この記事をまとめると
■韓国最大の自動車メーカー・ヒョンデにはプレミアムブランド「ジェネシス」が存在する
「ヒュンダイ」が「ヒョンデ」に名前を変えて日本再上陸! 国産メーカーを脅かす「電動車」技術の高さ
■トヨタのレクサスブランドでの成功を受けて2008年から市販車を発売
■当初は酷評を受けたが現在では個性的かつハイクオリティなクルマを多数生んでいる
トヨタにとってのレクサスのようなヒョンデのプレミアムブランド
トヨタにレクサス、日産にはインフィニティがあるように、いまをときめくヒョンデにも独立した高級車ブランドがあること、ご存じでしょうか。
その名も「ジェネシス(ラテン語で創世記の意味)」は、2000年代の初頭に計画がスタートして、現在までに数種類のラグジュアリーモデルをリリース。韓国内はもちろん、北米でも存在感は増しており、ラインアップするモデルもなかなかの出来ばえだとか。ちょっと気になるジェネシスをチェックしてみましょう。
2003年、トヨタが北米で発売していたレクサスを日本国内にも導入することを発表しました。かいつまんでいえば、それまでセルシオとして売られていたクルマが、レクサスLS400というバッジに変わったわけです。
これを、現代自動車は一遇のチャンスととり、自社でも独立した高級車ブランドを立ち上げることを決定。ですが、それを発表した2004年というのは世界的な恐慌があったほか、北米でヒョンデの知名度やブランド価値はまだまだ発展途上というタイミング。
ヒョンデ自身も「ショールームの端にある安いだけが取り柄のブランドが、いくら高級な大型車を出したとしてもうまくいくわけない」とわかっていたはずで、ジェネシス計画の発表は2004年でも、実車の販売は2008年が目標とされたのです。
もちろん、それ以前にもヒョンデには高級車と呼ばれるモデル「エクウス」がラインアップしていたものの、ご承じのとおりこれは三菱自動車とのタイアップ。まさか、これをベースにジェネシスを作るわけにもいきません。
当然、エンジンから車体まで新開発として、サイズも大幅にアップ。この初代ジェネシスのコンセプトモデルは2007年のニューヨークモーターショーでお披露目され、量産モデルは目標どおり2008年から販売を開始しています。
ボディサイズは全長4975mm・全幅1890mm・全高1480mmと、LS400にほど近いもの。エンジンは自社独自開発の3.3リッターV6(262馬力/32.2kgm)と3.8リッター(290馬力/36.5kgm)のラムダ(λ)エンジンを搭載。そして、北米仕様車には4.6リッターV8(375馬力)も用意されました。
初代ジェネシスモデルはそれなりに頑張った意欲作でありながら、価格は3万ドルと、ヒョンデとしてはじつに高級な価格設定。きっと、当時の首脳陣は大衆車では得難い「ボロ儲け」を企んだに違いないのですが、市場の反響はなかなか厳しいものだったようです。
たとえば、ニューヨーク・タイムズは初代ジェネシスを「前からはトヨタ・カムリ、横からは日産マキシマ、後ろからはビュイックに見える」などとケチョンケチョン(笑)。その後、イタリアの「プラダ」とコラボレーションした限定車などをリリースするなど、積極的に高級感を打ち出したものの、初代ジェネシスは期待されたほどの売上げにはならなかった模様です。
とはいえジェネシスは、途中で「G80」と名前を変えながら、2020年までに2回のフルモデルチェンジを実行しており、とくにジェネシスのフラッグシップとしては通算3代目となる現行モデルでは、「デザイナー変わったな」というのがよくわかるほどシュッと垢抜けしています。
また、韓国大型車初のEVモデルが登場したのも現行G80であり、プレミアムモデルとしての面目は見事に果たしているといえるでしょう。
意欲的なモデルを多数リリースしレースにも挑戦
そのほか、ジェネシスは高級車ジャンルでなくとも、なかなか興味深いモデルをリリースしています。たとえば、初代G80と同時に発表されたジェネシス・クーペは、わが国で86・BRZが発売される前だったこともあり、ターボ付き2リッターFRクーペとして大いに注目を集めました。
これがアメリカでカーボンボディにカスタムされ、エンジンをチューンアップしたドリフトマシンとして製作されると人気は急上昇。ロッド・ミレンの息子であるリース・ミレンがドライバーとなり、ドリフト競技「フォーミュラD」に参戦するなど、日本国内でも並行輸入されんばかりの注目を浴びたものです。
また、2020年にデビューしたGV70もプレミアム路線をひた走るSUV。韓国のデザインセンターとアメリカ、ドイツのデザイナーが共同で作り上げたボディは個性的といえば個性的なもの。
メルセデス・ベンツGLC、BMW X3/X4、レクサスNXなどを仮想ライバルとし、ジェネシスの最新デザイン言語「Athletic Elegance」とやらを踏襲。顔つきからしてG80に通じるプレミアを感じさせてくれます。
搭載されるエンジンは2.2リッター直列4気筒ディーゼル、2.5リッター直4と3.5リッターV6の2種のガソリンエンジン(ターボ付き)とバリエーションも揃えられています。
ちなみに、ゲームのグランツーリスモが好きな方なら、ジェネシスがゲーム向けコンセプトマシン「ビジョン・グランツーリスモ」に参加していることご存じかと。2015年にVision Gなるコンセプトモデルを皮切りに、2023年のX Gran Berlinetta Vision Gran Turismoに至るまで、ゲームの世界らしくカッコいいモデルを発表し続けているのです。
なお、2024年にヒョンデはジェネシスのブランドで、オレカ製シャシーのハイパーカー「GMR-001」を作って2026年よりFIA 世界耐久選手権(WEC)に、2027年にはウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦する事を発表するなど、レースの世界でも存在感を得ようと奮闘中。
レクサスだってクルマを売るためにヨットや飛行機に手を出しているわけですから、ジェネシスにもさまざまなジャンルで頑張ってほしいもの。というか、まずは日本に初上陸してもらうのが先決かもしれませんけどね。
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