■ホンダの四輪メーカーとしての歴史はスーパー軽トラックから始まった
ホンダは1948年に創立され、2019年現在で71年の歴史があります。最初は自転車用補助エンジンの製造からスタートし、いまでは飛行機を製造するほどの大メーカーです。
なぜホンダの技術はマネされない? 他社が「センタータンク」採用しない理由
オートバイメーカーから自動車メーカーになったホンダが最初に販売したのが軽トラックですが、それ以降ホンダは数多くの商用車を世に出してきました。
そこで、これまで販売されたホンダの商用車のなかかから、とくにユニークなモデル5車種をピックアップして紹介します。
●T360
前述のとおり、ホンダが最初に販売した四輪車は、1963年に発売された360ccエンジンの軽トラックでした。この記念すべきホンダ初の四輪車は、スポーツカーのエンジンを搭載した「T360」です。
同時期に開発していたオープン2シーターモデルの「スポーツ360」が未発売となり、これに搭載していた360cc水冷DOHC直列4気筒エンジンをT360にも搭載。最高出力30馬力を8500rpmで発揮する、当時の軽自動車の水準を大きく上回るものでした。
しかし、商用車は耐久性やメンテナンス性が重要視されるため、高回転型エンジンは必要なく、むしろ低速トルクのほうが重要です。
結果、販売台数は振るわず、4年後には空冷OHC2気筒エンジンの「TN360」にバトンタッチされ、生産を終了しました。
T360は前代未聞の高性能なエンジンを搭載した軽トラックとして、いまも愛好家が多く、イベントなどで元気に走る姿を見ることができます。また、ツインリンクもてぎ(栃木県)にあるホンダコレクションホールには、新車のようにレストアされたT360が動態保存されています。
●L700
ホンダはオートバイやF1で培った技術を投入し、600ccながら57馬力を発揮する直列4気筒DOHCエンジンを搭載したオープン2シーターのFRスポーツカー「S600」を1964年に発売。
翌1965年には「高速時代のライトバン」として、S600のエンジンをベースに排気量を700ccへ拡大し、低回転時のトルク不足を補ったエンジンを搭載した、ライトバン型の小型商用車「L700」を発売します。
一般家庭におけるクルマの普及以前、大人4人が乗車できて荷物も載せられる「貨客兼用」であるライトバンが、個人商店を営む家庭に人気となり、各自動車メーカーから乗用車のシャシを使ったライトバンがラインナップされていました。
L700は52馬力までデチューンされていたとはいえ高回転型のDOHCエンジンを搭載し、日本車初のストラット式サスペンションをフロントに採用するなど、ライトバンにも先進技術を投入するホンダらしさがあふれたクルマでした。
シャシはモノコックではなくフレーム構造で、テールゲートを備えた3ドアボディとなっていて、兄弟車としてピックアップトラックの「P700」も発売されました。
しかし前出のT360と同様に高回転型エンジンは商用車に適しておらず、販売数は極めて少ないものでした。
1966年には「S800」のエンジンをベースにして、さらに低速トルクを補った「L800」と「P800」も発売しましたが、その2年後には生産を終了。現存数も少なく、非常に希少なクルマです。
●ライフステップバン/ライフピックアップ
横置きエンジンのFFレイアウトを採用し、軽自動車でありながら広い室内空間と高い性能でヒット作となったホンダ「N360」の後継車として、1971年に初代「ライフ」が発売され、Nシリーズと同様に人気となります。
そして、さらに多くのニーズに対応するために、1972年にライフのシャシを使った派生車である、軽バン「ライフステップバン」と軽トラックの「ライフピックアップ」が発売されました。
外観は直線基調のボクシーなボンネットバンで、すでに現在の軽トールワゴンと同様なディテールを確立しており、当時は斬新なものでした。
また、軽ワンボックスバンはフロントシート下にエンジンを置き後輪を駆動するFRが主流でしたが、ライフステップバン/ピックアップはFFだったためプロペラシャフトが不要となり、フロア高を下げてより多くの荷物を積み込むことが可能でした。
1974年にホンダが軽自動車市場から一時撤退したため、ライフステップバン/ピックアップは生産を終了しますが、後に使い勝手のよさやデザインが評価され、生産終了後も人気が続きました。
■スポーティな走りのライトバンがあった!?
●シティ・プロ
1981年に発売されたホンダ「シティ」は、背の高いそれまでにないデザインのコンパクトカーで、発売してすぐに大ヒットを記録します。
全長3380mm×全幅1570mm×全高1470mmという小さなボディながら広い室内を持ち、後のコンパクトカーの設計に多大な影響を与えました。
この初代シティには「シティ・プロ」という商用車が同時ラインナップされます。
シティ・プロには2名乗車と5名乗車の2タイプがあり、シティと同じ1.2リッター直列4気筒エンジンを搭載。もともとシンプルな装備が、より簡素化されました。
外観のデザインはシティと同様でしたが加飾を控えめにし、フロントグリルも専用のデザインのものが採用されました。
積載量は300kgと当時の軽トラックよりも少なかったですが、一見して商用車には見えないことで評価されます。
初代シティにはオープンカーの「カブリオレ」もあり、同じ車種でバンとオープンカーがラインナップされるという非常に珍しい車種でした。
●パートナー
かつて、ホンダのライトバンは「シビックバン」(後にシビックプロ)でしたが、1996年に新型ライトバンの「パートナー」が発売されます。
初代パートナーはステーションワゴンの「オルティア」をベースに作られた、比較的オーソドックスなデザインのライトバンでした。
パワーユニットは1.3リッター、1.5リッター、4WD用の1.6リッターの3種類の直列4気筒エンジンが用意され、トランスミッションは5速MTと一部グレードを除き4速ATが選べました。
パートナーがユニークなのは、商用車でありながら4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンションを採用していたことです。
ダブルウイッシュボーンは路面の追従性に優れ、フォーミュラーカーにも採用される高性能なサスペンション形式なので、前後に採用された商用車は非常に珍しいケースでした。
採用された理由は単純で、ベースのオルティアに採用されていたからです。オルティアもシビックのシャシを使っていたので、パートナーはシビックの派生車ともいえます。
その後モデルチェンジがおこなわれ、2006年からは「エアウェイブ」ベースの2代目パートナーになりましたが、サスペンションはフロントがストラット式、リアが車軸式と、オーソドックスなタイプに変更されました。
※ ※ ※
ホンダの四輪車の歴史はT360という軽トラックから始まりましたが、現在販売中の「アクティトラック」が2021年を目処に生産を終了となる見込みです。
近年の軽トラック市場はスズキとダイハツとホンダだけとなっており、ホンダは他社にOEM供給せずに単独で販売していました。
その結果、販売台数が低迷し、今後販売し続けるのは収益的に難しいという判断があったようです。
55年以上におよぶホンダの軽トラック生産が終了するのは残念ですが、ビジネスとしては仕方ないことなのかもしれません。
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