いよいよ日産最新のBEV(電気自動車)、アリアのB6 2WDに公道で試乗することができた。デザインコンセプトを「間」「整」、「傾く」(かたぶく)、「移ろい」とした内外装のデザインは、どこから見ても先進性に溢れ、SUVとしても、BEVとしても実にカッコいい。
そのエクステリアデザインはスリーク、粋、上質、シームレスがテーマ。フロントはシールドと呼ばれる組子細工を思わせるグリル、光るVモーション、薄型ヘッドランプが特徴的だ。リヤビューもトレンドの横一文字のリヤコンビランプを採用しつつ、NISSANの文字が光る、こだわりある仕上がりとなっている。その前後オーバーハングが極端に短い流麗なエクステリアデザインだけでも文句なしの商品性、いかにもBEV、最先端のクルマを思わせるスタイリッシュさがあるのだが、車内に乗り込めば、その印象はさらに強まることになる。
上質なデザインとしなやかな走りを追求したホンダのコンプリートモデル「FIT e:HEV Modulo X」
インテリアのデザインコンセプトは解放感ある心地よさ、温かみ、手の込んだシンプルさだ。運転席に乗り込めば、12.3インチのフルデジタルメーターと連続するこれまた12.3インチのセンターモニターの存在感、先進感に圧倒される。センターモニターはナビやオーディオ、天気情報など様々な情報を表示してくれるのだが、タブレットのように横にスワイプ(2本指で)することで、例えばナビ画面を瞬時にメーター側に移動することもできる。そしてその下、木目調パネルにパワーONで浮かび上がるのが、ハブティクスイッチと呼ばれるオートエアコンの静電式タッチスイッチだ。軽く触ればフィードバックがあり、美しさとともにシームレスなデザインを強調。インテリアの随所に施された組子細工風の加飾ととともに、「和モダン」な美意識を目いっぱい感じさせてくれる先進性と上質さを併せ持つ、自動車のインテリアとして最上級と言っていい、まさにラウンジを思わせる極上空間と言っていい。
ボンネット内にエンジンがなく、エアコンなどのかさばるユニットを小型化した上でボンネット側に移動できたため、センターコンソールが左右を分断しない前席の足元はフラットかつ広々。サイドスルーも可能なのだから、例えば道路脇に止めた際、交通量が多いなら、助手席に移動して、左側(歩道側)から下りることもできるから便利で安全だ。また、前後15cmのパワー移動が可能なセンターコンソールも斬新かつ使いやすい。スマートフォンの充電用に使えるUSBソケットはその前後に各2個ずつあるのも嬉しい。
もちろん、ドライバーと世界が常時つながる車内外から操作可能な機能も満載だ。「ハローニッサン」で起動するボイスアシスタントに加え、なんとアマゾンのAlexaとも連携。車内のエアコンの温度を上げる、下げる、目的地設定などから、Alexaを介し、家の照明をアリアから操作して点灯させたり、お風呂を沸かしたり、また「イーグルスのホテルカリフォルニアを聞かせて」と発声し、その音楽を再生するなど、朝飯前である。
アリアのB6 2WDの価格は539万円だが、その先進性を最大限に味わうなら、スカイラインから採用されている日産の先進運転支援機能=プロパイロットの進化版、プロパイロット2.0を、リモートパーキングとセットで装着するのが望ましい。そのオプション価格は46万3500円となり、合計価格は585万3500円に達するものの、ズバリ、その価値はある(補助金は国から85万円、プロパイロット2.0装着で+7万円。現在準備中の自治体の補助金が2022/3/31以前と同じなら+約40万円)。自治体の補助金をのぞいても、補助金を差し引いた価格は約493万3500円と、500万円以下で、リース、サブスクではなく普通に手に入れることができるのだ。
自動運転前提で開発されている360度センシングを備えたプロパイロット2.0は基本的な機能はスカイラインと同様だが、アリアの進化として3D高精度マップ、GPSに加え、天頂衛星みちびきが使えるところが新しい。天頂衛星を使うメリットはセンチメートルの精度があるところで、例えば2車線道路のどちらの車線を走っているかまで認識できるようになり、自動レーンチェンジ、ルート案内での車線案内などに威力を発揮する。スカイラインのものよりさらに高精度で使いやすくなっていることになる。アリアが天頂衛星を採用したことには実は理由があり、それは、アリアは北米でも販売展開されるからだ。広大な北米では片道6~8車線という広い道も少なくなく、どの車線を走っているかが、ことさら重要。それには天頂衛星による精度向上が不可欠というわけだ。
もちろん、スカイライン同様に高速道路の同一車線内においてのハンズフリードライブも可能で、その作動可能速度域は0~130km/h(日本での上限制限速度120km/h+10km/h)とされている。
そのプロパイロット2.0とセットオプションとなるリモートパーキングも使いやすかった。他メーカーではスマホのアプリを利用し、クルマを動かしている間中、スマホ画面を「グルグル」操作し続ける必要があるシステムもあるのだが、アリアならリモコンキーのボタンのみで実現。駐車したあと、クルマに戻ると両側に幅広のクルマが止まっていて、スムーズにドアを開いて乗り込めない!!という状況でも、アリアを真っすぐ前に出す、あるいは駐車するためにバックさせることがリモートで可能。アリアをリモートで動かす際、人間や障害物をしっかり検知してくれるのはもちろんだ。
さて、そんな先進機能も満載のアリアB6 2WDを走らせてみよう。簡単にスペックを紹介すると、駆動用バッテリー66kWh(日産リーフe+66kWh 、トヨタbZ4X 71.4kWh)、WLTCモードによる一充電航続距離470km(リーフe+458km、bZ4X 512~559km/2WD)となる。アリアの実走行可能距離は推測だが、東京~軽井沢の往復も夢ではない350km前後と思われる。
もちろん、100%電気による走行であり、出足から文句なく静かだ。アリアはBEVとしての静粛性にもこだわり、遮音ボディ、遮音ガラス、あらゆるノイズの侵入の原因となる穴をふさぐなどの基本的な対応のほか、低速域で静かな駆動モーターを採用し、さらにブリヂストン・アレンザのアリア専用タイヤをスポンジ吸音タイヤにするなど徹底しているのだ。
BEVの走行性能は静かさだけが取り柄ではない。モーター駆動によるスムーズで伸びやかかつ、静かな加速フィールも特徴だが、開発陣が「EVらしい加速Gよりもスムーズさを重視した」というだけに、少なくともドライブモードのECO、STANDARDモードであれば、乗員がシビレるような、血の気が引くような加速Gに見舞われることはない。あくまで、アリアのデザインや和モダンな上質さに合致したジェントルな加速力を発揮してくれるというイメージだ(電費のためでもあるだろう)。このあたりは、その気になれば爆走できるホンダeとは違い、トヨタのbZ4Xに近い。
リーフやノートなどでもおなじみの、アクセルオフで強めの減速Gを発生させ、ワンペダルで減速可能なe-Pedalのフィールはノート以降、比較的自然になっているが、アリアでもドライブモードのECO、STANDARDモードなら使いやすさという点では合格だ。が、SPORTモードだと加速が鋭くなるためか、アクセルON/OFFの減速感の唐突さが気になるシーンもあった。一方、ドライブモードで優秀だと感じたのは、ECOモード+e-Pedal OFF。高速走行中に作動させると、いわゆるコースティングモードとなり、路面を滑走するような走行抵抗のない自動車らしからぬ走行性能を味わせてくれる。アクセルオフでも平たん路ならしばし加速力を保ってくれるから実に気持ちいいのである。アリアのオーナーになれば、e-Pedalよりこちらのほうがやみつきになるのではないだろうか。
乗り心地は良路であればすこぶる快適だ。最低地上高180mmのEV専用プラットフォームによる低重心感はそれほど強調されていないものの、フラットで高級感、上質感あるドライブフィールをBEVならではの車内の静かさとともに味わせてくれる。ズバリ、言えば、SUVのカタチをした高級車そのものだ。当然、ボディ剛性は極めて高い。床下に敷き詰められたバッテリーケースを剛性確保のための構造材として利用し、硬いボディを実現しているのだが、そのままだとただ硬い乗り心地になってしまう。そこでサスペンションやタイヤを乗り心地方向に振っているはずだが、そのためか、うねり路面やカーブを曲がる際、ふいに重心の高さを感じさせるシーンがあった。ただし、それで安定感が失われることはないから安心していただきたい。
車内の静粛性に関しては、すでに述べた良路での滑るような乗り心地に合致した静かさが保たれるのだが、粒の荒い路面を通過する際は、やはりロードノイズが相対的に気になる場面がある。これは、パワートレーンなどが発するノイズがほぼないために強調されるEVならではの静粛性の造り込みの難しさだが、オプションのBOSEサウンドシステムによる車内を包み込むような良質の音楽を聴き始めると、いきなり気にならなくなるから不思議である。
アリアは今後、91kWhのバッテリーを積むB9グレードの2WD、および日産GT-Rで培った技術から生まれたe-4ORCEと呼ばれる4WDも揃うことになっているが、よりプレミアムなドライビングプレジャー、意のままの操縦性を楽しませてくれることになるはずだ。とはいえ、B6 2WDでもプレミアム感溢れる商品性、ライバルを凌ぐスタイリッシュさ、そして走りに満足できるに違いない。
なお、アリアの充電ポートは運転席側に100/200V用、助手席側に急速充電/V2Hポートがある。B6、66kWhバッテリー搭載車の充電時間は家庭でも行える200V/6kWで約12時間、高速道路のSA/PAなどにある急速充電では約80%まで約65~45分とのことだ。
日産アリア
文/青山尚暉
写真/青山尚暉・日産
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みんなのコメント
R35出した時もインフィニティではなくあえて日産名義から出したってのが謙虚で話題を呼んだが
アリアも同じく謙虚で素晴らしい。
たいしたサプライズもないのにRZを大袈裟に発表したトヨタが小さく感じるよ。