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渋色フェラーリ「ディーノ」が1億円オーバー! 赤から銀へ変更されても評価の下がらない「正しいレストア」とは?

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渋色フェラーリ「ディーノ」が1億円オーバー! 赤から銀へ変更されても評価の下がらない「正しいレストア」とは?

フェラーリ愛好家もガレージに収めたい「ディーノ」

今も昔も、クルマ好きの間では大人気を誇る「ディーノGT」。中でも最初期モデルにあたる「206GT」は、そのピュアな成り立ちやレア度からカリスマ的な存在となっている。北米フロリダ州シー諸島アメリア・アイランドを舞台に毎年3月に開催される大規模コンクール・デレガンスに付随して、2023年もRMサザビーズ北米本社の主導によって“AMELIA ISLAND”オークションが大々的に開かれたのだが、その競売会場には一台の206GTが登壇。驚くべきハンマープライスが、文字どおり叩き出されることになった。

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もっとも重要かつレアなディーノGTとは?

1960年代中盤、フェラーリの開祖エンツォは、最愛の息子ディーノが開発したエンジンを搭載すべき市販ストラダーレを、マラネッロの開発チームにゼロから設計することを命じた。そして完成したディーノ206GTは、同社初のミッドシップ・エンジンレイアウトの市販車であり、カムシャフトカバーに“Dino”の文字を誇らしげに鋳込んだ、バンク角65度のV型6気筒4カムシャフトのエンジンを初めて搭載した。

ディーノ206GTは、当時としては先進的な軽量オールアルミニウム製ボディ、気品を感じさせるほどにニュートラルなハンドリング、歌うような快音を聴かせるパワープラント、そして時代を超えたスタイリングを兼ね備えた、真のドライバーズカーであった。

ピニンファリーナに所属した二人の名匠、アルド・ブロヴァローネとレオナルド・フィオラヴァンティのビジョンは、名高い“カロッツェリア・スカリエッティ”の工房で実現されることになる。

ピニンファリーナのスタイリストが描き上げた、ゴージャスにして流麗きわまるラインはすべてアルミ合金で形成されていたこと。ホイールベースも60mmほど短かったことから、206GTは後継となる「246GT」のスチール製ボディワーク(開口部を除く)よりもかなり軽量に仕立てられていた。

そして、24歳の若さでこの世を去った愛息の夢を実現させたエンツォは、フェラーリの象徴である“カヴァッリーノ・ランパンテ(跳ね馬)”ではなく、ディーノ自身のサインでノーズを飾ることが相応しいと考えた。

こんにち、ディーノ206GTは多くのフェラーリ愛好家から、歴史的にももっとも重要なディーノGT。さらに言えば、もっとも重要なフェラーリ製ストラダーレの一つとして評価されている。

また1968年から1969年にかけて、スカリエッティにて完全ハンドビルドで製作された206GTは150台ほどに過ぎないことからも、スチールボディで量産された246GTよりも希少と見なされるのは当然のことであろう。

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色替えしても、センスと技術力があれば高い評価を受ける?

このほど“AMELIA ISLAND”オークションに出品されたディーノ206GTは、シャシーNo.#00136。フェラーリの公式生産記録によると、新車時には“ロッソ・キアロ(明るい赤)”に黒ビニール/赤ファブリックのコンビ仕立ての内装で仕立てられ、1968年8月30日にマラネッロの本社ファクトリーから出荷。同日にミラノの“クレパルディ・アウトモービリS.a.S.”社に引き渡されたのち、数週間後にクレパルディから最初のオーナー、イタロ・ムジコへと納車されたことが判明している。

ムジコはその後4年間にわたってディーノを愛用し、1972年にイタリアに駐在していたアメリカ人軍人のドン・グリッグ大尉に売却した。その後、アメリカに戻ったグリッグは1974年にチャールズ・チャック・サデックに売却。彼はその後30年間、ディーノを保有することになる。

2004年以降は、カリフォルニア州で複数のオーナーのもとを行き来したのち、同州在住のジョン・ガンダーソン氏にこの206GTを売却することになった。そしてガンダーソン氏は、2013年にコンクール・コンディションを目指したフルレストアに着手する。

その後3年間、カリフォルニアの“ディーノ・レストレーション”社によって、この個体はアルミ合金製のベアシェルまで剥離され、現在の姿に修復された。

同社のアレンジと監督のもと、メカニズム部分はカリフォルニア州オーシャンサイドの“デューガン・エンタープライズ”。カリフォルニア州サンティのボディスペシャリスト“スピードゾーン”社は、“グリージオ・ノッテ・メタリッツァート(ナイトグレー・メタリック)”でペイントを仕上げたのち、ディーノ・レストレーションはブルー布のシートインサートと黒のビニール製で構成される、正しいインテリアを組み合わせた。

こうしてみごとなレストアが完了したのち、ガンダーソンは自慢の愛車として“第24回パームビーチ・カヴァッリーノ・クラシック(XXVI Palm Beach Cavallino Classic)”に展示するとともに、モントレーの“コンコルソ・イタリアーノ(Concorso Italiano)”に複数回出場。2017年にクラス2位を獲得している。

その後ガンダーソンは2018年に、マイク・シーハン氏の“FERRARI’S ONLINE”を経て、今回のオークション出品者でもある現オーナーのもとへやってきた。

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工場出荷時のカラーではなくとも高評価

シャシーNo.#00136は、現存するディーノ206GTの中でもっともコンディションが良く、もっとも正しいものに確実にランクされる。目を引くブラックとブルーのインテリアは、“ネズミの毛皮”と呼ばれる246GT以降のスウェード風クロスではなく、総ビニール張りとされたダッシュパネルや、ナルディ社製のウッドステアリング、ディーノ206GT純正のシフトノブによって補完されている。

V6エンジンはフェラーリ初となったマニエッティ・マレリ製電子制御イグニッションを搭載し、「Dino」と刻まれたマグネシウム合金製バルブカバーが取り付けられている。

そのほかにもロール状のソフトケースにまかれた純正ツールキット、FIAMM社製バッテリー、185/R14サイズのミシュランMXVタイヤ、14インチのクロモドラ社製アロイホイール、オーナーズマニュアル、保証書のブックレット、専用の純正ジャッキ、消火器、マニエッティ・マレリ社製ワイパーブレードなど、細部まで正確に再現されている。

このディーノ206GTに下された落札価格は86万8500ドル(邦貨換算約1億1400万円)であった。

前述のとおり、ボディ/インテリアともにクラシックカーの世界では望ましいとされる新車時のオリジナルカラーから替えられてしまってはいるものの、現在のカラーリバリーも純正として存在した組み合わせをセンス良く再現していること。そしてコンクール・デレガンスの常連となった素晴らしいコンディションも相まって、億越えの高評価が付けられたと考えられよう。

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