2000年代に入って早くも21年が経過した。のちに「内燃機関最後の黄金時代」と呼ばれる可能性も高い21年間だ。
本企画では、そんな2000年以降に登場した新型車をメーカー別にランキング。それはそのまま日本車の近代史にもなる。今回は『日産・ホンダ編』だ!
※本稿は2021年8月のものです
文/松田 秀士 写真/NISSAN、HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年9月26日号
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【日産】山あり谷あり、激動の時期に登場したモデルたち
●ティーノハイブリッド(2000年3月デビュー)からノートオーラ(2021年6月デビュー)まで:全89車種
第1位:13代目スカイラインHV&400R(現行型・2019年マイチェン) HVは先進のプロパイロット2.0を装備、400Rは405psのドライバーオリエンテッドモデル
走り屋的には400Rの出現はうれしいが、技術の日産と唸らせるのはスカイラインHVに装備されるプロパイロット2.0。高速道路の制限速度内で両手離しのハンズオフが可能。
最近、自動運転とかでテスラや他メーカーがハンズオフやそれに近いことを実現してきているが、日産ではすでに’19年にこのシステムを市販していたのだ。
第2位:2代目リーフe+(現行型・2019年追加) 62kWhのバッテリーを搭載して航続距離458km(WLTCモード)、218psで強烈加速
第3位:GT-R(現行型)MY2017(2017年) 年々進化するGT-RのMY17モデルは走行性能とラグジュアリーな質感バランスが魅力
その先進の技術力ではセレナe-PОWERも見逃せない。当初はノートにリーフから流用したモーターをテスト的に採用したのか、と思いきや、爆発的にヒット。それをミニバンを動かすまでのパワーソースに昇華させている。
このシステム、発電用エンジンをバッテリーやほかのパワーソースに代替しても成立。カーボンニュートラル時代には打ってつけの技術である。
第4位:6代目フェアレディZ NISMO(現行型・2013年) コーナリング限界がわかりやすく、限界を超えても制御しやすいFR本来の楽しさを持つ
第5位:スカイラインクロスオーバー(2009年) スカイラインベースゆえFRのSUV。 3.7L、V6のパワーとFRのピュアなハンドリング
また、リーフe+は62kwhの大容量リチウムイオン電池を搭載して航続距離を延ばしただけではなく、EVをドライブすることの楽しさも押さえている。その加速感は40kWhのリーフとは一線を画す。
スタートダッシュから物凄い加速力。モーターは低中速のトルク特性に優れ、その特性をしっかり出している。半面、トルク反力が強いのでシャシーを含めた駆動系の強化が必須ながらクリア。
第6位:5代目セレナe-POWER(現行型・2018年追加) モーター駆動のe-POWERゆえ超低速から力強く加速。多人数乗車でもストレスなく走行
第7位:ルークス(現行型・2020年) スーパーハイト系ながら高速域で高い安定感がある。プロパイロットによる安全性も魅力
’17年モデルのGT-Rはスパフランコルシャンのサーキットでも試乗したし、アウトバーンも全開で走った。個人的にラグジュアリーすぎずスパルタンすぎず、最もバランスのとれたGT-Rと思う。
スカイラインクロスオーバーはとても記憶に残っているSUV。やってみよって感じで急にSUV化が始まったそうだけど、とにかく乗り味、ハンドリング、パワーフィールすべてが印象的。FRベースっていいなぁと感動したね。
第8位:デュアリス(2007年) スポーツSUVの先駆け。舗装路でのスポーティなハンドリングとシャープなフォルムが◎
第9位:ジュークNISMO(2013年追加) アクセントのあるポップなエクステリア。パワーアップエンジンとチューンサスのコラボ
SUVではデュアリスも印象深い。コンパクトSUVでスポーティなハンドリングを高いレベルに仕立て上げた。マイチェンでは海外ブランドのダンパーを採用するなど、真面目にハンドリングを追い求めていたね。好きでした。
コロナ禍でも日産は情報提供が多く試乗会も一番多い。試乗会は技術者と密なコミュニケーションが取れ、今回はそんな情報を得た観点からランキングをつけてみた。こうやって振り返ると、日産はさまざまなジャンルに精通していたことがわかる。
第10位:3代目ティアナ(2014年) 室内スペースを重視してFFを選択。大きいLサイズセダンのわりにハンドリングもいい
【ホンダ】時代とともに変貌を遂げているホンダ車の競演
●7代目シビック(2000年9月デビュー)からヴェゼル(2021年4月デビュー)まで:全84車種
第1位:2代目ヴェゼル(現行型・2021年) e:HEVのシェアが9割を占めるがコンベンショナルなガソリン車も見逃せない完成度
’07年のシビックタイプRの試乗会は鈴鹿サーキット。ノーマルでここまでサーキットを攻め込めるものか! と驚かされた。
しかし、一般路走行では恐ろしく硬いサスペンションを押さえつけるように耐えながら、しかしなんだか楽しい。やっぱりホンダだよね! という、乗り心地なんかどうでもよい、楽しいピュアなエンジンとハンドリングを持っていた。これがホンダだったのだ。
第2位:2代目フリード(現行型・2019年) 室内ユーティリティ、燃費、ADAS、ハンドリングのどれをとってもクラス最高のモデル
第3位:2代目N-WGN(現行型・2019年) ADASを備える安全性、驚きの室内静粛性。軽とは思えない乗り心地抜群のドラポジ
S660を作った時は、やっとホンダらしいクルマが登場したと歓喜したものだった。惜しみなく専用プラットフォームを奢り、しかもMRというレイアウト。
しかし、時代の流れとともにホンダは変わっていく。今もF1やINDYレースなど継続しながら、S660、NSXとスポーツモデルが消えてゆく。それは当然のこと、致し方ない経営判断とも思う。
第4位:5代目CR-V(現行型・2018年) サスがストレスなくスムーズに路面をなぞる。狙ったラインにピッタリ乗せられる操縦性
第5位:Honda e(現行型・2020年) EVでRRという個性派ゆえ前輪転舵角が大きく最小回転半径が軽以下。ハンドリングも◎
ただし、方向性は変わってもホンダの技術力は確かに生きている。’16年登場のフリードはコンパクトミニバンで揺るぎないヒットモデル。i-DCDハイブリッドはもうすぐ終了するが、高速域での燃費性能はバツグン。
ホンダセンシングも装備しADAS機能も充実している。また室内静粛性、乗り心地、ハンドリングもクラス最高である。
第6位:6代目レジェンド Honda SENSING Elite(現行型・2021年追加) 高速道路における50km/h以下の渋滞対応でのレベル3とはいえ、高い制御完成度を誇る
第7位:3代目シビックタイプR(2007年) 市販スポーツモデルでここまでサスの硬いセダンは類まれな存在。やる時はやるの典型
Honda eはFFにせずわざわざRRにしたところに現代のホンダ魂を感じる。このクルマはデザインだけではない。どこまでも走りたくなるハンドリングの楽しさがすぐに感じられるのだ。
実は10位にした初代シビックハイブリッドと1位ヴェゼルには不思議な共通点を感じる。それはハンドリングから感じる乗り味。ドライブしていてまったくストレスがないのだ。
第8位:S660(現行型・2015年) 軽でありながら専用プラットフォームを造りMRという夢のレイアウト。これが最後だ
第9位:初代MDX(2003年) 北米ホンダらしさが漂う堅剛ボディの3列7人乗りSUV。カナダで生産され日本にも輸入
ホンダ車は自然とアクセルを踏んでスピードを上げたくなるモデルが多いが、この2台はそんな誘惑を感じない。ゆっくり走っていても楽しい。常にクルマと一体化している自分を感じ、外の景色をクルマの外から眺めているような感覚的な解放感があるのだ。
第10位:初代シビックハイブリッド(2001年) セダンとしてのクォリティを重視したハイブリッド。エアコンは電動モーター駆動だった
ということで、ここ最近のホンダ車の進化がどの車種にもしっかりと感じられ、スポーツ性とは異なるメッセージが見え隠れする。そんなマインドを重要視して、そしてこれからのホンダの姿を予測しながらランク付けしてみた。
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