もくじ
どんなクルマ?
ー 585psのGT63と639psのGT63 S
どんな感じ?
ー 予測的に拡張してくれるテクノロジー
ー FRの理想ともいえるテールスライド
ー パフォーマンスと裏腹の上質な乗り心地
「買い」か?
ー 新たなベンチマーク
スペック
ー メルセデス-AMG GT6 3S 4ドアクーペのスペック
試乗 マツダ 3(アクセラ)2.0 SKYACTIV-G 素晴らしい新型ハッチバック
どんなクルマ?
585psのGT63と639psのGT63 S
車重2tで全長5mに達する4ドアのハイパフォーマンス・クーペを、FIA規格のサーキットで思いっきり走らせるとなると、操縦する腕がかなり試される。マクラーレンF1と0-100km/h加速が互角なメルセデス-AMG GT 63 S 4ドアクーペなら、コーナー間に長く伸びる直線加速で遅いと感じることはないはず。しかも自動車メーカーにとって、サーキットのような滑らかな路面は、実際の身近な路面で生じる乗り心地の悪さなどを隠すのに好都合な場所だった。少し意地悪な考えだけれど。
前回の試乗では、AMG製4ドアクーペのホットロッド的な仕上がりをサーキットで確認した。ポルシェ・パナメーラやアウディRS7などのライバルとして、充分な完成度を得ていることをアピールするのには、うってつけの環境だったといえる。12万ポンド(1700万円)を超える価格相応の価値も、得ていることがわかった。その次の試乗場所が、真冬のスコットランド中東部のアバディーンシャーとくれば、USグランプリが開かれているサーキットとは、これまでにないほどに好対照だ。
概要を確認しておこう。定員は標準で4名だが、オプションで5名も選択が可能で、2つのグレードから選択できる。最高出力585psの素のGT63と、1万5000ポンド(213万円)が上乗せとなる、今回のテスト車両のGT63 Sだ。こちらの最高出力は639psとなり、黄色いブレーキキャリパーが目を引く。どちらのグレードもAMG製のM177と呼ばれる4.0ℓ V8ツインターボエンジンを搭載。「S」の方は、タービン形状を改めたバーボチャージャーが極めて高いブースト圧を生み出し、低摩擦のボールベアリングを採用することで、一段と高い最高出力を実現している。
両車ともに、可変式のパフォーマンス・エグゾーストに20インチ・アルミホイール、大型化されたリアスポイラーが備わる。さらにSには、AMGダイナミックプラス・パックが装備され、アクティブエンジンマウントと後輪駆動に限定させる、いわゆるドリフトモードが追加されている。一般道へと走り出してみよう。
どんな感じ?
予測的に拡張してくれるテクノロジー
AMGのV8ユニットは相変わらず野性的で、これまで以上にレスポンシブ。それでも63と63 Sを乗り比べてみると、明確にその違いを感じられる。スペックとしては60psと9.6kg-m程度の差で、特にこれほどの車重を持つクルマということもあり、グレードの違いを設けるための人為的な数字にも思える。しかし、63のスピードにも驚かされるが、Sのレブリミット付近での加速は、暴力的と表現しても違和感がない。しかもエンジンとエグゾーストからの盛大なノイズが加わるから、これだけでも100psくらいは上乗せされているように感じるだろう。
このエンジンを先進のシャシーテクノロジーがサポートし、痛快な走りを生み出す。四輪駆動に四輪操舵、アダプティブ・エアサスペンションに加えて、特にこの「S」には電子制御されるディファレンシャルギアも搭載され、ドライビングモードを極めてシャープな「モンスター」モードにすれば、息を呑むような加速を披露する。しかも、優れた落ち着きと操縦性は失うことなく。
これらのテクノロジーは、ドライバーの運転に対する反応を制限するのではなく、むしろ予測的に拡張しているように感じられる。そのため、狭い道であっても積極的にGT4ドアクーペを運転したくなってしまう。スタビリティをあえて崩し、スロットル操作で豊かなトルクを発揮させ、クルマの向きを変えていくことが正しいアプローチにすら思える。
突き詰めれば、賢いソフトウエアにドライバーが飼いならされているという見方もできる。だがGT4ドアクーペは、純度の高い軽量なスポーツカーではない。システムとしても極めて洗練されており、問題に感じることではないだろう。このモンスターモードは「S」のハイライトともいえるが、もう一つ、エンスージャストにとっては見逃せないオプションが備わっている。それがレースドライブ・プログラムで、高価なSだけが選択できる、いかにもな機能となる。
FRの理想ともいえるテールスライド
レースモードが選択されるとESPはスポーツモードに設定され、eデフの効きが早まりリアタイヤの自由度が増し、お好みのオーバーステア状態に持ち込めるようになる。しかもドライバーの操作が多少遅れても、セーフティネットが控えており、コントロールを失うことはない。
路面がドライ状態だと、Eクラスより長いホイールベースを備えるフロントエンジン車ということもあり、すべての姿勢安定機能をオフにすれば驚くような場面もあるだろうから、制限はやや強く感じられる。しかし、湿った滑りやすい路面なら、クルマの持つダイナミクス性能の高さを簡単に引き出すことができるはず。スポーツカーにとっては理想的ともいえる、ステアリング操作をすることなく、テールスライドでクルマの進行方向を定めていくことも可能だ。素晴らしいとしか言いようがない。
このドライビングスタイルを楽しんでいるうちは、ポルシェ・パナメーラ・ターボよりも一回り小柄にすら感じることができる。驚くことに、2ドアのAMG GTクーペと同じ低重心と後方にやや偏った荷重バランスを、4ドアクーペにも与えることに成功しているそうだ。結果、価格は5万ポンド(710万円)も安いが、E63Sと同等の速さを身に着けているとのこと。もちろん、もっとゆったりとドライブを楽しむことも可能ではある。
普通に運転している限り、ストレートでの走りは穏やかで、必要がない限りはエンジンのトルクはフロントタイヤのみに伝えられる。サスペンションをコンフォートモードにし、60km/h程度のスピードが出ていれば、リアシートの乗員を驚かせるような洗練した乗り心地を提供することさえ可能。まさにサラブレッドを自然に流しているようなフィーリングだ。
パフォーマンスと裏腹の上質な乗り心地
GT4ドアクーペの快適性を生んでいる理由のひとつが、EクラスやCLSと同じMRAシャシーを用いているということ。過度に荒れた路面ではボディに伝わる突き上げ感、ハーシュネスを隠しきれないが、高速道路での走行マナーは極めて民主的なものだといえる。Sクラスを除いて、GT4ドアクーペほど長距離移動を短時間でこなす能力を始めから備えているクルマは、他にはないと思う。その走行パフォーマンスを考えると、この上質な乗り心地に改めて驚かされる。
GT4ドアクーペがEクラスを起源としていることは、インテリアを見ても伝わってくる。車内中央を貫くトランスミッション・トンネルの上には大きなセンターコンソールが鎮座し、複数のボタンと立派なシフトノブが配され、いかにもAMG的な雰囲気がある。しかし、ダッシュボードに並ぶターボン状のエアベントと大きなモニターのレイアウトは、Eクラス・サルーンとの近似性を感じられるもの。だが、EクラスやSクラスと同等の、外界とは隔離されたようなフィーリングは期待しないでほしい。また、高速道路でのクルージングであっても、7.0km/ℓ以上の燃費も期待できない。
今回のテスト車両はあくまでも生産初期のクルマということもあり、スイッチ類の操作感覚は期待するほどカシっとした質感を得ておらず、インテリア全体の質感やフィッティングもポルシェやアウディなどのライバルには及んでいないように感じられた。もう少し改善する余地はありそうだ。
しかし、ライバルモデルと並んだ時のAMGのカリスマ性は揺るがないといえ、GT4ドアクーペは優れたパフォーマンスを持ちつつ、望外な快適性も備えている。もしGT4ドアクーペを購入するなら、ナッパレザーのインテリアを選択することを忘れずに。メルセデス製のARTICO人工皮革は、このクルマには似合わない。
「買い」か?
新たなベンチマーク
ややもすると、メルセデス-AMG GT 4ドアクーペは、E63 SとGTクーペの安易な掛け合わせで生まれたクルマだと、受け取られがちだと思う。正直わたしも、硬すぎるシャシーが一般道では不釣り合いに感じられ、力強すぎるエンジンをシャシーがもてあそんでしまうのではないか、と予想していた。
しかし実際はずっと知的に煮詰められ、すこぶる楽しいキャラクターに、素晴らしいシャシーバランスを優先させた仕上がりとなっている。優れたパフォーマンスと、操作しやすく懐の深いハンドリング、極めて強力なパワートレインなど、このクラスの顧客が何を望んでいるのかを汲み取り、ほとんど完璧な状態で具現化したといえるだろう。
ハンドリングの精度の高さでいうとポルシェ・パナメーラの方が僅かに勝っていることは事実だ。しかし、最終的な結論は次の機会となるものの、メルセデス-AMG GT 4ドアクーペは、このクラスの新たなベンチマークとして評価するのに充分な完成度を得ている。日常性の高い乗り心地に加えて、積極的なドライビングを素直に楽しめる、魅力が凝縮された1台だ。
メルセデス-AMG GT63 S 4ドアクーペのスペック
■価格 13万5550 ポンド(1924万円)
■全長×全幅×全高 5054×1953×1455mm
■最高速度 315km/h
■0-100km/h加速 3.2秒
■燃費 8.9km/ℓ
■CO2排出量 256g/km
■乾燥重量 2045kg
■パワートレイン V型8気筒3982ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 639ps/5550-6500rpm
■最大トルク 91.6kg-m/2500-4500rpm
■ギアボックス 9速オートマティック
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