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60年・10世代が支えたニッポンの仕事! 敬礼必至の軽トラ&軽バン「ハイゼット」全モデルを振り返る【東京オートサロン2022】

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60年・10世代が支えたニッポンの仕事! 敬礼必至の軽トラ&軽バン「ハイゼット」全モデルを振り返る【東京オートサロン2022】

初代ハイゼット登場から60年以上、10代目まで勢ぞろいのダイハツブース

 東京オートサロン2022のダイハツブースは、「ダイハツヴィレッジ2022」というテーマで展開。まずは昨年暮れにデビューしたばかりの「ロッキーe-SMART HYBRID」のカスタマイズカー2台がお出迎え。しかし毎度ながら意外と様になっており、密かな楽しみとなっていた方も多いという恒例の風物詩「2代目シャレード デ・トマソ仕様にモディファイされた旬の新車」は、残念ながら今回はおあずけ。

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 しかしなんとそのかわり、新旧「ハイゼット」&「アトレー」で会場はびっしり! というのが今年のダイハツブース。デビューしたばかりの新型をベースにした、メーカーならではの完成度が眩しいカスタマイズカーはもちろん、ブース壁沿いには1960年デビューの初代から2014年の10代目トラックに至るまで歴代モデルがずらり。今回はせっかくなので、勢揃いした歴代ハイゼットについて掘り下げてみましょう。

初代 1960年

 まず初代は1960年にボンネットを持つ360ccのピックアップトラックとしてデビュー。翌年になるとバンが加わります。1963年のマイナーチェンジで当時の新型車「コンパーノ」似となるフロントマスクに。余談ですが同じくコンパーノをイメージしたという1999年デビューの初代「ミラジーノ」は、むしろこの初代中期そっくり。また4ナンバー800cc・500kg積で小型貨物車登録となる「ニューライン」も派生車種として登場。

2代目 1964年

 そのお隣にあるのは現在に至るキャブオーバー車の元祖、1964年デビューの「ハイゼットキャブ」。じつはこのモデル、2代目というよりは派生車種としてのデビュー。初代ハイゼットは軽乗用車「フェロー」の商用車版ピックアップおよびバンが登場するまで生産されていたロングセラーモデルだったため、2代目として完全に独り立ちしたのは最後の1年間のみ。

 1965年秋には現在の「ハイゼットカーゴ」の始祖的存在のバンが登場。800cc・500kg積の4ナンバー小型貨物トラック版「ニューハイラインキャブ」も1966年に追加されています。このニューハイラインキャブも、3代目デビュー後も1971年に「デルタ750(初代ライトエースのOEM)」が登場するまで生産が続いたという、密かなロングセラーモデルとなりました。

3代目 1968年

 そして矩形ヘッドライトが目を引く3代目は1968年登場。このころになると早くもEV仕様車が用意されるようになり(初登場は2代目ベース)、1970年代に出版された図鑑の電気自動車の写真や透視図には、この3代目がよく登場しておりました。

4代目 1971年/5代目 1977年

 1971年登場の4代目は360cc時代最後のデビュー。550cc新規格に対応した5代目「ハイゼットワイド」が1977年に登場したあとも、そのまま1980年代初頭まで360cc版が併売されるという長寿モデルとなりました。これは軽限定免許ユーザーへの救済策のためで、ハイゼットがユーザーのニーズに実直に応え続ける歴史を辿ってきたことを、なによりも物語っています。

 さらに言うと、4代目モデル末期の1976年1月に加わった550cc仕様から搭載されるAB型エンジンを、4サイクルの開発が間に合わなかったスズキに「フロンテ7S」用として供給していた、というダイハツの懐の深さが垣間見える驚くべきエピソードも。

6代目 1981年

 1981年登場の6代目から、乗用向けにアレンジしたバンの「アトレー」が登場。これは1976年にデビューした初代「タウンエース」を皮切りに、2代目「ボンゴ」や「デリカ」、さらに「バネット」など、小型1BOXに近代的な乗用仕様が続々と登場した影響があるのでしょう。それまで仕事一本槍だった軽バンの世界にも、1979年にデビューした7代目「キャリイ」や「サンバー」のハイルーフを皮切りに、「アクティストリート」や「ミニキャブ・ワイド55エステート」など、1981年にかけて乗用・レジャーユースに対応できる仕様が続々と登場してくるのです。

 そんな6代目の展示車は背面で延長されたキャビンの空間を持つ、1983年のマイナーチェンジで追加された「ハイゼットジャンボ」。小型のトラックとしては、日本国内では1979年デビューの「ダットサントラック・キングキャブ」に次ぐもので、もちろん軽トラックとしては初。展示車はこの当時に各社の軽トラが続々と採用し始めた4WD仕様車で、同時期の「サンバーハイルーフトラック」とともに、近代的な「遊べる軽トラ」の元祖といったところでしょうか。なおこの6代目の「まゆげ」の愛称は、どちらかと言うと当時ではなく、2000年代後半ごろから定着したものだと認識しておりますが、いかがでしょうか。

7代目 1986年

 1986年登場の7代目モデルも、さすがに最近では街なかで見かけることは少なくなりました。水まわりがウイークポイントで、夏場はよくフロントのガーニッシュを外した姿を見かけたものです。モデル半ばに550ccから660ccへの拡大を迎え、目立つ外観上の変更点はバンパーの拡大。デッキバンが加わったのもこの代からです。展示車はモデル末期の1993年式アトレーで、大型ガラスサンルーフのコスミックルーフを備えています。

8代目 1994年

 1994年デビューの8代目は、デビューから28年を迎えた2022年の現在でも「なんでもいいから中古で安い軽トラ」と探してもらうとこれが出てくるほど。トラックでは扱いが荒いと荷台のサービスリッドが歪んでしまい、点火コイルの真上に雨天や洗車時の水がしたたり落ちてエンジンが不動になる、というトラブルに見舞われるものの、生存率は意外と高いモデルです。「サンバーディアス・クラシック」の影響を強く感じる「アトレークラシック」、まるでモーターショーのコンセプトカーのような外装を持つ「ハイゼットis」など、バブル後の登場にもかかわらず派生モデルも豊富でした。

9代目 1999年

 1999年デビューの9代目は、トラック、カーゴ(この世代からバンからカーゴに呼称を変更)ともに同時期に現行の新規格に対応するリニューアルを受けたものの、その後のモデルチェンジの足並みにはズレが生じます。他社の軽トラが新規格への移行とともにセミキャブオーバー化するなか、荷台の長さを損なわないキャブオーバーを貫いたのは結果的に大成功。2014年のフルモデルチェンジが行われるまで、マイナーチェンジを受けながら15年にわたって作り続けられました。ハイゼットが2021年度「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞するに至ったのは、初代から60年続く伝統はもちろんのこと、この9代目あってこそのことでしょう。

10代目 2014年(トラック)

「ハイゼットカーゴ」およびこの世代からようやく5ナンバーのワゴンも用意された「アトレー」は、「ハイゼットトラック」とは異なるジウジアーロによるデザインのボディをまとっておりましたが、2005年に早々と10代目にチェンジ。この積載性を大いに高めたこのモデルチェンジは大成功で、2018年にスマートアシストへの対応がメインとなるビッグマイナーを経ながら2021年まで16年にわたって作り続けられた、「トラック」同様のロングライフモデルとなりました。

 私はかつて、ダイハツのベテランエンジニアの方から、忘れられないお話を伺ったことがあります。ちょうど「キャリイトラック」が現行型にフルモデルチェンジを受け、セミキャブオーバーから全車フルキャブオーバーに戻ったころの話です。あまりに「ハイゼットトラック」が長寿なものだから、次期型はいったいいつ出るのですか、とお聞きしたところ「お客さんから変えてくれという話が聞こえてこないから変えませんよ。むしろ変えてくれるなとさえ言われます。もし下手に変えて、そのおかげで値段も高くなってしまったら、かえってお客さんに悪いですからね」と仰られたのです。

 ああ、なんて良心的なのだろう、と感動すら覚えましたが、なんとその翌年、2014年にハイゼットトラックがフルモデルチェンジしたのには心底びっくり。そんなデビュー時の思い出もある現行ハイゼットトラックも、早くもかれこれ8年目。ロングライフの兆しはすでに見えています。

 お次は続編として、現行世代のカスタマイズカーをチェックして参りましょう。

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みんなのコメント

6件
  • ソーラーカーのだん吉があったらな
  • 京都で下宿してた頃、サブロクのハイゼット(クラッチだだスベリ)で灯油配達のバイトをしてたんだけど、狭い狭い通りの奥の路地まで行かされました。
    たまに当時の配達先周辺を歩くことがありますが、今見ればこんなとこまで突っ込んでたんだって、我が事ながら驚きます。
    当然戻りはバックですので、バック技術が身に付きました。これが京都で得た最大の収穫です。

    ひとつだけ疑問なのは、最大積載量が昔のまま変わってないということです。サブロクの350キロというのがそもそもオーバーロードだったとは思いますが、、、
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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