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【ミニバン1,000kmテスト】ホンダステップワゴンの実力を東京―大阪往復で試す!(萩原 文博レポート)

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【ミニバン1,000kmテスト】ホンダステップワゴンの実力を東京―大阪往復で試す!(萩原 文博レポート)

人気のミニバンの中でもミドルサイズのミニバンは特に人気の高いジャンルです。トヨタノア/ヴォクシー、日産セレナ、ホンダステップワゴンと各社入魂の実力車がそろう激戦マーケットで、ちょっと調子が悪そうに見えるのがステップワゴン。しかし、このマーケットのフロンティアだけに良い車に仕上がっている現行モデル、特にその走りは折り紙付きです。そこで東京―大阪往復1,100kmのロングドライブに連れ出して、その実力を今一度試しました。萩原文博さんのレポートです。

人気のミドルサイズミニバンの中で、今ひとつなステップワゴンの売れ行き

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ファミリーカーとして定着したミニバン。国産ミニバンをボディサイズの大きさで分けると大きく3つに分けることができます。最もボディサイズの大きなクラスはLサイズやフラッグシップクラスとも呼ばれ、このカテゴリーはトヨタアルファード/ヴェルファイアが独占しています。また、最も小さいボディサイズはトヨタシエンタとホンダフリードの2車種で寡占している状況です。

中間のミドルサイズ、または2Lクラスと呼ばれるクラスは、国産ミニバンの中で人気が高く、販売台数が多いボリュームゾーンです。このカテゴリーに属するのが、トヨタノア/ヴォクシー、日産セレナ、ホンダステップワゴンです。

新車販売台数で見ると、2023年4月はノアが7,020台でトップ。セレナが6,507台そしてヴォクシーが6,495台と続きます。そして離れてステップワゴンが2,346台です。一見するとノア、セレナ、ヴォクシーは競っているように見えますが、ノアとヴォクシーは兄弟車のため、合計すると1万3,515台と圧倒的なシェアを占めています。この数字は1万4,143台で第1位のトヨタヤリスに次ぐ数字となっているのです。しかし、セレナは4月20日に主力モデルといえるe-POWERを販売開始したばかり。ノア/ヴォクシーの販売台数にもう少し肉薄するかもしれません。

ややライバルたちに水を開けられたように見えるステップワゴンですが、商品力にそれほどの差があるのかどうかを検証するために、1,000kmのロングドライブを行いました。

全車3ナンバー化した現行型ステップワゴン

まずは現行型ステップワゴンについておさらいしておきたいと思います。現行型ステップワゴンのボディサイズは全長4,800mm(一部4,830mm)×全幅1,750mm×全高1,840~1,855mmと、全車3ナンバーサイズとなったのが特徴です。グレード体系も大きく変わり、標準車に代わって設定されたAIR(エアー)、エアロモデルのスパーダ。そして、スパーダをベースに上質感をプラスしたスパーダプレミアムラインの3モデルを設定。車両本体価格は305万3,600円~391万2,700円となっています。ちなみにライバル車の車両本体価格はノアが267万~389万円。ヴォクシーが309万~396万円。セレナは276万8,700円~479万8,200円と最高価格がやけに高く見えますが、これはプロパイロット2.0を搭載したセレナe-POWER ルキシオンが約500万円なのが理由。その他のセレナは300万円台でほぼ同じ価格帯となっています。

現行型ステップワゴンのボディ骨格は2,890mmのロングホイールベース化に合わせて、前後のトレッド幅を拡大することで、大きな車体でも直進・旋回時の高い安定性を実現。さらに、リアを中心に遮音材や吸音材を追加するとともに、フロアを高剛性化することで、1 列目から 3 列目までの全席において静粛性や乗り心地の良さを高めました。

クリーンでシンプルなデザインに切り替わった

外観デザインは、エアーはクリーンでシンプルなデザインが特徴です。スパーダは、ワイドかつ重厚なフロントグリルとボディ下端全周に配置したメッキのモールによって、力強さを表現しています。そして、スパーダプレミアムラインはスパーダをベースに、プラチナ調クロームメッキ加飾を施すことで、質感を高めるなどそれぞれ個性を主張しています。

インテリアは、水平基調のデザインが乗る人の視野を安定させることで乗り物酔いを起こしにくくしています。エアーは温かみのあるカラーを用いた明るい室内でリビングのような安心感。スパーダはスタイリッシュな印象を与えるダークトーンのカラーで上質な室内空間に仕上げています。そしてスパーダプレミアムラインはスエード調表皮&プライムスムースのコンビシートなどを採用するなどファミリーカーとは思えない豪華さを演出しています。乗車定員は、エアーとスパーダが7または8人乗り。そしてスパーダプレミアムラインが7人乗りとグレードによって異なります。

好燃費のハイブリッド、最新の安全運転支援システム、数々の気配り装備、その魅力は十分に見えるが……

現行型ステップワゴンが搭載しているパワートレインは、最高出力150ps、最大トルク203Nmを発生する1.5L直列4気筒ターボ+CVTと、2Lエンジンに駆動・発電を行う2つのモーターを組み合わせたe:HEVと呼ばれるハイブリッドシステムの2種類。駆動方式は2WD(FF)を中心に、1.5Lターボ車のみ4WDを設定しています。燃費性能は、WLTCモードで1.5Lターボ車は13.1~13.9km/L。e:HEVは19.5~20.0km/Lです。

運転支援は全モデルに最新の安全運転支援システム「ホンダ センシング」を全車に標準装備しています。先代より、アダプティブクルーズコントロール(ACC)が全タイプで渋滞追従機能付きに進化したのをはじめ、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビーム、そして渋滞運転支援機能であるトラフィックジャムアシストを追加しています。

パワースライドドアは、従来のハンドル操作に加え、軽く指先を触れるだけで開閉ができる静電タッチセンサー式を世界初採用。また、パワーテールゲートは、開く角度を任意に設定可能なメモリー機能を追加し、狭いところでも使い勝手を向上させています。そして、大気中の PM2.5 などの微小粒子物質を検知し、空調制御とフィルターの組み合わせで空気を浄化する空調システム「Clean Air(クリーン エアー)」を全タイプに標準装備し、乗る人すべてにクリーンな車内空調を提供します。

こうやって書き連ねると非常に魅力的に見える現行のステップワゴンですが、前述のように販売台数的には苦戦を強いられています。先代モデルは工夫を凝らしたバックドアをはじめとしたデザインが不評で、新型はフィットから始まったシンプル系のデザインに切り替えてきました。押し出しの強いデザインを採用するライバルたちとは明らかに差別化を図れていますが、それが裏目に出ているのでしょうか。

前モデルもそうでしたが、ステップワゴンの魅力は広い室内、使い勝手が工夫されたインテリア空間に加えて、クラス随一の走りの良さです。今回はロングドライブに連れ出すことで、今一度、その実力を試してみます。

シンプルなデザイン、工夫されたシート、唯一の3列目床下格納

今回のロングドライブに選んだのは、2Lエンジンと駆動・発電を行う2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム“e:HEV(イーエイチイーブイ)”を搭載したステップワゴン「e:HEV エアー」。その車両本体価格は338万2,500円です。

売れ筋は押し出し感のあるスパーダ系ですが、個人的にはシンプルでプレーンなエアーのデザインが好みです。また肌触りの良いファブリックを採用したセカンドシートは前後だけでなく、横にもスライドするので、独立したキャプテンシートからベンチシートにも早替わりします。また、シート表皮にはFABTECTと呼ばれる撥水・撥油シートを採用しており、飲み物などをこぼしてもすぐに拭けばシートに染みこみません。

ステップワゴンのインテリアで最も評価したいのが、マジックシートと呼ばれる3列目シートです。ステップワゴンの3列目シートは床下格納式で、この方式を採用しているのは国産ミドルサイズミニバンの中でステップワゴンだけ。ライバルが採用している跳ね上げ式に比べてコストの掛かった仕組みですが、左右方向の収納力はもちろん、跳ね上げ式は視界が遮られる部分があるのに対して、床下収納式ならその心配がないなどのメリットがあります。

ワインディングでのフットワークの良さを再確認

今回のロングドライブは、大阪への取材を兼ねて行いました。往路は東名、新東名高速を利用し、大阪市内まで行きました。復路は大阪市内から新御堂筋、つまり国道423号線を大阪市内から走行し、箕面を抜けて京都の亀山まで走行。その後、京都縦貫自動車道で丹波ICまで行き、道の駅「京丹波 味夢の里」で折り返し、高速道路を使って東京へ戻るというルートです。

高速道路や自動車専用道路では、制限速度にACC(アダプティブクルーズコントロール)を設定し走行しました。ステップワゴンエアーに搭載されている2モーターハイブリッドシステムは、市街地走行時は走行用モーターを積極的に使うEVモードで走行します。坂道や追い越しなどの加速時はエンジンとモーターの両方を使うハイブリッドモード、そして高速走行時はエンジンのみで走行するエンジンモードと、3つのモードを切り替えて効率的に走行するのが特徴です。

今回走行した約1,100kmのうち、高速道路が90%を占め、残りが一般道でした。その一般道には、約50kmのワインディングが含まれます。国道423号線は、箕面からステージが一変、京都の亀山まではずっとワインディングが続きます。アップダウンもきつく、車高の高いミニバンのステップワゴンが苦手なステージですが、16インチタイヤを装着したステップワゴンエアーは、気持ち良く駆け抜けてくれました。現行型ステップワゴンはリアサスペンションのストローク量を増やしており、路面からの衝撃を和らげてくれて、快適な乗り心地を提供してくれます。さらに2列目、3列目シートのクッションを厚くしているので、2列目シートに座ることの多いお子さんにも優しい車です。

高速では乗り心地だけではなく直進安定性も光る

高速道路では乗り心地の良さだけでなく、直進安定性の高さも印象に残りました。フロント部分が垂直に近いため、風切り音は大きめですが、ハンドルの修正も少ないので、ドライバーの疲労が少ないのも魅力です。高速道路で多用したアダプティブクルーズコントロールですが、先行車との車間が詰まったときのブレーキングも以前より穏やかになりました。またレーンチェンジした際の再加速も、エンジンとモーターの協調制御のおかげでスムーズになっています。ミニバンというと、走りは愉しくないというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、さすがタイプRを販売しているホンダだけに、現行のステップワゴンもドライバーに走る楽しさを提供してくれるミニバンです。

17.1km/Lとカタログ値に近い優秀な燃費を記録

こちらは487km走った段階での平均燃費計。ゴール時のものは撮り忘れました。次回は気をつけます。

気になる燃費ですが、ステップワゴンe:HEV エアーのWLTCモードの燃費性能は20.0km/Lです。高速道路主体のWLTC-Hモードは19.1km/Lと下がります。これはe:HEVが高速道路ではエンジンのみで走行するためですが、高速のカタログ燃費が少し低いのはノア/ヴォクシー、セレナのハイブリッドモデルも同様です。今回1,100km走行し、燃費計は17.1km/L。ほとんど高速道路だったので、達成率は89.5%というかなりの数値を叩き出しました。

走り、燃費、使い勝手の良いステップワゴンが売れていない理由

走行性能や燃費性能、利便性などにおいて、ステップワゴンがライバル車に大きくリードされている部分はないと思います。むしろ長距離ドライブでは走りの魅力が、依然としてこのクラス随一であることを実感しました。

ただ、車種ごとの人気の違いによって数年後の買取価格に差が出るのは事実です。シンプルなスタイルが販売の足を引っ張っているかどうかは置いておいても、前モデルからそういった点においてステップワゴンは一番人気のノア/ヴォクシーにリードを許しています。そのイメージがステップワゴン買い替えの障壁となって現行モデルの販売に影を落としていることは否定できません。

※記事の内容は2023年5月時点の情報で制作しています。

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みんなのコメント

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  • いい車だと思います!特にエアーはシンプルで可愛らしいデザインですよね!あとはエアーの安全装備の拡充と、ハイブリッド+4WDの組合せがあれば、もっと売れるんじゃないかと思います。
  • プレーンなデザインが好き。アルベルノアボクのようなオラオラは苦手。穏やかな若手家族には似合いそう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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