるでしょう。
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