実らない挑戦にも積極的だったローバー
英国のローバーは、実らない挑戦にも積極的だった。フィアットに影響を受けたガスタービン・エンジンのレーシングカーに、ミドシップのV8エンジン・モデルまで、独創的な試作が繰り返されてきた。若く意欲的なスタッフによって。
【画像】ベース車は判別困難? 90 マリナーDHC 個性的なローバーたち レンジCSKも 全117枚
多目的な高級オフローダー、という未知の可能性にも向き合った。その結果誕生したのが、孤高のレンジローバーだ。
チャールズ・スペンサー・キング氏やゴードン・バッシュフォード氏という、有能な技術者のほとばしるアイデアは、保守的な上層部がブレーキをかけることも多かった。加えて1950年代の同社では、革新的な提案を具現化できる人材が明らかに不足していた。
ランドローバー・シリーズ、後のディフェンダーは世界的に売れていたが、中流階級向けの高級サルーンを擁するという、ブランドイメージの維持は必要だった。いつ来るかわからないオフローダーの販売不振へ備え、ラインナップの拡充は不可避といえた。
ピニンファリーナ社へ頼まれたDHC
1949年に登場したのが、中型の上級サルーン、ローバーP4シリーズ。直列6気筒エンジンの75から始まり、パワフルな90や、直列4気筒の60、80が順次投入されている。
1950年と翌年には、コーチビルダーのサルモンズ・ティックフォード社によって、2台の2ドア・ドロップヘッドクーペ(DHC/コンバーチブル)が試作されている。ベースは75で、美しい見た目だったが、上層部が量産を承認することはなかった。
ところが、ローバーはこのアイデアを進化させた。イタリアのカロッツエリア、ピニンファリーナ社へ協力を仰ぎ、新しいP4シリーズの2台が1953年のロンドン・モーターショーで提案されている。
イタリアンなスタイリングは、当時の流行の先端にあった。ピニンファリーナ社は、ブランドの特徴やイメージを尊重しながら、優雅な造形を生み出すことを得意とし、素晴らしい実績があった。ローバーとして、当然の依頼先といえた。
英国王室も欲しがったショーカー
1台は前例と同様にコンバーチブルだったが、もう1台はハードトップのクーペ。ベースは前者が75で、後者は90だった。ルーフまわりを除きスタイリングは同一で、フレームレスのサイドウインドウが採用されていた。
全長はベース車両より300mmほど長く、フロントグリルはワイド化。ボディはスチール製で、ダッシュボードはボディと同色に塗装されていた。
実は1951年の後半から、ローバーはP4のコンバーチブルをピニンファリーナ社へ相談していた。1952年には、シャシーと関連部品がイタリア・トリノへ届けられていた。ヤード・ポンド法とメートル法という、単位の壁があっても。
ローバーの幹部は、ロンドン・モーターショーで市場の反応を注意深く測った。淡いブロンズ・カラーのコンバーチブルは、会場で花形の1台になっていたことは明らかだった。英国王室エリザベス2世の夫、エディンバラ公爵が長期貸与を希望したほど。
英国のマリナー社がボディを複製
好評を受けて、90をベースにしたコンバーチブルは再度試作された。量産化の可能性を探るべく、ボディの複製を担当したのは英国のコーチビルダー、マリナー社。しかし、イタリアン・スタイリングの量産化・収益化は難しいと判断されたらしい。
ピニンファリーナによるプロトタイプは、1955年に購入を強く希望していたディーラーへ売却。エンジンは90用の2.6L直6へ換装され、ブレーキはディスク化されたという。トランクリッドは保管中に破損し、ベントレーのものが加工して取り付けられた。
過ぎる年月とともにボディのサビは進行し、1973年に2人目のオーナー、ビル・エルシー氏によってレストアされる。スチール製のダッシュボードは、彼の好みでウッドパネルへ交換され、バンパーはBMC 1800から流用された。
1980年代に入ると、オランダ人のカーマニアが購入。現在は、ローバーP4ドライバーズ・ギルドの会員が所有している。
この続きは、ローバー90 マリナーDHC(2)にて。
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