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「1クラス上」の上質さ! フォルクスワーゲン・ポロへ試乗 強み沢山のハッチバック

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「1クラス上」の上質さ! フォルクスワーゲン・ポロへ試乗 強み沢山のハッチバック

トレンドはSUVへ 208やクリオとの厳しい競争

残念な事実だが、欧州では小さなハッチバックは減少傾向。精鋭の1台といえるフォルクスワーゲン・ポロも、その変化には逆らえないようだ。

【画像】「1クラス上」の上質さ! フォルクスワーゲン・ポロ 同クラスのハッチバックと比較 全152枚

小さなクルマへの支持は変わらない。だが、最近のトレンドは少し高級なSUVにある。フォルクスワーゲンも、Tクロスとタイゴというポロ・ベースの2種類を擁する。

現行の6代目ポロが登場したのは、2017年。優れた仕上がりで、クラスリーダーの位置を掴んだ。だが、新しいプジョー208やルノー・クリオ(ルーテシア)の登場で、厳しい競争へさらされている。

成功作として、6代目は先代からの正常進化版といえるが、スタイリングの目新しさは小さい。とはいえ車内は刷新されており、デジタル技術も積極的に実装する。生産縮小が進む今、改めて試乗してみたい。

ボディサイズは、全長が4074mm、全幅は1751mm、全高が1435mm。モジュラー仕様のMQB-A0プラットフォームを基礎骨格にし、5代目から81mm長く、63mm広い。ホイールは、15インチから17インチが用意される。

ひと回り以上大きくなったおかげで、路上での存在感は充分。2022年にフェイスリフトを受けたが、その内容は限定的だ。スリムなフロントグリルと眼光の鋭いLEDヘッドライトで、見た目は凛々しい。

スタイリングの特徴となるのが、フロントのホイールアーチ後方から立ち上がる、2本のキャラクターライン。上下の変化を付け、印象を引き締めている。フォルクスワーゲンとしては冒険的な処理だが、208ほどの個性はないだろう。

仕上げの丁寧な内装 ゆとりある車内空間

ボディ剛性は、新プラットフォームにより強化。サスペンションの動作精度が上がり、乗り心地も改善している。ちなみに英国には、15mm車高が落ちるアダプティブダンパーを得る、スポーツセレクト仕様もある。

インテリアデザインも、落ち着いていて個性は薄め。だが製造品質は高く、装備は充実し、長時間でも快適といえる。内装の仕上げは丁寧で、ソリッド感が全体に漂う。

ドアの内張りなどには硬質なプラスティックも見られるが、足もとが中心。ダッシュボード上部などはソフト加工され、肌触りが良く、高級感を生んでいる。

化粧トリムは、当初はボディ色とコーディネートできる選択肢があったが、現在の英国仕様はモノトーンに絞られている。光沢感やテクスチャが異なる程度だ。

車内空間の広さは、依然として強み。前席側の上下方向にはゆとりがあり、大人でも後席で快適に過ごせる。新しいルノー・クリオより、開放感も高い。ISOFIXのチャイルドシート・フックは、左右の2席へ備わる。

荷室容量は355L。後席を倒すと、1125Lへ広がる。このクラスでは、最大の容量といっていい。

インフォテインメント・システムは、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。音声操作も利用できる。タッチモニターの表示は鮮明で、反応は素早い。ショートカットキーも便利だし、エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されている。

燃費の良い95psのターボ しなやかな乗り心地

それでは公道へ出てみよう。英国仕様のエンジンは、TSIと呼ばれる1.0L 3気筒自然吸気の80psがエントリーユニット。その上にターボ版があり、95psか115psが選べる。

まず試乗したのは、80psの自然吸気。活発に走らせるには5速MTを積極的に操り、3700-3900rpmで発生する9.5kg-mの最大トルクを活用する必要がある。0-100km/h加速は、15.6秒と穏やかだ。

英国での主力は、95psを発揮する同じエンジンのターボ版。1600-3500rpmで17.8kg-mを発揮し、明確にたくましい。低回転域ではややノイジーだが、回転上昇は滑らかだ。

ただし5速MTのギア比が高く、燃費は優れるが、それなりに回さないと鋭い加速は得にくい。0-100km/h加速は10.8秒だ。DSGと呼ばれる、7速デュアルクラッチATも選べる。スムーズにギアは切り替わるが、キックダウンの反応はやや鈍い。

この上にあるのが、115psの1.0Lターボ。最大トルクは20.4kg-mへ上昇し、0-100km/h加速は9.8秒へ短縮される。

乗り心地は全般的にしなやか。最小クラスとは思えないほど上質だ。高速域での安定感は高く、路面のうねりも巧みに均してくれる。市街地の速度域での、凹凸の処理も見事。隆起部分では揺れが残るものの、堪えるような衝撃までは伝わらない。

ステアリングホイールは、適度にクイックで適度に重い。市街地では機敏に扱え、高速道路ではひと回り大きいモデルのように安心感を与える。グリップ力が高く、カーブが連続する区間では小さなボディを軽快に操れる。

安定した走り 外界との優れた隔離性

挙動を予想しやすい操縦性で、運転も楽しい。優れたグリップバランスで、アンダーステアも抑えられている。気張るほど徐々に外へ膨らむが、不安を招くほどではない。

ボディロールが大きくなると、タイヤの負荷が高まり、ステアリングホイールの重さも増す。グリップ力の限界を探れる、接地感までは伝わらないが。

シャシーは安定志向で、旋回中にアクセルペダルを一気に緩めても、リアタイヤを振り回せるわけではない。とはいえ、安定した走りや外界との優れた隔離性は、歴代のポロで受け継がれてきた強みだ。

英国価格は、80psのエントリーグレードでも約2万1000ポンド(約407万円)からとお高め。115psのブラックエディションを指定すると、約2万7500ポンド(約534万円)へ上昇する。

燃費は、80ps版で18.7km/L。エンジンの負荷が小さくなる95ps版では、19.3km/Lへ伸びる。115psでは、7速DSGのRライン・グレードで18.6km/Lがうたわれる。

7年目を迎えた6代目ポロ。走りの興奮を得るならGTIを指定することになるが、優れた完成度や実用性、製造品質など、今でも魅力は多い。大人っぽい雰囲気も好ましい。

個性は薄めといえ、現在は208やクリオ(ルーテシア)といった訴求力の高いモデルも存在する。だが、このクラスでは得難い懐の深い能力も有する。安心感の高い操縦性と良好な燃費、乗り心地や洗練性など、完璧なバランスにあるといっていい。

◯:広々とした車内空間 高い製造品質と1ランク上の装備 快適性と操縦性の優れたバランス
△:動的な刺激は薄め もう少し個性が欲しいデザイン ライバルに及ばないコスパ

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