現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 売れゆきはいまひとつだけどかっこいい!! デビューから2年のマツダ3をどのように評価する?

ここから本文です

売れゆきはいまひとつだけどかっこいい!! デビューから2年のマツダ3をどのように評価する?

掲載 更新 416
売れゆきはいまひとつだけどかっこいい!! デビューから2年のマツダ3をどのように評価する?

 マツダ3を街で見かけると思わず目で追ってしまいます。発売は2019年5月ですから、デビューして2年が経ちますが、いまだにかっこよさが色褪せません。

 思い返してみると、2017年の東京モーターショーでマツダ3の始まりは、原型となるマツダ魁(KAI)コンセプトが発表されたことでした。魂動デザインがフェーズ2へと進化したデザインとしても注目を集めたのですが、さらに驚くことに、そのコンセプトカーがほぼそのままマツダ3となって登場したのです。

6月29日デビュー目前に試乗!! 新型ベンツCクラスは何がどれだけ進化した?

 量産化に向けてラインや面構成にいっさい妥協することなく作り込んだ結果のかっこよさということなのでしょう。いまだ色褪せないカッコよさというのはこの辺にあるのでしょう。

 個人的にもとても好きなクルマの一台で、魅力的な内容を持ったクルマでもあると思います。ただ、販売台数(2021年4月535台、5月967台)を見るとあまり好調とは言えません。

 そんなマツダ3の実力を改めて評価するとともに、イマイチ販売に結びつかない理由についても考察してみたいと思います。

文/斎藤 聡
写真/MAZDA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】マツダ3はカッコいい!でも売れない理由を写真を通して再検証!!

■デザインとスカイアクティブ-Xエンジンが魅力!

 マツダ3の魅力として挙げられるのは、やはりそのデザインでしょう。冒頭にも書いたようにコンセプトカーそのままといえるくらい攻めたデザインで登場したことにあると思います。しかも、走らせてみるとこれがまたとてもよくできています。

 エンジンを取り上げてみても、1.5Lと2Lのガソリンエンジン、1.8Lディーゼルターボ、それにPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用したスカイアクティブ-X が用意されています。

今春の改良時、スカイアクティブ-X搭載車には、フロントフェンダー部にバッジが追加された。マツダの誇る世界初の技術を搭載したクルマであることをさりげなくアピール

 1.5Lと2Lはともに圧縮比が13対1という高圧縮比エンジンで、パワーこそ1.5L=111ps/146Nm、2L=156ps/199Nmと、突出した数値ではありませんが、高圧縮比エンジンならではのビート感とか、高回転まで回した時にパワーが伸びあがっていく感覚が気持ちよいエンジンになりました。

 1.8Lディーゼルターボは、圧縮比14.0対1のロープレッシャーディーゼルで、130ps/270Nmを発揮するクリーンディーゼルです。低圧縮比の効果でエンジンが軽々と吹き上がります。

 2020年11月のマイナーチェンジで116ps/270Nmからパワーアップしたことで、高回転の伸びが気持ちよくなっており、加えて低中回転域のトルクに厚みが出て全体に力感が増しました。

 スカイアクティブ-Xは2L+スーパーチャージャー+マイルドハイブリッドで構成する超希薄燃焼エンジンです。ガソリンエンジンを高圧縮比にすることでディーゼルエンジンのように圧縮着火させるエンジンなんです。

昨年のマイナーチェンジで「e-SKYACTIVE X」としてハイブリッドであることを表すようになったスカイアクティブ-Xエンジン。マツダの本音とは違うのであろうが、電動化の波には抵抗できない?

 このエンジンを量産化するためにスパークプラグによって爆発のきっかけを作ってやることで、安定した圧縮着火を可能にしました。一見、普通のエンジンの火花着火と変わらないように見えますが、燃焼速度がまったく異なります。

 新しい燃焼技術を実現したことでガソリンエンジンの未来に可能性を広げたエンジンなのです。

 パワースペックはデビュー当初180ps/224Nmでしたが、マイナーチェンジで190ps/240Nmにパワーアップしました。

 同じ2020年11月に道路交通法と道路運送車両法が改正され、ソフトウエアの更新による車両のアップデートが可能になりました。これを受けてマツダは、すでに販売しているマツダ3とCX-30のレーンキープアシストとレーダークルーズコントロールの制御を無償アップデート。

 スカイアクティブ-Xエンジン搭載車については、AT制御プログラムとエンジンのパワーアップ(190ps/240Nm)も無償アップデートできることになりました。このパワーアップによって、パワー感が増したのはもちろん、トルク感がくっきりと浮かび上がって、エンジンの存在感が増しました。

 操縦性については、先代モデルとなるアクセラのリアマルチリンクサスペンション(独立式)から、マツダ3ではリジッドのトーションビームサスペンションへと変更されています。「グレードダウン?」 と思われましたが、いざ試乗してみると精度感の高い操縦性は、先代モデル以上に仕上がっていました。

 不評だった硬めの乗り心地も先のマイナーチェンジで改善され、ぐっとマイルドで心地よいものになりました。

マツダ3の改良はアップデートのように頻繁に実施されている。ユーザーの声を反映し、商品力のアップを図っている。常にいいクルマの提供をするというメーカーの意思の表われである

 このサスペンションにはGベクタリングコントロール(GVC)という制御が組み込まれており、カーブやレーンチェンジでクルマを滑らかに走らせてくれるようプログラムされています。これもマツダ3の心地よい走りの重要なポイントといえます。

 4WDにはさらに進化したGVCプラスがプログラムされていて、新たにブレーキによる姿勢制御ができるようになりました。

■マツダの基幹車種として、ものすごく出来はいいのだが、そのよさが伝わりづらい

 というわけで、上に述べたように、マツダ3の出来はとてもいいと思います。ではなぜ人気が盛り上がらないのか。

 その理由は「性能のわかりにくさ」にあるのではないかと考えます。

 例えばエンジンです。1.5Lは111ps、2Lは156psです。特に貧弱というわけではありませんが、目を見張るほどのパワーでもありません。じつは、圧縮比13.0対1という高圧縮比による高圧縮エンジンならではのビート感とか高回転域の伸びやかさを持っているのですが、それは実際に乗ってみないとわかりません。

スカイアクティブX以外のエンジンは普通。ディーゼルはアクセラが2.2Lターボだったのに対してマツダ3では1.8Lターボへ排気量をダウンしてしまった。メーカーとしてそのよさを活かす努力をしているが、残念ながら販売に繋がっていない

 ディーゼルエンジンについても、先代アクセラは2.2Lディーゼルターボを搭載していて、172ps/420Nmを発揮。特に420Nmを発揮する極太のトルクとそれによる豪快な加速感が魅力でした。

 対してマツダ3は、1.8Lディーゼルターボへとダウンサイジング。マイナーチェンジ前に比べるとのびやかで気持ちのいい吹き上がりを見せるようになりましたが、2.2Lの迫力には及びません。もちろん、過不足のないパワーではあるのですが、このエンジンに乗りたいと思わせる求引力が足りないように思います。

 スカイアクティブ-Xは、エンジン設計者が考える内燃機エンジンの理想を追い求めたエンジンで、火花点火を引き金にしているとはいえ、圧縮着火を実現しているわけで、もの凄く高いハードルをクリアしているのです。

 内燃機関の可能性を広げる技術を搭載していますから、それだけでも価値があると思うのですが、結果として2L PCCI+マイルドハイブリッド+スーパーチャージャーで、190ps/240Nmというパワースペックと、JC08モード燃費18.0km/L、WLTCモード燃費(平均)17.3km/Lで、突出した数値とはいいがたいものです。

 鳴り物入りで登場した新型エンジンなので、もの凄い燃費とか、もの凄いパワースペックを期待してしまうわけです。

■モノってよければ売れるのか?「売る」ことへメーカーが真剣に向き合う時期ではないか

 実際にマツダ3を走らせてみると、スカイアクティブ-Xも、スカイアクティブ-Dも、スカイアクティブ-Gの1.5Lと2Lのガソリンエンジンもどれもが癖がなく、しかもドライバーの意図を汲むように、微細なアクセル操作に反応して一体感のある走りを体感させてくれます。その作り込みは見事だと思います。

 でもそれを、初めてディーラーに試乗にやってきたドライバーに感じさせたり納得してもらうのは、なかなか難しい仕事だと思います。

マツダ3へのこだわりは走り、感性、デザインのすべてに注ぎ込まれている。が、クールなイメージを先行させたメーカーの戦略に、このクルマのよさが見えづらくなり、販売にも影響を与えてしまっている様に見える

 マツダはものすごく真摯にクルマを作り込んでいて、ドライバーがクルマを運転することで得られる一体感とか、思いどおりに走るクルマをの楽しさの実現に全力をかけているわけです。

 だから個人的には、マツダ3は価格に見合った魅力的なクルマだと思うのですが(実際ボクはマツダ3を買っちゃいましたから)、その価値のわかりにくさは、このクルマの販売面でのハードルになっているのではないかと思います。

【画像ギャラリー】マツダ3はカッコいい!でも売れない理由を写真を通して再検証!!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
昭和の香り残す街に130台のクラシックカー…青梅宿懐古自動車同窓会2024
レスポンス
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
三菱「新型SUVミニバン」公開! 全長4.5m級ボディדジムニー超え”最低地上高採用! タフ仕様の「エクスパンダークロス アウトドアE」比国に登場
くるまのニュース
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
新型フォルクスワーゲン・ティグアン発売。7年ぶり全面刷新、2Lディーゼルと1.5Lハイブリッドを展開
AUTOSPORT web
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
【第2回】サイトウサトシのタイヤノハナシ:スタッドレスタイヤはなぜ効く?
AUTOCAR JAPAN
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
巨大GTウイングに赤黒の「トミカスカイライン」カラー! リバティウォークはトラック相手でも容赦なしの圧巻カスタム!!
WEB CARTOP
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
ガスリー、ご近所さんになった角田裕毅とカラオケ熱唱「声枯れるほど歌った。楽しい夜だった」思い出アデルの曲も再び
motorsport.com 日本版
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
Jujuが人気ドライバー部門首位「暖かい声援が何よりも活力に」。2024年のSFgoアワードはTGMが“2冠”
AUTOSPORT web
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
ラリーカーが空を飛ぶ! WRCラリージャパン堂々幕開け。Rally1ではM-スポーツ・フォードのフルモーSSS1最速。勝田貴元3番手
motorsport.com 日本版
60系『プリウス』のメーター手前を小物置きに、カーメイトが専用トレー発売
60系『プリウス』のメーター手前を小物置きに、カーメイトが専用トレー発売
レスポンス
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
くるまのニュース
“ツーリングもサーキットも楽しめる”スーパースポーツバイク! ヤマハ「YZF-R7 ABS」の2025年モデルは鮮烈なブルーとグレーが魅力です
“ツーリングもサーキットも楽しめる”スーパースポーツバイク! ヤマハ「YZF-R7 ABS」の2025年モデルは鮮烈なブルーとグレーが魅力です
VAGUE
レクサス新型「本格ラグジュアリーSUV」発表! “450馬力”超えの「3列シート」採用モデル登場! 超パワフルな「高性能ハイブリッド」初搭載した“新型LX”加国発売!
レクサス新型「本格ラグジュアリーSUV」発表! “450馬力”超えの「3列シート」採用モデル登場! 超パワフルな「高性能ハイブリッド」初搭載した“新型LX”加国発売!
くるまのニュース
いすゞ、新開発の2.2Lディーゼルエンジンを『D-MAX』と『MU-X』に搭載
いすゞ、新開発の2.2Lディーゼルエンジンを『D-MAX』と『MU-X』に搭載
レスポンス
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
新型「“真っ黒”クロスオーバーSUV」発表! 初の「精悍ブラック仕様」&特別な“豪華内装”採用! 専用装備マシマシな「Cクラス オールテレイン」登場!
新型「“真っ黒”クロスオーバーSUV」発表! 初の「精悍ブラック仕様」&特別な“豪華内装”採用! 専用装備マシマシな「Cクラス オールテレイン」登場!
くるまのニュース
最新EVと環境への挑戦を体感! 第30回日本EVフェスティバル 11月23日
最新EVと環境への挑戦を体感! 第30回日本EVフェスティバル 11月23日
レスポンス
インフィニティ、フルサイズSUV『QX80』新型の購入者に新サービス…専任コーディネーターが対応
インフィニティ、フルサイズSUV『QX80』新型の購入者に新サービス…専任コーディネーターが対応
レスポンス
ホンダ「2列×6人乗り」小型ミニバンが凄い! まさかの「前席に3人並ぶ」斬新シート採用! 全長4.3mで「最高にちょうどいい」サイズの“エディックス”とは!
ホンダ「2列×6人乗り」小型ミニバンが凄い! まさかの「前席に3人並ぶ」斬新シート採用! 全長4.3mで「最高にちょうどいい」サイズの“エディックス”とは!
くるまのニュース

みんなのコメント

416件
  • マツダ3を高く評価した評論家や自動車ジャーナリストたちの実際どれだけが自腹でマツダ3を購入しているのだろうか?

    彼らの大半の評価は一般ユーザー目線からは乖離したものだからあまり当てにはならないのだが。
  • デザインもエンジンも独りよがり。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

221.0350.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

107.7379.8万円

中古車を検索
MAZDA3 ファストバックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

221.0350.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

107.7379.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村