現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 鳥居ウイングはまさかのトランクを開けるため!? 常識外のロングノーズにセールスマンも唖然とした「ダッジ・チャージャー・デイトナ」という残念なクルマ

ここから本文です

鳥居ウイングはまさかのトランクを開けるため!? 常識外のロングノーズにセールスマンも唖然とした「ダッジ・チャージャー・デイトナ」という残念なクルマ

掲載 7
鳥居ウイングはまさかのトランクを開けるため!? 常識外のロングノーズにセールスマンも唖然とした「ダッジ・チャージャー・デイトナ」という残念なクルマ

 この記事をまとめると

■ダッジ・チャージャー・デイトナはNASCARでの勝利のための進化が生んだモデル

アメリカンマッスルまでEV化かよ……でもじつはローパワーFFなんて世代もあった「ダッジ・チャージャー」の歴史を振り返る

■巨大なウイングとノーズコーンが特徴でのちにプリムス・ロードランナーに受け継がれる

■チャージャー・デイトナは高値で取引されておりHEMIエンジンのMTモデルはとくに希少

 NASCARでの勝利を狙った大胆エアロ

 アメリカのモータースポーツはルールがわかりやすいのが定説です。たとえクルマを運転したことがない人でも、レースを存分に楽しめる気配りというやつ。また、現在のNASCARがストックカーレースと呼ばれていたころは、ひと目でマシンの違いがわかるため「オレと同じクルマが走ってる!」などとエキサイトできたものです。

 ストック、すなわちショールームに飾ってあるまま、ノーマル状態でのレースというのはクルマの売り上げに直結したわけで、そりゃあメーカーも肩入れすることしきり。1969年当時のクライスラーもヒートアップした挙句、ライバルメーカーはおろかディーラーのセールスマンまでも絶句させたのでした。

 ストックカーで戦われたNASCARも1960年代も後半を迎えると、エンジンパワーの増大に伴って最高速は190mph(約305km/h)を越えることがしばしば。サイドバルブやOHVの古臭いエンジンながら、排気量が5~6リッターはあった時代です。

 1968年になると、クライスラーは若者向けブランドのダッジから、チャージャー500を投入。それまで参戦していたコロネットというノッチバックモデルから、いくらか空力に優れるであろうハッチスタイルとしていたのがポイント。ですが、いくらボディ後部がスラントしたからといって、いきなりダウンフォースが倍増するわけでもなく、初年度の成績はまったく振るわなかった模様。

 レースで成績が出なかったのは、最高速付近での挙動がシビアだったことが原因と判明し、ダッジ部門のエンジニアはチャージャー500に空力的付加物、つまりはウイングやスポイラーを追加したのでした。で、できあがったマシンはNASCARのサーキット、デイトナの名が付けられたのですが、これを見たセールスマンは開いた口がふさがらなかったそうです。

 なにしろ、フロントに長さ18インチ(約460mm)のノーズコーン、テールには高さ23インチ(約580mm)のあたかも鳥居のようなウイングですから、「ちょっと待って」となったことご想像のとおり。空力といっても1960年代末の知見では現在と違って、わりと大雑把(笑)。ウイングの高さにしても「トランク開けるのにはこれくらいあれば十分でしょ」的な設定ですからね。

 また、セールスマンが戸惑ったのは延長されたノーズも同様で、ただでさえ駐車が苦手なアメリカ人にとって、このボディは悪夢に等しいと(笑)。実際、ディーラーにまわされてきたデイトナをノーマルのノーズに戻して売られたクルマもあるとのことで、いまでは考えられない荒業といえるでしょう。

 クライスラーといえば! のHEMIエンジン搭載仕様も

 クライスラーといえばヘミ(ヘミスフェリカル=半球形燃焼室)エンジンが有名です。実際、レース用マシンは426ci(7リッター)V8ヘミで、425馬力、663Nmを発生したとされています。で、このエンジンが市販車に搭載されていたかというと、オプション設定で一般ユーザーも手に入ったとのこと。ですが、503台が生産されたダッジ・デイトナ・チャージャーのうち、ヘミユニット車はわずかに70台。高価だったとはいえ、ホモロゲモデルのわりには人気薄な気がします。

 また、市販車は3速ATと4速MTが選べましたが、これまたほとんどのユーザーがATを選択しています。もっとも、トルクフライト727というアメ車でお馴染みのATユニットは4.10:1という加速重視なファイナルレシオだったので、十分にヘミの迫力を味わえたに違いありません。なお、426ヘミの4段MT仕様は0-100km/h加速5.7秒、最高速度250km/hがデフォルトで、レースチューンがなされると320km/hまで伸びたとのこと。

 ちなみに、ヘミでないエンジンは440ciのマグナムエンジンと呼ばれ、7.2リッターから最高出力375馬力、最大トルク66.3kgf-mというスペックですから、一般的には十分以上だったはず。

 大胆なカスタムや強力なエンジンのおかげで、ダッジ・デイトナ・チャージャーはレースでも好成績を残しました。ただ、クライスラーが悔しがったのはできたばかりのタラデガサーキットで優勝したにもかかわらず、フォードにタラデガ(トリノ・タラデガ)のネーミングをもっていかれたことかもしれません。

 結局、鳥居のついたチャージャーは1年だけの販売となり、1970年からはクライスラーのプリマス部門からロードランナーがスーパーバードの名前でもって鳥居ウイング、巨大ノーズコーンを受け継ぐことに。

 前年にダッジのセールスマンが苦労しているのを見て「ざまぁ」かなんか思っていたところ、とんだ災難が舞い込んだというわけ。ですが、スーパーバードはデイトナ・チャージャーの503台という売り上げに対し、1935台を売り切っており、セールスマンは胸をなでおろしたことでしょう。

 それでも、希少価値というアドバンテージなのか、現在ではデイトナ・チャージャーのほうが高値で取引されている模様です。とくに、22台しか作られなかったヘミの4速MTはお宝扱いなんですが、映画「ワイルドスピード」ではずいぶんラフに乗られてましたね。CGやレプリカかとも思いましたが、排気音はリアルなものだったのでご興味のある方はご覧になってはいかがでしょう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

日本中の子どもが憧れたスーパーカーは本当に凄いクルマだった? スーパーカー大王が体感した「ロータスヨーロッパ」「ランボルギーニミウラ」の走りとは
日本中の子どもが憧れたスーパーカーは本当に凄いクルマだった? スーパーカー大王が体感した「ロータスヨーロッパ」「ランボルギーニミウラ」の走りとは
WEB CARTOP
「長距離移動最強=GT性能最高」なクルマはどれ? 速くて快適でラグジュアリーな世界最高といっても過言じゃない5台を選出
「長距離移動最強=GT性能最高」なクルマはどれ? 速くて快適でラグジュアリーな世界最高といっても過言じゃない5台を選出
WEB CARTOP
21世紀に木製フレームのクルマでルマン24時間出場って正気か? 令和になっても木製フレームの新車を売る「モーガン」の常人には理解不能な魅力
21世紀に木製フレームのクルマでルマン24時間出場って正気か? 令和になっても木製フレームの新車を売る「モーガン」の常人には理解不能な魅力
WEB CARTOP
「なんじゃこりゃ~」なデザインで当時は酷評! だがいま見ると「イケてね?」なフォード 012Cのオモシロコンセプト
「なんじゃこりゃ~」なデザインで当時は酷評! だがいま見ると「イケてね?」なフォード 012Cのオモシロコンセプト
WEB CARTOP
伝説のインプレッサ22Bのベースって……コレなの!? 日本じゃ泣かず飛ばずだった「インプレッサ リトナ」という不人気車
伝説のインプレッサ22Bのベースって……コレなの!? 日本じゃ泣かず飛ばずだった「インプレッサ リトナ」という不人気車
WEB CARTOP
ひょっとして隠れ名車「プリンス・スカイウェイ」は思いっきり影響された? 古き良きアメ車の無双っぷりを感じる「シボレー・ベルエア・ノマドワゴン」
ひょっとして隠れ名車「プリンス・スカイウェイ」は思いっきり影響された? 古き良きアメ車の無双っぷりを感じる「シボレー・ベルエア・ノマドワゴン」
WEB CARTOP
スパイダーからワンボックスまで! フィアット850 シリーズ(1) リアエンジンなイタリアの大衆車
スパイダーからワンボックスまで! フィアット850 シリーズ(1) リアエンジンなイタリアの大衆車
AUTOCAR JAPAN
「眠れる獅子」が目覚めたSUV プジョー3008(Mk2) UK中古車ガイド 2017欧州COTY受賞
「眠れる獅子」が目覚めたSUV プジョー3008(Mk2) UK中古車ガイド 2017欧州COTY受賞
AUTOCAR JAPAN
BMWが時代遅れとも思える直6エンジンに固執するにはワケがある! 世界中のマニアがベタ惚れする「シルキーシックス」とは
BMWが時代遅れとも思える直6エンジンに固執するにはワケがある! 世界中のマニアがベタ惚れする「シルキーシックス」とは
WEB CARTOP
ホンダの“スポーティ軽トラ"「T880」がスゴかった! MR×ターボエンジンで超楽しそう! 旧車デザインも超カッコイイ「コンセプトモデル」とは
ホンダの“スポーティ軽トラ"「T880」がスゴかった! MR×ターボエンジンで超楽しそう! 旧車デザインも超カッコイイ「コンセプトモデル」とは
くるまのニュース
やっぱりロードスターは初代だよなぁ……は思い込みじゃない! 初代こそが最高なこれだけの理由
やっぱりロードスターは初代だよなぁ……は思い込みじゃない! 初代こそが最高なこれだけの理由
WEB CARTOP
フランスの高級車ブランド「ファセル・ヴェガ」を知っていますか? スターリング・モスがアンバサダーを務めるも10年でなくなった理由とは【クルマ昔噺】
フランスの高級車ブランド「ファセル・ヴェガ」を知っていますか? スターリング・モスがアンバサダーを務めるも10年でなくなった理由とは【クルマ昔噺】
Auto Messe Web
3リッターV6を420馬力にブースト! 日産「“最強”スカイライン」がスゴかった!“ステルスグレー”で存在感アピールした「NISMOロードカー」とは?
3リッターV6を420馬力にブースト! 日産「“最強”スカイライン」がスゴかった!“ステルスグレー”で存在感アピールした「NISMOロードカー」とは?
くるまのニュース
【試乗】新型アウトランダーはバッテリーの改良で0-100km/h加速が2秒も短縮! バカッ速で上質さまで向上していた!!
【試乗】新型アウトランダーはバッテリーの改良で0-100km/h加速が2秒も短縮! バカッ速で上質さまで向上していた!!
WEB CARTOP
歴代アコードで一番デザインがいいのはどれ? デザインのプロが「三代目」を推すワケ
歴代アコードで一番デザインがいいのはどれ? デザインのプロが「三代目」を推すワケ
WEB CARTOP
1台6500万円で世界に4台のみ!! GT-Rのパワートレーンを移植した日産「ジュークR」試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】
1台6500万円で世界に4台のみ!! GT-Rのパワートレーンを移植した日産「ジュークR」試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
【試乗】オーテックときてスポーツを名乗ればこんな「オーラ」が出来上がる! 「AURA AUTECH SPORTS SPEC」は運転の楽しさと高級感の融合はおみごと!!
【試乗】オーテックときてスポーツを名乗ればこんな「オーラ」が出来上がる! 「AURA AUTECH SPORTS SPEC」は運転の楽しさと高級感の融合はおみごと!!
WEB CARTOP
新車ディーラーにとって「新車」よりも「認定中古車」販売のほうが美味しい! 厳しい新車販売店のいま
新車ディーラーにとって「新車」よりも「認定中古車」販売のほうが美味しい! 厳しい新車販売店のいま
WEB CARTOP

みんなのコメント

7件
  • blu********
    数年前に中古車情報で明らかにスーパーバードと思われる車体がデイトナ名で売り出されていたのはこれだったのか。
    こんなに格好いい車が当時は不人気だったとは、わからないものですね。言うまでもなく現在はプレミアです
  • BEM1650024
    ボンネットの
    エアアウトレットは
    ダミーです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

50.01928.0万円

中古車を検索
チャージャーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

50.01928.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村