1989年、当時の富士重工業(現SUBARU)が社運を懸けて開発したモデルが、初代レガシィ。トップグレードのセダンのRSやステーションワゴンのGTには新開発されたEJ20型2L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。
このEJ20型エンジンがWRCやスーパーGTといったその後のスバルのモータースポーツ活動を支えたのは間違いない。
ロードスター ワゴンR フェアレディ… デザインでクルマ好きの心を鷲掴みする国産車たち 10選
しかし、その名機と呼ばれたEJ20型エンジンも平成との時代とともに、2019年12月に幕を閉じた。もう、名機と呼ばれたEJ20型エンジンは中古車でしか手に入れることができないのだ。
そのEJ20型エンジンを搭載したモデルの中でも、最高のドライバビリティを提供してくれるのが“Sシリーズ”と呼ばれるスバルのワークスブランド、STIが手がけたモデルだ。
SシリーズはレガシィをベースとしたS401~S402とインプレッサをベースとしたS201~S208があるが、今回は中古車の中でも抜群の人気の高さを誇るインプレッサをベースとしたSシリーズに注目した。
特にシリーズの中でも新しいS206~S208に絞って中古車事情を紹介しよう。
文:萩原文博/写真:SUBARU
【画像ギャラリー】今後さらに値上がり必至!! STIが手掛けたインプレッサ&WRX STIベースのコンプリートカー
Sシリーズは2003年から販売開始
2000年に初代インプレッサWRXをベースにSTIが300台限定で販売されたのがS200シリーズの始まり。車両価格は390万円だった
Sシリーズの原点は、2000年に300台限定で発売されたインプレッサS201である。初代GC8型インプレッサをベースにSTIが培った経験を注ぎ込んだ究極のオンロードスポーツを追求したチューニングカーだ。
エンジンは最高出力300psまでアップし、外観は空力性能を向上させるため、エアロバンパーを採用するなどスパルタンだった。
走りもチューニングカーらしいスパルタンそのもので、ストイックなアスリートのような乗り手を選ぶクルマだった。
Sシリーズのクルマの方向性が変わったのが、2004年に登場したS203だった。
従来のSシリーズはストイックに速さを追求したソリッドなモデルだったが、2代目インプレッサをベースとしたS203は「グローバルピュアスポーツセダン」をコンセプトに、欧州の上級スポーツ車を仮想ライバルとして開発。
欧州のプレミアムスポーツセダンをターゲットとしたS203は、スパルタンに性能を追求するだけでなく質感向上が図られた。車両価格は474万4215円
速さだけでなく、乗り心地などの質感にも拘った。実際に運転しても非常にコントロールしやすくしなやかな乗り味はチューニングカーからワークスが手がけたコンプリートカーに変貌。BMWとアルピナのような関係性となったのだ。
5ドアハッチバック車をベースとしたモデルはS205ではなく、ロードスポーツを意味する“R”を冠名としたR205と名付けられ、S205というモデルは存在していない。
シリーズで唯一SではなくRを冠したR205は200シリーズで唯一の5ドアハッチバックがベースとなっている。車両価格は473万5500円
S200シリーズで唯一日本で販売されなかったS209は2019年に北米専用モデルとして209台の限定で販売され速攻で完売
S206(2011年11月・300台限定/540万7500~593万2500円)
2011年11月に、3代目WRX STIセダンをベースとしたS206が限定300台で登場。
ニュルブルクリンク24時間クラス優勝を記念して、カーボンルーフや専用のカーボン製リアスポイラーなどを装備した「NBRチャレンジパッケージ」は予約段階で限定100台の販売台数に達するほどの人気を誇った。
ボディ補強をはじめ、ビルシュタイン製ダンパー、ミシュラン製スーパースポーツタイヤなど、製各位に素早く曲がれる気持ちのいいコーナリングを実現するなど質感の高い乗り心地に仕上げている。
STIはニュルブルリンク24時間レースに参戦を続けていて、そこで得られたデータ、ノウハウがSシリーズにフィードバック(写真はS206)
S200シリーズのインテリアの象徴である特製レカロシートはS206で豪華かつサイドサポートがさらに強化されたタイプとなった
S206の中古車情報
S207(2015年10月・400台限定/599万4000~637万2000円)
2015年10月には12月に生産終了した最終型WRX STIをベースとしたコンプリートカー、S207を400台限定で発売。
S207はWRX STIをベースに、エンジンや足回りを専用チューンし、外装・内装にも専用装備を追加した コンプリートカーだ。
「Sport,Always!」~究極のロードゴーイングSTI ~をコンセプトに、誰もがどこで乗っても同乗者も含めて「気持ちがいい」と感じ、「運転が上手くなる」STIコンプリートカーの最高峰モデルとして「愉しさで世界ナンバー1」のクルマを目指した。
フロントには、国内メーカー初採用となる可変減衰力サスペンションDampMaticIIを採用するなど、豪華なパーツを惜しみなく使用している。
WRX STIベースの第1弾がS207で、ニュルブルクリンクチャレンジパッケージ(写真右)は最大数100台があっという間に完売
フルモデルチェンジによりシート形状もS206から大きく変更されている。S207の人気は今でも絶大
S207の中古車情報
S208(2017年10月・450台限定/626万4000~710万6400円)
日本で発売された最後のSシリーズ(EJ20搭載)が2017年10月に限定450台で販売されたS208。
専用チューニングを施されたEJ20型エンジンは最高出力329psを発生。さらにカーボンルーフの採用による低重心化などの改良をS207に加えることで、スバルらしい走りの楽しさを極限まで高めている。
S201~S208まで総販売台数はわずか3405台。
この少ロットの生産台数だからこそ、ラインで生産される標準車とはレベルの異なるハイパフォーマンスモデルに仕上げることができるわけで、それがSTIの手がけたコンプリートカーが新車時だけでなく中古車となっても爆発的な人気を誇る理由であるとハッキリ断言することができる。
インプレッサ&WRX STIベースのS200シリーズの日本での最後のモデルがS208。写真はニュルブルクリンクチャレンジパッケージのクールグレーカーキ
S206以降に設定されるニュルブルクリンクチャレンジパッケージはカーボンルーフのほか、派手なGTウイングが装着されている
S208の中古車情報
S206~208は流通量が激減
それでは、最新の中古車相場を見てみよう。
2019年末をもってEJ20型エンジンを搭載したWRX STIの生産が終了したが、早くもその影響は中古車相場に出ている。
最終型を中心にWRX STIに中古車の流通台数が減少傾向となっているのだ。
その影響はもちろん、Sシリーズにも及んでおり、S206の中古車の流通台数はわずか1台。S207、S208もわずか2台となっているのだ。
2019年末にはS207やS208は10台近く流通していたのだが、現在は市場から消滅寸前となっている。これが一時的なものならいいのだが、今後このような状況が続くのではと懸念している。
先代モデル最終のS206は特に流通するタマ数が少なくなっている。出物があってもすぐに売れるため相場も荒れやすくなるので要注意
EJ20搭載限定車が高騰中
平均価格の推移を見てみると、S206は流通台数が約4台だった3カ月前の平均価格は約360万円。現在は走行距離が約1万kmというクルマが1台しかないので、約680万円までジャンプアップしている。
続いてS207は、3カ月前そして今月ともに流通台数は約2台と横這いだが、平均価格は3カ月前の約475万円から約448万円へと値落ちとなった。
名機EJ20の消滅により、高年式の特別仕様車、限定車は軒並み価格が上昇中。写真は2017年に販売されたWRX STI TYPE RA-R
そしてS208は流通台数が約4台だった3カ月前の約688万円から今月は2台と流通台数が減少。
中古車の走行距離も1万km未満まで減り、中古車市場には高コンディション車しか残っておらず平均価格は約820万円とこちらもジャンプアップしている。
やはり、WRX STIの生産終了はSシリーズや特別仕様車のRA-R、EJ20ファイナルエディションといったモデルの中古車の値上がりの合図となってしまったようだ。
流通台数が減少し、やや荒れ気味の現在はS206~S208の中古車は買うタイミングではないと考えたい。
555台限定で販売されたEJ20ファイナルエディションはあっという間に完売し、欲しい人の間で高値で取引されている。写真はコンセプトモデル
【画像ギャラリー】今後さらに値上がり必至!! STIが手掛けたインプレッサ&WRX STIベースのコンプリートカー
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ヒロミが「前から欲しかった!」 全長5.3mも狭い道スイスイで“伊代”カンゲキ!? オレンジが眩しい「トライトン」納車を報告
新型「“R36”GT-R」まもなく登場か!? 4.1リッターV6搭載で1000馬力発揮!? 旧型デザイン採用の「和製スーパーカー」生産状況を公開
国民ブチギレ!? なぜ「13年」で“自動車税”高くなる? 軽自動車は20%加算も!? 理不尽な重課措置に「車持ってるだけで罰金だ!」「国民イジメ!」の声
イマでも「100万円台」から買える! “軽”じゃない「安く」て「運転楽しい」国産MT車3選
増殖する軽乗用車! 保有台数は80年代末の「13倍」、なんでこんなに人気なのか
みんなのコメント