WEC第3戦スパは3台の「499P」で参戦
「FIA 世界耐久選手権(WEC)第3戦スパ・フランコルシャン6時間レース」は2024年5月11日(土)に現地時間13時(日本時間午後8時)に決勝戦が行われました。フェラーリ「499P」の50号車と51号車は惜しくも3位、4位の結果でした。ベルギーの山々に囲まれた谷底に位置し、難サーキットとして幾度のドラマを生み出してきたスパ・フランコルシャンにおけるフェラーリの過去の戦果を振り返りましょう。
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レースの大学と呼ばれる難サーキット
スパ・フランコルシャンはベルギーの山々に囲まれた谷底に位置する全長7.004kmの難サーキットである。オー・ルージュをはじめとする多彩なコーナーや急激な天候の変化をもたらすことで有名だ。過去には数々の名勝負が演じられたことにより、ファンの間では「レースの大学」とも呼ばれている。
1921年に開業したスパ・フランコルシャンは、世界でもっとも有名なモータースポーツサーキットのひとつである。ベルギーを代表する「スパ・フランコルシャン24時間レース」の第1回は1924年に開催された。フェラーリはスパ・フランコルシャンでの耐久レースで数多くの勝利を積み重ね、スポーツカーとプロトタイプで13回の総合優勝を達成している。
1949年のルイジ・キネッティとジャン・ルーカスによるスパ・フランコルシャン24時間レースでの初優勝や、1953年のオリビエ・ジェンデビアンによるスパ1000kmレースでの勝利は、いずれもV型12気筒エンジンを搭載した「166MM」で達成されたものである。そして70年後の2023年、ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィによる「499P」は、初の表彰台を獲得した。
フェラーリの挑戦の歴史は続いてゆく
スパ・フランコルシャンで1963年にはウィリー・メレッセが、1964年にはマイク・パークスが「250GTO」でスパ500kmレースを制するなど、1960年代には目覚ましい成績を収めた。1972年のメイクス世界選手権ではグリッドの先頭を独占した予選に続き、ブライアン・レッドマンとアルトゥーロ・メルツァリオが「312PB」を駆って1000kmレースで優勝。ジャッキー・イクスとクレイ・レガツォーニがポールポジションを獲得し、レッドマンとメルツァリオは2番手、ティム・シェンケンとロニー・ピーターソンは3番手からのスタートであった。
2000年代に入って、フェラーリとパートナーであるAFコルセは2012年から2023年までスパ6時間レースで14回のクラス優勝を飾っており、最近では公式ドライバーのリルー・ワドゥーとアレッシオ・ロヴェラ、そして昨年のLMGTE Amクラスで表彰台の頂点に立ったルイ=ペレス・コンパンクが乗る「488 GTE」が優勝している。
ちなみに、2024年のWEC第3選スパ6時間レースでは、アントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンが50号車、アレッサンドロ・ピエル・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィが51号車を操縦。もう1台は、AFコルセのプライベートチームであるイフェイ・イェとロバート・シュワルツマン、そしてロバート・クビサが83号車を駆った。
50号車は予選で車両規定違反でポールポジションを剥奪、予選失格で最後尾からのスタートとなった。しかし決勝では一時51号車、50号車のワンツー体制というシーンもあったが、赤旗中断ということもあり、不運にも50号車3位、51号車4位という結果に。83号車は8位という結果であった。
AMWノミカタ
スパ・フランコルシャンは全長7.004kmというコースの長さに加え、20のコーナーに高低差104m、そして変わりやすい天気などマシンの性能はもとより、ドライバーの技術も試されるサーキットである。フェラーリが初優勝を飾った1949年のコースは14.1kmあり、さらに過酷なコンディションだったのではないだろうか。
このような耐久レースへの参戦は、マシンの速さとともにその耐久性を証明する大きな宣伝の舞台だったのだろう。1947年に創業したフェラーリがわずか2年後の1949年に「166MM」を駆り、このスパでの24時間レースやル・マン24時間レースで優勝したことは、レーシングカーとしての名声を得たばかりでなく、その後のフェラーリの歩む道を運命づけた大事な瞬間だったに違いない。
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