今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「プジョー 307スタイル」だ。
プジョー 307スタイル(2002年)
406スポーツ、206CC S16とユニークな車種追加を展開しているプジョー・ジャポンが、昨年(編集部註:2001年)デビューした307シリーズに新グレードの「スタイル」を追加した。306にも設定されて人気を博していた量販グレードの復活である。日本ではまだ206が販売比率の半分以上を占めるプジョーだが、このスタイルを追加したことで、307の比率を増やしていく予定だ。
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307スタイルの、他グレードとの最大の違いはパワーユニットだ。今までは2LのDOHCのみの設定だったが、206シリーズでも定評のある1.6LのDOHCを搭載している。組み合わされるトランスミッションはマニュアルモード付きの4速ATだけでなく、プジョーらしく5速MTも設定されている。ハンドル位置は右のみだ。
小排気量エンジン搭載のエントリーグレードというと、価格は安くなっているものの装備は簡略化されて見た目にもさびしい・・・というモデルがけっこう多いのだが、さすがはプジョー・ジャポン、そういった心配は杞憂に終わった。
外観上の違いは、フロントフォグランプが省略されている点とタイヤサイズくらい。それでも、アルミホイールは標準装備している。インテリアも本革巻きステアリングや雨滴感知式オートワイパー、オートヘッドライトが省略されるくらいで、サイド&カーテンエアバッグといった安全装備や、オートエアコンやキーレスエントリーなどの基本的な快適装備は標準。シート生地やドアトリムも2LのXSと同じものだ。気になる価格はATが217万円、MTが207万円と、XSより32万円も安い。
まずはATに乗って走り出す。今回の試乗コースはアップダウンもある箱根のワインディングが中心。2Lより29ps/4.4kgmもアンダーパワーなのに車両重量はほとんど変わらないから、発進加速が多少カッタルイのは仕方のないところ。だがハンドリングは2L同様に素直だし、マニュアルモード付きのATを駆使して3000rpm以上にエンジン回転数をキープすれば、そこそこスポーティな走りが楽しめる。
このATはマニュアルモードでは1速のみ5600rpmくらいで自動シフトアップされ、停車時には1速に戻るが、あとはホールドされる。続いて乗った5速MTの方が車両重量は30kg軽いし、クラッチも重くないから、渋滞を走る機会が少なくマニュアルシフトが苦にならないのなら、こちらをオススメしたい。どちらもフットレストが装備されない(これは2Lにも装備されていない)のは残念なところ。これだけハンドリングを楽しめるクルマなのだから、ぜひ装着して欲しい。
日本でのライバルにあたるフォルクスワーゲン ゴルフEやフォード フォーカス1600などと比べると、価格や走りっぷりはほぼ互角だが装備は充実しており、デザイン(これは個人の好き嫌いもあるが)も新しいし、307スタイルは要注目だ。206の上級グレードとも価格差は少ないし、後席に人を乗せる機会が多いなら、やはり307スタイルを選びたいところだ。
プジョー・ジャポンでは、この秋には307SWやワゴンの導入も予定されている。2002年後半もプジョーから目が離せそうになさそうだ。
■プジョー 307スタイル 主要諸元
●全長×全幅×全高:4210×1760×1530mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1270kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置きFF
●排気量:1587cc
●最高出力:80kW(108ps)/5800rpm
●最大トルク:147Nm(15.0kgm)/4000rpm
●トランスミッション:4速AT(マニュアルモード付き)
●タイヤ:195/65R15
●車両価格(当時):217万円(MTは207万円)
[ アルバム : プジョー 307スタイル はオリジナルサイトでご覧ください ]
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