控え目な容姿の印象 高級感とは無縁の車内
ヴォグゾール(オペル)・アストラ GTEの最高出力は116ps/5800rpmで、最大トルクは15.3kg-m/4800rpm。0-100km/h加速は8.5秒、最高速度は185km/hと、後期型の1.8Lエンジンを積んだフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI Mk1と動力性能で並んだ。
【画像】小さなファミリーカーを指す代名詞 VWゴルフ 初代から5代目 最新の8代目も 全128枚
本来なら、今回の比較でも後期型のゴルフ GTIを用意したかったのだが、あいにく叶わず。フォルクスワーゲン・マニアのグラハム・ウェルチ氏が2020年から所有する、美しい前期型にお越しいただいた。
改めて観察すると、GTI専用アイテムでコーディネートされているにも関わらず、容姿の印象は非常に控え目。サイドスカートはなく、ドアミラーはブラックの樹脂のまま。シンプルなバンパーも、質実的なスチール製だ。
ホイールは、オプションだったアルミニウム製の13インチ。純正はスチール製だった。タイヤサイズは175/70で、軽自動車と殆ど変わらない。
車内の雰囲気も、高級感とは無縁。ドア内張りの上部から、ドアパネルの一部が露出している。ダッシュボードはフラットで、メーターパネルの深い穴に、スピードとタコのメーターが収まる。
とはいえ、「GTI」の特徴はしっかり備わる。タータンチェックのシートに、3スポークのステアリングホイール、握りやすいシフトノブまで、テンプレートそのもの。センターコンソールの油温計なども同様だ。強すぎない主張が、魅力的にすら思えてくる。
ハードなサスペンションはホットハッチの正解?
筆者が先に試乗したのはアストラ GTEだったが、ゴルフ GTI Mk1の違いは明瞭。操作系に鮮明さがあり、走り出した瞬間から信頼感と興奮が湧き出てくる。
アクセルレスポンスは鋭いが、1.6Lエンジンは低回転域で線が細い。4速マニュアルのギア比はロングで、パワフルさを味わうには回転数の維持が欠かせない。回せば回すほどエネルギッシュに転じ、後期の1.8Lエンジン以上に、甘美な和音を響かせる。
ゴルフ GTIはシャシーも若々しい。加減速時のピッチや、旋回時のロールは、アストラ GTEより大きめ。流石に設計が8年も違うから、当然といえるだろう。
それでも、スポーツシートを通じて、全身へ豊かなフィードバックが伝わってくる。軽くリニアに反応する、ステアリングホイールを介しても。フロントタイヤは粘り強く路面を掴み続け、アクセルペダルの加減でのライン調整も容易だ。
本気でカーブへ攻め込めば、コーナー・イン側のリアタイヤが浮き上がる。ドライバーを惹き込む、ゴルフ GTI Mk1の得意技といっていい。ハードなサスペンションがホットハッチの正解なのか、現代のトレンドへ疑問を抱きたくなる。
対するアストラ GTEの英国価格は、1983年で6739ポンド。ゴルフ GTIの方が装備は充実していたが、417ポンド安く、コストパフォーマンスでは優れた。張り出したボディキットとホワイトの塗装で、より現代的にも映ったはずだが、2024年でも同様だ。
挑発的に手足を動かしてもアンダーステア
インテリアの印象も、こちらが勝る。スピードとタコの2枚の他に、補機メーターも4枚、メーターパネルへ整列。フォグランプ・スイッチや時計も備わり、マルチ・カセットテープラックがセンターコンソールに奢られている。
サンルーフを開いて、風に髪をなびかせながら、大音量で聞くのはヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。現役時代は、友人とは違う特別さを提供したはず。こんな雰囲気が、走りへの期待を高める。
今回の車両を提供してくれたのは、ヴォグゾールのヘリテージ部門。新車のように状態は良い。日常的な速度域では、ゴルフ GTIより扱いやすい。エンジンのレスポンスは若干鈍く、シフトレバーの動きは緩めだが、豊かなトルクで交通の流れに合わせやすい。
アクセルペダルを深く踏めば、動力性能の本域が現れる。シャシーは懐が深く、許容量は広い。ステアリングにパワーアシストは備わらないものの、反応は正確。重めの感触がちょうどいい。
それでも、エンジンサウンドは控え目。運転体験では、ゴルフ GTIの方が優れることは明らかだ。かなり挑発的に手足を動かしても、コーナリングはアンダーステア。ドライバーへ安心感を与える特性ながら、ホットハッチらしい大胆さまでは備わらない。
登場が8年古い前期型だとしても、この2台で優劣を付けるなら、ゴルフ GTI Mk1が僅差で制するだろう。普段使いのしやすさや希少性も踏まえると、アストラ GTEにも相当な訴求力を筆者は感じるけれど。
協力:ヴォグゾール・モーターズ社、英国自動車博物館
VWゴルフ GTI(Mk1)とヴォグゾール・アストラ GTE 2台のスペック
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(Mk1/1975~1983年/欧州仕様)
英国価格:7156ポンド(1983年時)/3万ポンド(約570万円/現在)以下
生産数:45万6690台
最高速度:181km/h
0-100km/h加速:8.9秒
燃費:9.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:810kg
パワートレイン:直列4気筒1588cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:109ps/6100rpm
最大トルク:13.9kg-m/5000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(前輪駆動)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ GTE(Mk1/1983~1984年/欧州仕様)
英国価格:6739ポンド(1983年時)/2万5000ポンド(約475万円/現在)以下
生産数:9281台
最高速度:181km/h
0-96km/h加速:8.5秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:925kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:116ps/5800rpm
最大トルク:13.9kg-m/4800rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「すごい事故…!」近畿道&中国道で一時「通行止め」発生 「トラック4台が次々に玉突き事故」吹田JCT封鎖で名神にも影響 南行き完全ストップ
“VTEC”ターボ搭載! 超レトロな新型「和製スポーツカー」発売へ! パワフルな最新「6速MT」モデルに“旧車ボディ”採用!? めちゃカッコいい「新型M55」に反響あり!
「コンパクトSUV」で32年ぶりの復活! “カクカク”デザインのレトロスタイルが超カッコイイ! 新型「4(キャトル)」フランスで発表
日本に「すごい寒気」襲来か!? 今期は昨年の“200%”超えも! 命を守る「雪道対策」どうしたら良い? JWAが早めの対策呼びかけ
全長3.7mで「7人乗れる」! トヨタ「シエンタ」より小さい「国産3列ミニバン」が凄い! ほぼ「軽サイズ」で“街乗り最強”の「超小型モデル」とは!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?