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「フロアに穴が開いた」「10km/h以上速くなった」「めげずに頑張る」【SF Mix Voices 第9戦(1)】

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「フロアに穴が開いた」「10km/h以上速くなった」「めげずに頑張る」【SF Mix Voices 第9戦(1)】

 10月29日、三重県の鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権2023年第9戦の予選・決勝が行われ、2番グリッドから好スタートを決めた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が嬉しいスーパーフォーミュラ初優勝を遂げた。そして、3位に入った宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が、初めてのドライバーズタイトルを手にして、2023シーズンが終幕した。

 決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、2023年最終戦に挑んだドライバーたちの声を2回に分けてお届けする。

スーパーフォーミュラ第8戦・第9戦鈴鹿は2日間合計4万3,000人が来場。大入袋も

■松下信治(B-Max Racing Team) 予選6番手/決勝7位

 最終戦にしてついに今季初ポイントを手にした松下。レース後のミックスゾーンでも、その表情は明るかった。

「予選から6番手と、いつも速い人たちの中に入れたので『やっと戻ってこられたな』と思いました」

 決勝ではスタートで1ポジションを上げ、5番手を走行。そのままミニマム周回数でのピットインを選択した。

「作戦はいつも結果論、タラ・レバになってしまいますが、もうちょっと(ピットに入らず)キープしても良かったですかね。そこはちょっと、外してしまいました」と松下も言うように、レース終盤はピット作業を引っ張ったフレッシュタイヤ勢にオーバーテイクを許す展開となり、一時4番手を走行したものの、チェッカー時のリザルトは7位となった。

「いいレースはできたと思います。昨日、レースが(最後まで)できなかったのが残念でしたが、今日は何事もないレースができたので。ちょっと遅いのですが、最後にしてやっとポイントが取れて良かったです」

■佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 予選12番手/決勝リタイア

 前日に行われた第8戦予選でのクラッシュもあり、挽回を胸に最終戦に臨んだ佐藤。午前中の予選では、Q2に進出こそしたもの肝心のセッションでは速さを見せることができず、グループ最下位となる12番手グリッドからレースを開始した。

 スタートでは10番手にポジションアップ。ポイント圏内浮上に成功し、10周目にはミニマム周回数でタイヤを交換。しかし、12周を終えたところで再びピットイン、マシンをガレージへと収めてしまった。

「フロアに穴が開いてしまいました」と佐藤はその原因を明かす。

「調子よく走っていたのですが、(レース序盤で)多くガソリンを積んでいる影響で車高が下がっているなかで、マシンの底を打ってしまったのか、穴が開いてしまいました」

「7周目あたり、10番手か11番手を走っているあたりで不調を感じ始めて。一度ミニマムでピットに入ってタイヤを交換したのですが、それでもマシンの不調は改善されなかったのでリタイアを選択しました」

 志半ばにシーズンを終えることとなり、意気消沈といった様子の佐藤。チームを移籍して戦った2023年シーズンを、次のように総括した。

「開幕戦こそ予選で上位にはいることもできましたが、結局はシーズンを通して表彰台にも上ることができませんでした。非常に悔しいですし、どうすれば優勝争いに絡むことができるのかを探る必要があると感じています」

■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選10番手/決勝10位

 第8戦と同じく、牧野は第9戦でも予選Q1・B組を4番手で終え、Q2へと進出。しかし、そこでは10番手とタイム的にも伸び悩んでしまう。

「昨日のQ2ベースで走り出したのですが、B組の中でもトップとのタイム差がすごくあって(※リアム・ローソンから0.8秒)、何かおかしいな、と思って。あまりにもラップタイムが違ったので、思いっきりロール剛性上げたりとかして(セットアップを)振ってみたけど、Q2でも何も変わらなくて、ちょっと“一番ダメなゾーン”に入ってしまった感じでした」

 決勝ではミニマム周回数でのタイヤ交換を選択したが、大きく順位を上げることは叶わず、スタートポジションと同じ10位でチェッカーを受けた。

 既報のとおり、牧野車は前戦もてぎでのクラッシュによりモノコックとエンジンを交換して鈴鹿の週末に臨んだが、少なからずその影響もあったようだ。

「決勝に対しても、セットアップ変えたことへの反応が全然ないし……。今回クルマが(モノコックを交換したので)いろいろ変わっていて、車高のセンサーとかも変わってくるとは思うのですが、なんかそれが低く出ているのか、底打ちがすごく多かったりとか、ストレートも全然伸びなかったりとか。富士・もてぎと結構調子良く来ていたクルマを失ったというのは、結構大きいかなと思います」

 苦戦を強いられた鈴鹿ラウンド。一方でチームメイトの太田格之進は、最終戦で初優勝を遂げ、スポットライトが当たる存在となった。少々酷ではあるが、この件について話を向けると、牧野は表情を曇らせながらも適切な言葉を探し出すような素振りでこう答えた。

「言葉で表現するのは難しいです。もちろん、自分自身いろいろ思うところはあります。正直、言い表せないのですが……めげずに頑張ります」

■小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 予選13番手/決勝17位

 土曜日の第8戦を8位で終え、第6戦富士から3戦連続でポイントを獲得していた可夢偉。第9戦もいい流れでシーズンを終えたいところだったが、朝の予選からトラブルが発生してしまう。

「クルマは悪くなかったんですけど、センサートラブルで予選がめちゃくちゃ遅くて。予選が終わってから、それ(トラブル)が分かったんですよ」

 この影響もあってカットラインにはコンマ3秒ほど届かず、可夢偉はQ2進出を逃してしまう。そしてセンサーを交換した決勝では、「10km/h以上速くなった」という。

 しかし決勝ではタイヤのデグラデーションが大きく、「戦える感じではなかった」と苦戦。また、ピットストップでもロスがあり後退してしまった。

「アンチストール(システム)が入ってしまったんですよ。(ファストレーン上を)後ろからクルマが来ていたのでちょっとアクセル戻したら、いきなりストール入っちゃって。もう『以上!』です」

 ドライバーズランキングは11位。可夢偉は2023年シーズンを「毎回“何か”があるような一年で、正直『相変わらず僕ってスーパーフォーミュラに縁がないな』と思うシーズンでした」と振り返った。

「でも、最初に比べればだいぶクルマは戦えるようになったし、できる限りのことはやったな、と思えます。1年間、ありがとうございました」

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