2019年5月17日に発売された新型スープラ。3カ月前の2019年11月の時点で、納期はトップグレードの3LのRZが約1年、2LのSZ、SZ-Rが約半年だった。
2020年1月下旬時点でのスープラの納期をトヨタディーラーに確認すると、「SZ、SZ-Rは今注文すると納期が2020年5月頃になります。RZについては日本割り当て分の受注枠は完売しておりまして、現状ではオーダー終了となっております。今後、2020年生産分のオーダーが再開されるとは思いますが正確なことは申し上げられません」。
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つまり、RZに関しては現時点でオーダーが終了しているために注文はできないが、SZ、SZ-Rに関しては、納期は3ヵ月~4ヵ月待ちということになる。
スープラを組み立てているのはマグナシュタイヤー社のオーストリア・グラーツ工場で、ラインオフ後に船積みされ、約1ヵ月かけて輸入されることを考えると、納期が極端に長いということはいえなくなった。
こうした影響なのだろうか、巷の中古車店ではスープラを見かけるようになった。
そこで、新型スープラの中古車相場は今どうなっているのか、調べてみると、走行距離100km未満の登録済み未使用車、いわゆる新古車が28台もあったのだ。いったい、いくらで売っているのだろうか? プレミアム価格がついているのか?
文/伊達軍曹
写真/ベストカーWEB編集部
【画像ギャラリー】新型スープラのグレード違い、Z4とどう違うのか?
数十kmレベルの新古車が全国に28台も流通していた
伝統の直6エンジン搭載グレードの「RZ」(白のボディカラー)と2L直4エンジン搭載の「SZ」(黒のボディカラー)
以前、ベストカーが調べたスープラの納期は、2019年11月の段階でRZが約1年、それ以外のグレードが約半年だった。2020年1月下旬現在、RZは完売したものの、SZ、SZ-Rの納期は3カ月~4カ月待ちと沈静化している。全世界での受注台数は3000台以上で、生産が追いついておらず、日本での販売台数は1000台に達していない。(2019年12月までに882台)。
■スープラ販売台数
2019年6月:8台
2019年7月:39台
2019年8月:79台
2019年9月:156台
2019年10月:150台
2019年11月:210台
2019年12月:240台
しかし、中古車市場での流通台数が増えている。なぜ、まだ受注台数を裁ききれていないのにこういう状況になったのか。
まず考えられるのは、地場のディーラーと強力なコネクションを持つ個人が初デリバリー分をサクッとゲットし、それにほんの少々乗った後、飽きたため(あるいは最初から転売利益を目的に)サクッと売却したというケース。
だがこれに該当する新型スープラは少なそうだ。というのも2020年1月下旬現在、某中古車情報サイトに掲載されている現行型スープラの数は全国で37台だが、そのうち数百km走っている個体はわずか9台。37台中28台は走行数十kmレベルの「ほぼ新車」なのだ。
全国で9台だけ存在している走行数百km以上の個体は、前述のような「ちょっと乗って売却した個体」なのだろう。
だが現在の市場で大半を占めているのは「何者かが純粋な転売目的で仕入れた個体」であると思われる。
【新型スープラの走行距離別流通数(2020年1月下旬現在)】
走行2000km|2台
走行1000km|4台
走行100~500km|3台
走行100km未満|28台
では、いまだ半年から1年ほどの納車待ち状態が続いている新型スープラを、誰がいち早く仕入れたのか? 「転売ヤ―(転売屋)」は誰なのか?
それは「この手の商材に目ざとい中古車販売店」だ。
彼らにとって新型スープラのような「好きな人は欲しがるに決まっている車種」は、絶対確実に儲かる商材のひとつ。
そのため、例えば新型スープラの正式発売が決まると(あるいは決まる前に)誰よりも早くオーダーを入れ、自社にデリバリーされる「枠」をとりあえず確保する。
そしてそれがデリバリーされると、正規の車両価格に数十万円の「即納プレミアム」と呼べる金額を上乗せし、登録済み未使用車として販売するのだ。
筆者の取材によれば「デリバリーされる前に、とりあえず中古車情報サイトに載せてしまう」という業者もある。
とある販売店は「ところでここに載ってるスープラ、もう御社にデリバリーされてるんですか?」と尋ねると、「いや~、現物はまだトヨタのモータープールにあるんですよ。あはは」と笑った。
このケースはさておき、「世の中で不足している人気商品の現物をいち早く確保し、それにプレミアム価格を乗せて販売する」というのはごく普通な商売のひとつ。それゆえ、そこに関するコメントは特にない。
ボディカラーはホワイトメタリック、シルバーメタリック、アイスグレーメタリック、 ブラックメタリック、 ライトニングイエロー 、ディープブルーメタリック、プロミネントレッド、マットストームグレーメタリックの8色。 マットストームグレーメタリックは2019年の割り当て台数が24台と少なく購入者を抽選で決定。RZは生産するボディカラーが決まっていたがすべて完売
未使用車スープラの損得勘定
3L、直6ターボのRZの人気が高く、現在、オーダーは終了している
考えたいのはそこではなく、「今販売されている未使用スープラの損得勘定」についてだ。
具体的な数字を見てみよう。まずは新車本体価格499万741円である2Lのエントリーグレード「SZ」の場合。
新車のSZにETC2.0とドラレコを付け、そして税金や諸費用も合わせた支払総額は約527万円となる。どうやら5万円ぐらいの値引きはあるようなので、SZ新車の乗り出し価格は仮に「522万円」ということにしておこう。
それに対して、即納プレミアムが乗っかっている登録済み未使用スープラSZの支払総額は530万~580万円といったところ。
ちなみに未使用車は「裸」の状態で、ETCもドラレコも付いていない。となると、未使用車の総額が530万円ほどであれば「ぜんぜん納得の範囲」と言えるはずだが、580万円ともなると「……ちょっとアンタ、さすがにふっかけ過ぎじゃない?」と言いたくなる。
SZの新車価格は449万741円
上の写真をクリックするとスープラSZ、SZ-Rの中古車情報が見られます!
2Lの高出力版である「SZ-R」はどうか? こちらの場合、新車(600万9259円)にETC2.0とドラレコを付けた場合の総額は約630万円。仮に5万円の値引きがあったとするならば、乗り出し価格は「約625万円」となる。
それに対して登録済み未使用SZ-Rの流通量は全国14台で、その支払総額は600万~710万円。ボリュームゾーンは「680万円前後」といったところだ。つまり新車に対して55万円ぐらいの即納プレミアムが乗っているということ。
これはなんとも微妙な線で、人によって感じ方は違うだろう。ただ、「早期納車のためなら55万円ぐらい喜んで上乗せするよ!」というリッチマンもいそうなグレードであるため、SZ-Rについては意外と納得感は強いのかもしれない。
最上級グレードである3Lターボの「RZ」を新車(702万7778円)で買うとなると、メーカーオプションの本革シートとETC2.0等を付けた場合の乗り出し価格は約740万円(※前述の値引き5万円を含む)。
それに対して本革シート付きRZ未使用車の支払総額は760万~830万円といったところで、ボリュームゾーンは780万円付近。
おおむね40万円の即納プレミアムとなるわけだが、最上級グレードということもあって、40万円ほどであれば「納得の範囲内」とするユーザーは多そうだ。
ただし最高値となる総額830万円(つまり90万円の即納プレミアム)ともなると「……ふざけんな」と言いたくなる人も増えてくると思うが。
上の写真をクリックすると新型スープラの中古車情報が見られます!
まとめ
●早くも流通している新型スープラの未使用車は、めざとい業者がソッコーで枠を確保し、「即納プレミアム価格」を乗せて販売している個体。
●「即納プレミアム」が納得できる額である個体も多いが、さすがにふっかけすぎと思われる個体も多い。
●上乗せ価格に納得できるなら「買い」、納得できないなら「パス」で。
なおスープラといえば新型の影響か、先代の80スープラもこのところ相場が上昇しており、2020年1月下旬現在の平均価格は約320万円。
コンディション良好なRZは走行10万kmを超えている個体であっても400万円以上で、低走行なRZは600万円以上となることも珍しくない。
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みんなのコメント
買い手がいなければ、売れず値段は下がる。腹立たしいけど、これも市場原理。
手口が汚いとか思うが、ウルやつも居る
自由な商売とはいえ、感じは超悪い そこは確かだ
どーせ うりっぱなしの店だろ、買わんがな。