現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 アストンマーティン DBXの巻

ここから本文です

西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 アストンマーティン DBXの巻

掲載 16
西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 アストンマーティン DBXの巻

SUVの形をしたGTカー、だが……

結論から言うと、DBXは反則なのである。何が反則なのかというと、その乗り味が全くもって他のSUV、とりわけスポーツタイプに属するポルシェやランボルギーニ、BMW M系とも違っているからだ。

アストンマーティン DBXのカタログはこちら

DBXのドライブフィールを一度味わえば、ウルスだってランドローバーの仲間に思えてしまうほどだ。DBXの走りは正真正銘に“背の高い”アストンマーティンで、同じブランドの背の低い車たちと同じテイストの走りを実現できているという点で、他の高性能SUVとは一線を画している。これはSUVの形をしたGTカーである。SUVではない。 一見してアストンマーティンだとわかるクーペフォルムだ。けれども実はかなり大柄で、サイズ的には全長5m×全幅2mでウルスほどではないけれどもカイエンクーペとタメを張る。全高だけは1.7m以下に抑えられた。幅広く低いため、大きく見えないのだ。

けれども大きく見えないことは、この車を実用車として使いたい向きには有効だろう。レンジローバーやメルセデス・ベンツ Gクラスといった本格的なクロカン高級モデルは、もう乗る前からその大きさにビビってしまう方も多い。けれども、DBXならばさほど威圧感を感じることなく乗り込める。 そして、ここからが肝心なのだけれども、運転している間は一層、その大きさを感じることがないのだ。物理的に狭い状況に追い込まれない限り、つまり街中をクルーズしているだけならば、その身のこなしはどこまでも機敏でドライバーとの一体感も大いにあって、不必要にボディサイズを大きく感じることがない。その点、普通の大型SUVの場合には、交差点を曲がるたび重量やサイズを感じてしまう。そこから、乗る前の大きなサイズイメージにいろいろと不安が重なって、乗りづらいという心理状況に陥るパターンも少なくない。オーダーメードと吊るしのスーツの違いくらい、フィット感が違っている。

そのうえDBXの動きはというと、これはもう背の低いアストンそのままだ。まるでDB11の車高を上げてドライブしている気分になる。SUVだから視界も良いわけで、そこにドライバーと車体との一体感があれば、乗りやすいと思うのは当然だろう。

ただ乗りやすいだけじゃない。ドライブフィールがもはやSUV離れしており、まるでスポーツクーペである。ラグジュアリーな内装の4ドアモデルだということを考えれば、言ってみればこれはただ車高を上げただけのラピードだ。

それゆえ、カントリーロードに持ち出してもちょっとしたスポーツカーのように楽しめるし、高速道路ではアストンらしく豪華なクルーザーに徹する。意のままに動く感覚の純度が低いというのが筆者のSUV嫌いの原点だったから、DBXは見事にそれを解消している。 逆に言うと、乗っていて大型SUVのもつおおらかさはまるでない。でっかい車に乗っているのだ、という安心感もない。ハンドリングは機敏だから、落ち着かないと思う場面もある。めちゃくちゃフィットしていると思うということは逆に言うと、遊びがない。SUVが好まれる理由のひとつに、その安心感をあげる人が多い。これは大きさを感じさせることとほとんど同じ意味だから、長所にもなるし欠点にもなるということ。旧来のSUV好きにはそこが少し気になるのではないか?

筆者はSUVを好まない。だから、大きさからくる安心感などハナから求めていない。DBXのように一体感をもって走ってくれるに越したことがない。そういう意味では、SUV嫌いにとって最高の選択肢と言えるかもしれない。 現時点でSUV嫌いにつける最良のクスリはDBXだろう。なぜなら、その走りはまるでSUVらしくないからだ。でも、これをもって解決したとは思いたくない。なぜならDBXは反則だからだ。この走りはDBXにしかないし、他の誰も真似できない。ひょっとしてフェラーリがやってくれるかもしれない。けれども、それはまだ少し先の話だろう。

SUVらしさ、つまり一体感を犠牲にしても大らかな気分にさせるあの乗り味を好きだと思わせるSUVにも出会ってみたい。正統派のSUVでその境地に達することは果たしてできるのだろうか。 アストンマーティン DBXの中古車を見る文/西川淳 写真/橋本玲、アストンマーティンジャパン

 アストンマーティン DBXのカタログはこちらカーセンサーEDGE.netはこちら

こんな記事も読まれています

夢のように走った「RR」 3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2) クラス優勝の常連
夢のように走った「RR」 3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2) クラス優勝の常連
AUTOCAR JAPAN
東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)
東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)
AUTOCAR JAPAN
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
あまり重いと走行不可能! 重い積み荷の巨大トラックは「何トン」まで公道を普通に走ってOK?
WEB CARTOP
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
GQ JAPAN
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
ホンダが認証不正で会見 対象車種の累計販売は325万台 「遵法性の意識に大きな問題」
日刊自動車新聞
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
新デザインになった「ゆるキャン△ピングカー」イベント展示とオフィシャルグッズ販売が決定!
乗りものニュース
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
エステバン・オコン、今季限りでアルピーヌを離脱「次の計画はすぐに発表する」
motorsport.com 日本版
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
ルノー「カングー」でこだわりの趣味を満喫!最長1年間貸与のモニターキャンペーン第3弾
グーネット
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
シボレー「コルベット E-RAY」発表 史上初の電動化&AWD車 加速性能は歴代最速に
グーネット
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
ホンダ、新エアロにより最高速は向上も残る課題。新エンジン投入はサマーブレイク後の見込み/第7戦イタリアGP
AUTOSPORT web
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
ザ・ニッポンの高級車の進化──新型トヨタ・クラウン・クロスオーバー試乗記
GQ JAPAN
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時は一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に構築
トヨタの豊田章男会長、不正発覚で陳謝 「間違いをした時は一度立ち止まる」 認証プロセス管理の仕組みは年内に構築
日刊自動車新聞
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
ボルボの最新BEV「EX30」の全身に息づく"ほどよきこと"の魅力
@DIME
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
トヨタが発表した不正行為と対象車種の一覧
日刊自動車新聞
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
「5ナンバー車」もはや中途半端? 規格を守る意義 “ちょっと幅出ちゃって3ナンバー”と、実際違いあるか
乗りものニュース
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
『フェルスタッペン×アロンソ』“最強タッグ”の可能性はあったのか? レッドブル重鎮マルコ「チームを良い方向に進めるのは難しかっただろう」
motorsport.com 日本版
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
[サウンド制御術・実践講座]「タイムアライメント」を使いこなせると、演奏を立体的に再現可能!
レスポンス
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
【途中経過】2024年スーパーGT第3戦鈴鹿 決勝1時間半時点
AUTOSPORT web

みんなのコメント

16件
  • 個人的には、この西川淳って人の文章気持ち悪いです。
    もしくは、これ書いているのは気持ち悪い人なんだろうなと感じさせる文章。
  • また西川氏か。
    何も響かない文章を書くこの人に執筆を依頼するのはなぜ?読者は全く支持していないですよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2500.03119.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1748.04750.0万円

中古車を検索
DBXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2500.03119.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1748.04750.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村