BMW M4より高いツインモーターの動力性能
ボルボのお洒落な小型クロスオーバー、XC40の発売は2017年。ガソリンとディーゼル、2種類のターボエンジンでスタートしたが、バッテリーEV版も初めから計画されていた。
【画像】ツインは0-100km/h 4.9秒 ボルボXC40 リチャージ クーペのC40 最新EX30とEX90も 全130枚
3年後の2020年に、XC40 リチャージP8が登場。ツインモーターが発揮した最高出力は407ps、最大トルクは67.2kg-mと、ボルボには似つかわしくないほどパワフルだった。
実際、当時のBMW M4 CSより動力性能は高かったほど。四角い形のクロスオーバーは、0-100km/h加速を4.9秒でこなした。
ただし操縦性は、加速力に見合うほどシャープではなかった。2.2tある車重が影響し、動的特性に妥協はあった。荒れた路面での乗り心地も、上質とは呼びにくかった。
それでも、航続距離と電費は優秀。駆動用バッテリーは、大容量版では78kWhあり、一度の充電で416km走れるとうたわれた。急速充電も、当時としては高速な150kW。残量10%から80%まで、最短30分で回復させることができた。
2021年に、リチャージP8はリチャージ・ツインへ改名。ルーフラインをカーブさせた、クーペ風のC40も投入されている。
2022年には、231psのシングルモーター版が登場。当初は前輪駆動で、69kWhの駆動用バッテリーが載り、423kmの航続距離が主張された。実際にAUTOCARで試したところ、320kmほどしか走れていないが。
同年には、トリムグレードも調整。ライバルの登場へ構えるように、英国価格が僅かに下げられた。また2024年以降は、EX40へモデル名が変更されている。
実用的で上質なインテリア 中古でも魅力的な1択
XC40 リチャージの登場から数年が経過し、魅力的な電動ボルボは中古車でも選べるようになった。もしご検討するなら、エネルギー効率の良いヒートポンプ式エアコンとシートヒーターの付いた、上級仕様をオススメしたい。
インテリアは、トリムグレードを問わずミニマリスティックなスカンジナビアン・デザイン。ダッシュボードの造形はシンプルで整い、実際に押せるスイッチ類が残り、洗練され上質。明るめのウッドトリムが、ライバルとのセンスの違いを印象付ける。
ダッシュボード上には、12.3インチのメーター用モニターと、縦に長い9.0インチのインフォテインメント用タッチモニター。グーグルのアンドロイド・システムがベースで、使い勝手に秀でているわけではないが、機能はふんだんに実装されている。
トップグレードのアルティメットは、パノラミック・ガラスルーフやハーマン・カードン社製サウンドシステムを装備。さらに高級感が高められている。
車内には小物入れがふんだんにあり、ドアポケットはペットボトルからノートパソコンまで入る大容量。荷室は410Lと広く、フロント側にも31Lの通称「フランク」が用意されている。充電ケーブルをしまうのに丁度いい。
お洒落で実用的なコンパクト電動クロスオーバーをお探しなら、XC40 リチャージは有力な候補。与えられた能力は、中古車でも享受できる。
新車時代のAUTOCARの評価は?
ボルボXC40 リチャージP8は、印象的な技術を実装したフラッグシップ。必要以上の圧倒的パフォーマンスを叶えた、高価なクロスオーバーともいえる。より安価で速くない仕様の方が、理にかなうことは間違いないかもしれない。(2020年9月29日)
オーナーの意見を聞いてみる
エイドリアン・スネリウス氏
「2021年に、ファミリカーとして新車のXC40 リチャージを購入しました。それ以来、英国各地を運転し、今の走行距離は8万kmを超えています。(グレートブリテン島の北にある)アウター・ヘブリディーズ諸島も訪れましたよ」
「車内は、大人2名と子ども2名、ラブラドールレトリバーを乗せるのに充分な広さがあります。テスラ・モデルXより好きですね。年間のメンテナンス費用は150ポンド(約3万円)くらい。テールゲートのストラットが故障しましたが、補償で交換できました」
「もっぱら街なかの充電器を頼っていますが、自宅より電気代は高め。充電速度は余り速くなく、航続距離は320kmくらいです。もう少し走れると良いのですが」
購入時に気をつけたいポイント
パワートレイン
モニターに駆動システムのエラーが表示されると、走行不能な状態になる。走行中にエラーが発生すると、セーブモードに入ることも。
原因はソフトウエアの不具合が多く、ディーラーで再起動すると治ることが殆ど。システムをオフにしたり、長時間放置しているだけで、自然に解決することもあるようだ。
ソフトウエア
走行中に、インフォテインメント・システムが固まる場合がある。ソフトウエアの不調で、カーナビやスポティファイなどが使えなくなることも。
バッテリー管理システム(BMS)にエラーが生じると、充電できなくなる。解決には、正規ディーラーでメンテナンスを受ける必要がある。
サスペンション
後期型では、フロント・サスペンションのマウントとストラットに不具合が起きがち。凹凸を越えてコツコツ、バンバンと異音が聞こえる場合は、ディーラーで点検を受けたい。ボルボ側は、この症状が多いことを理解しており、対応してくれるはず。
ブレーキ
減速時は、主に回生ブレーキが働くため、従来の摩擦ブレーキは出番が少ない。雨や雪の後は、エンジンモデルより錆びがち。キャリパーの固着にも注意したい。バッテリーEVでは共通の悩みといえる。
ボディ
ストラットが故障し、電動テールゲートが開かなくなることがある。しかし、手動で開くことは可能。取扱説明書を確認したい。プラスティック製ストラットは、ディーラーで金属製に交換してくれるようだ。
知っておくべきこと
2023年に、XC40はパワートレインのアップデートを受けた。シングルモーターでは後輪駆動になり、電費が改善している。ツインモーターでは、駆動用バッテリーの容量が78kWhから82kWhへ増量。航続距離は537kmへ伸びている。
もし一層のスタイリッシュさをお望みなら、クーペ風のC40が良いかもしれない。XC40 リチャージ・ツインと、性能的には変わらない。
英国ではいくら払うべき?
2万2000ポンド(約429万円)~2万3999ポンド(約467万円)
走行距離が長めの、XC40 リチャージP8が英国では売られている価格帯。改名後のリチャージ・ツインも含まれる。
2万4000ポンド(約468万円)~2万5999ポンド(約506万円)
走行距離が8万km以下へ短くなる。トリムグレードの幅も広がる。
2万6000ポンド(約507万円)~2万7999ポンド(約545万円)
走行距離が短めで、上級グレードを選べる価格帯。年式的に、殆どがワンオーナー車のようだ。
2万8000ポンド(約546万円)~2万9999ポンド(約584万円)
整備履歴がしっかり残った、新車へ近いXC40 リチャージを英国でお探しなら、この価格帯から。
3万ポンド(約585万円)以上
ほぼ新車状態のXC40 リチャージを、英国では選べる。トップグレードのアルティメットも含まれる。年式によって、駆動用バッテリーの容量が異なるので注意したい。
英国で掘り出し物を発見
ボルボXC40 リチャージ・ツイン・プラス(英国仕様) 登録:2021年 走行距離:1万9300km 価格:2万9990ポンド(約585万円)
きれいな外観を保った、ツインモーターのXC40 リチャージ。内装も美しいままで、装備は充実している。ディーラーでの整備履歴がしっかり残った、ワンオーナー車だ。
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