三菱自動車(以下、三菱)の新型「トライトン」は、思いのほか洗練されたピックアップトラックだった! 小川フミオがリポートする。
評判上々
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三菱が2024年2月14日に発売したピックアップトラック、新型トライトンは、都会で乗るのもまたスタイリッシュだ。
新型トライトンの魅力は、もちろん、高いオフロードでの走破性が真っ先にくる。その次は、意外かもしれないけれど、オンロードでの快適性。くわえて、後席を含めて余裕あるスペースのキャビン。言うまでもなく、汎用性の高い荷台をもつ車体も、道具的なアピール力を発揮している。さまざまな面でよくできている。
北米の、それもロサンゼルスとかだと、大型のダブルクルーキャブ(4ドアのキャビンをもったピックアップトラック)は、ずっと人気が高い。デュアリーというダブルタイヤを履いたモデルもある。
あれはカッコよい。そう思っているひとが、これまで日本でのトヨタ「ハイラックス」の人気を支えていて、そこに三菱がトライトンで参入したのだ。一般へのお披露目は、2024年1月の東京オートサロン2024だった。
評判は上々で、ボディサイズこそ全長で5.0mを超えるものの、予約注文はメーカーの予想を超えたようだ。「パジェロ」からの乗り換えもいるとのこと。グローバルでは3代目になるトライトンは、パジェロより洗練された出来である。
今回乗った上級グレードの「GSR」は、全長5360mm(下のグレードのGLSは5320mm)、全幅1930mm(1865mm)、全高1815mm(1795mm).
大型フロントグリルと、ブラックのアクセントトリム。それに大型補助ライトなど、ただでさえ前面投影面積が大きく、迫力があるフロントを、さらにアグレッシブに見せている。それを含めて、日本の路上には十分すぎるサイズ感。ファンはそこが好きなはず、だ。
どんな道でもぴたっとまっすぐ走れるようにこのサイズなので鈍重かというと、期待以上の走りを楽しませてくれるモデルだった。最高出力こそ150kWに抑えられているものの、最大トルクが470Nmある2439cc直列4気筒ディーゼルエンジンは、ごく低回転域からしっかりとしたトルク感を持つ一方、一般道では意外なほど軽快にまわる。よって、ドライブが楽しい。
くわえて、私は山梨県の富士ヶ嶺(ふじがね)オフロードでもテストドライブを経験した。悪路走破性もトライトンの大きな武器である。
小さなコーナーもスムーズに曲がれるようにするため、トルク感応式センターデフが働く4Hモードもある「スーパーセレクト4WD-II」をはじめ、「競合に対してのメリット」(三菱の技術者)と、胸をはる7つのドライブモード、そして3つめが「ランサーエボリューションの技術を踏襲」(同)してカーブや滑りやすい路面での走行性能を上げた「AYC(アクティブヨーコントロール)」だ。
上記を総合して開発者は「車体の大きさを感じさせないほど、取りまわしがよく、軽快なハンドリングを実現した」と、する。実際に、大きな傾斜のついた岩場の登り降りや、細いコースのきついカーブを曲がっていったとき、スムーズに走れる。
道に応じて、スーパーセレクト4WD-IIの「4H」、センターデフをロックする「4HLc」それに超がつく悪路用のローギア「4LLc」をダイヤルで切り替えて走ってみた。実際のところ、よっぽどのことがないかぎり「4LLc」を使う必要はなさそうだ。ここまでやるのが、パジェロ以来4WD技術を磨いてきた三菱のエンジニアの矜持といえるかも。
冒頭で触れたとおり、オンロードでの快適性も、トライトンで感心させられた点だ。本格的クロスカントリー4WDの定石であるセパレートフレームのシャシーは「横と上下方向の剛性を確保するとともに、曲げとねじり剛性を大きく引き上げた」と、開発者。
オフロードでの乗り心地も、今回のトライトンで重視したポイントだったそう。「サスペンションが延びきった状態で(悪路で)ジャンプしないよう、オーストラリアのテストなどでしっかり調整しました」と、付けくわえられた。
リヤサスペンションはリーフスプリングの固定式だけど、こちらも(3枚のリーフの)レイヤー間のフリクションを除去するなどのファインチューニングの恩恵もあるのだろうか、乗り心地の快適性にも感心した。
ハンドルを操舵したときの車体の応答性もよい。同時に印象的だったのは、キャスターアクションといって、ハンドルを切ったあと中立に戻る復元力が意外にしっかりあったこと。クロスカントリー型4WDではあえてこれを弱くしているモデルもある。理由は「どんな道でもぴたっとまっすぐ走れるように」ということだ。
サイズ的な問題さえなければ、街中でしか使わないって人でも、十分満足いくだろう。静粛性も高い。リヤシートも広いし、クッションもソフトだ。
荷台は大きい。奥行き1470mm、幅1525mmもある。三菱の開発者は、(2006年発売の初代)トライトンの荷台にモトクロッサーを載せて出かけているそうで、そういう使いかたがぴったり。
いっぽう、荷台の使い方として、電動やハードタイプなど各種トノーカバーや電動ポップアップウインドウもそなえたキャノピーといったオプションが三菱自製で用意されている。いろいろ手を入れられるのも、ピックアップトラックの良さなのだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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