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なぜ今? フェラーリ・プロト、半世紀ぶりル・マン復帰のワケ ひと目でフェラーリとわかるマシン目指して

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なぜ今? フェラーリ・プロト、半世紀ぶりル・マン復帰のワケ ひと目でフェラーリとわかるマシン目指して

ニューマシン「499P」とは?

フェラーリが2023年ル・マン24時間レースに投入するニューマシン「499P」を発表した。

【画像】フェラーリの新マシン「499P」にロードカーのおもかげ【296 GTB/GTSと見比べる】 全88枚

これまでもフェラーリは世界耐久選手権(WEC。ル・マン24時間はWECの1戦として開催される)に参戦してきたが、近年はロードカーをベースとするLM GTEクラスにエントリー。

488 GTEで挑んだ2021年シーズンもシリーズ・チャンピオンに輝いたほか、ル・マン24時間でも優勝を果たしている。

ただし、これはあくまでもLM GTEクラスでの話。

ル・マン24時間の総合優勝は、ロードカーをベースとしていないプロトタイプカー(LMP1クラス)によって長らく競われてきた。

つまり、LM GTEクラスに挑むフェラーリには、クラス優勝はできても総合優勝は狙えなかったのである。

ところが、WECとル・マン24時間の規則が見直され、昨年からル・マン・ハイパーカー(LMH)クラスがLMP1クラスに置き換えられることとなった。

ロードカーを直接のベースとしていないマシンで戦うという意味において、LMHもプロトタイプカーの1種ではあるものの、従来のLMP1とは異なり、ロードカーに似たスタイリングや技術を投入しやすいことがその最大の特徴。

このLMHの新設こそ、フェラーリがル・マン24時間の総合優勝争いに挑む最大のきっかけになったという。

ちなみに、フェラーリが総合優勝を賭けてル・マン24時間に参戦するのは、1973年以来、ちょうど半世紀ぶりのことだ。

半世紀ぶりの復帰 なぜ今?

「規則が変更されたことが、総合優勝を目標に据える最大のきっかけとなりました」

フェラーリのル・マン・プロジェクトでリーダーを務めるアントネッロ・コレッタは、そう語り始めた。

「わたし達はこれまで、LM GTEクラスでたくさんの栄冠を勝ち取ってきました。ところが、ル・マンのGTクラスに関する規則が改正されるとともに、(昨年は)LMHクラスが誕生しました」

「こうしたすべての状況を鑑みて、記念すべき50周年のシーズンにプロトタイプカーでル・マンに復帰することを決めました。2023年は、ル・マンの初開催から100周年という歴史的な年でもあります」

中でも、とりわけ重要だったのがLMHクラスのスタイリングに関する規定だった。

「わたし達にとって、スタイリングはとても重要でした。人びとがわたし達のプロトタイプカーを見たとき、『これはフェラーリだ!』とすぐに気づいていただくことが重要だったのです」

実際のところ、発表された499Pのフロントマスクは最新のロードカーである296 GTB/GTSとよく似ており、ひと目でフェラーリとわかる。

これは、空力性能を最優先するLMP1クラスでは不可能だったことで、LMHクラスだからこそ実現できたことだ。

フェラーリのアイデンティティ

ロードカーとの近似性はそのパワートレインにも表れている。

499Pに搭載されているエンジンはV6 3.0Lツインターボ。つまり、少なくとも形式的には296 GTB/GTSと同じである。

また、499Pはハイブリッドシステムを搭載しているが、この点も296 GTB/GTSとの結びつきを感じさせるものだ。

「フェラーリは小さな会社ではありません」とコレッタ。

「そこでわたし達は、使えるツールをすべて活用することにしました。いわば、フェラーリのファクトリーの全面的な協力を得て完成したのが499Pなのです」

コレッタの言葉を裏付けるかのように、499Pのハイブリッドシステムは、フェラーリF1チームが開発したものと基本的に同じバッテリーのテクノロジーを用いている。

また、499Pのスタイリングは、風洞実験で理想的な空力性能を追求したあとで、フラヴィオ・マンゾーニ率いるチェントロ・スティーレの協力を得て作り上げたもの。

つまり、フェラーリが全社を挙げて開発したレーシングカーが499Pだといって間違いないだろう。

なお、今回発表された499Pはテスト用に製作された1号車で、すでに2号車も完成済み。

現時点での外観は、今後の開発によって微調整がおこなわれる可能性があるものの、基本的にはこのまま実戦に挑む見通しのようだ。

総合優勝へ ライバルも続々と

「テストは順調に進行しています」とコレッタ。

「すでにレースを戦っているライバルと異なり、499Pは今年7月に完成したばかりなので、いまは時間を惜しんでテストに取り組んでいます」

「これまでフィオラノ、モンザ、ポルティマオでテストをおこない、1万2000kmを走行しましたが、自分達は正しい方向に進んでいると捉えています。今後もできる限り走行を重ねて、マシーンの熟成を図っていく計画です」

LMHクラスには2021年よりトヨタが参戦。

今年はプジョーがこれに続いているので、フェラーリは「第3の自動車メーカー」としてLMHクラスに挑むことになる。

なお、来季のWECならびにル・マン24時間にはLMDhクラスが新設されることが決まっている。

これは、シャシーやドライブトレインの一部をワンメイク化(メーカーに関わらず共通部品を組みづけるルールのこと)して参戦コストを抑えたカテゴリーで、来年以降、ランボルギーニ、ポルシェ、BMWなどが次々とエントリーする見通し。

そして、このLMDhでもル・マンの総合優勝が狙えるため、フェラーリのライバルは今後、急速に増えていくことになる。

「2023年には多くのライバルが参戦します。2024年には、その数はさらに増えるでしょう」

「いずれにせよ、経験が豊富なチームが有利であることには変わりませんが、わたし達は2023年の参戦に向けて全力で準備を進めています。どのような展開になるかは、いずれ明らかになるでしょう」

2023年WEC第1戦は、3月11~12日にアメリカのセブリングで開催される。

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みんなのコメント

7件
  • スーパーカーを作っているメーカーとして、F1もいいけど、スポーツカーレースにも出て欲しい。1970年代、80年代は512みたいな5リッタースポーツカーがメーカー選手権に参戦していましたからね。でもこの時代の流れるような美しい車ではなく、空力特性重視の車になっちゃった。勝つためには仕方ないかも知れないけれど、あのゾクゾクするような造詣があってこそのフェラーリのような気がする。爺さんの勝手な好みなんだろうけど。
  • もうちょいロードカーっぽいヘッドライトが良かったな
    糸目は無いわ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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