「いい車」にはさまざまな指標がありますが、バシッと数字として現れる基準のひとつに、「販売台数」があります。同じデザイン、同じ走行性能、同じコンセプトなら、売れないよりは売れたほうがいい。
多くの人が気に入って(しかも数百万円出して)買ったということですから、そりゃあいい車なわけです。しかし、そうはいっても、ここはちょっと……ということがあるのが車だったりします。
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そんなわけで本企画は「売れてる車」のちょっとここは直してほしい、という点をピックアップ。難癖つけているわけではありません。売れていても売れてなくてもいい車はあるし、どんないい車でも「ここはちょっと」というところはありますよね、という企画です!(「売れてる」は2017年7月の乗用車車名別月販台数上位5台)
(※「アクア」の項目で一部誤記がありましたので、修正いたしました/2017.8.30 10:25)
文:渡辺陽一郎 写真:平野学、池之平昌信、西尾タクト
■日産 ノート 2017年7月の月販台数12,426台
人気車は多くのユーザーが選んでいる以上、優れた商品と判断できる。ただし欠点があることも事実だ。販売店の試乗車で欠点を確認して、そこに不満を感じなければ安心して購入できる。
まずはe-POWERで人気を高めたノート。e-POWERにおいてエコモードやパワーモードを選ぶと、アクセルペダルを戻すと同時に回生による充電が開始され、燃費を向上させる。
アクセルペダルだけで速度を自由に調節できる特徴もあるが、ユーザーによっては違和感が生じる。そこでノーマルモードで走ると、ノートe-POWERはブレーキの協調制御を行わないから燃費性能が伸び悩む。つまりエコモードが使いにくいユーザーは、ノートe-POWERの真価を発揮させにくい。
またe-POWERの車両重量はノーマルエンジン車に比べて170kgほど重く、カーブを曲がる時にはボディの重さを意識させる。走行安定性も良好とはいえない。エンジンが発電に専念するので、車速の増減とエンジン回転数が合致しない場合がある。これもユーザーによっては違和感に繋がる。ノーマルエンジン車を含めて、マニュアルエアコン装着車ではインパネの質感が大幅に下がる。
■ホンダ フィット 2017年7月の月販台数11,908台
全長が4000mmを下まわる取りまわし性の優れたコンパクトカーで、全高も1550mm以下だから立体駐車場を利用しやすい。その一方で燃料タンクを前席の下に搭載するから荷室の床が低い。積載性が優れ、空間効率の優れたプラットフォームによって後席の足元空間はLサイズセダン並みだ。緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も充実している。
欠点はボディスタイルだ。サイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げたから、斜め後方の視界が良くない。販売店の試乗車を使って、縦列駐車や車庫入れを試しておくと安心だ。
エアコンの操作パネルは薄型で、タッチパネル式だから手探りによる操作がしにくい。取り付け位置も低すぎる。
ハイブリッドのATは7速DSGだが、ハイブリッドSホンダセンシングを除くとパドルシフトが装着されない。Dレンジの下はLレンジのみで、エンジンブレーキを使うためにシフトすると、ギヤが大きく下がって制動力が強すぎてしまう。全車にパドルシフトを装着するか、D/S/Lという具合に3つのレンジに分けて、エンジンブレーキが段階的に強まるよう改善すべきだ。
■トヨタ アクア 2017年7月の月販台数9,940台
人気の高いハイブリッド専用車で、軽量なボディによってJC08モード燃費は売れ筋のSやGが34.4km/Lに達する。全高は1455mmと低めだから、低重心になって走行安定性も優れている。5ドアクーペ風の価値観を併せ持つ。
その代わり後席は窮屈だ。天井が低いために腰の落ち込む座り方になり、足元空間も不十分で、大人4名の乗車は可能だが圧迫感が伴う。全高が低く、しかも天井を後ろに向けて下げたからから荷室の容量も乏しい。これらの欠点も5ドアクーペ風だ。
取りまわし性では、サイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、斜め後方の視界が悪い。真後ろのリヤウインドーも上下寸法が不足している。
緊急自動ブレーキを作動できるトヨタセーフティセンスCは、単眼カメラと赤外線レーザーを併用しながら、ブレーキだけでなく警報も含めて歩行者を検知できない。2017年6月にマイナーチェンジを実施しながら改善を施さなかった。トヨタの傘下に入ったダイハツの軽自動車が採用するスマートアシストIIIと比べて、機能は明らかに見劣りする。
■トヨタ プリウス 2017年7月の月販台数8,340台
ハイブリッドの主力車種で、現行型はJC08モード燃費が売れ筋グレードで37.2km/Lに達する。数値上はコンパクトで軽いアクアを上まわる。世界的に見ても最高峰の低燃費車だ。新しいプラットフォームを使って走行安定性と乗り心地を向上させ、ノイズや振動も抑えた。
注意したい欠点は、まず後席の座り心地だ。足元空間は広いが、頭上は狭めで腰の落ち込む座り方になる。天井を後ろに向けて下降させた外観が災いした。
A以上のグレードでは、前席の中央に位置するフロントコンソールトレイが乳白色になって洗面台を連想させる。ブラックの内装ではコントラストが強すぎるから、A以上では比較的明るいクールグレーの内装色を選びたい。
視界については、サイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから斜め後方が見にくい。リヤウインドーも見やすいとはいえない。
走行安定性と乗り心地は、先代型に比べれば向上したが、欠点を改善したに過ぎない。走りの優れたクルマとはいえない。
■トヨタ C-HR 2017年7月の月販台数8,070台
SUVは人気のカテゴリー。C-HRはハイブリッドとガソリンターボを用意しており、トヨタ系列の全店(4900店舗)が扱うこともあって売れ行きは好調だ。販売ランキングの上位に入る。
人気の秘訣として個性的な外観を挙げられるが、後席側のサイドウインドーが極端に狭いから、斜め後方の視界は劣悪だ。開発者は「トヨタの社内的な視界の基準を辛うじてクリアできた」という。
従って車庫から後退しながら出庫する時などはバックモニターに頼る。この視野角度は人間の視覚よりも狭いから、バックモニターだけを見ていると、車両の左右から接近する自転車などを見落としやすい。安全面を考えると非常に好ましくないボディ形状だ。
後席に座ると足元空間が少し狭い。サイドウインドーの面積も乏しいから閉鎖感が一層強まった。また外観の見栄えを優先させた結果、後席の外側のドアノブが高い位置に装着されて小柄な子供などには使いにくい。
エンジンと駆動方式は、1.2Lのターボが4WD、ハイブリッドは2WDのみで硬直化している。価格帯も高めで、1.2Lターボに2WDがあれば、230万円以下に設定できただろう。
また1.2Lターボの動力性能は、自然吸気のノーマルエンジンでいえば1.8Lクラスになる。4WDの搭載と相まって車両重量は1470kgに達するから、十分な動力性能とはいえない。
ヘッドランプの組み合わせにも不満がある。価格を抑えたターボのS-TとハイブリッドのSでは、ヘッドランプがハロゲンのみだ。C-HRにハロゲンヘッドランプというのは非現実的だろう。バイビームLEDヘッドランプをオプション装着するには、上級のG-TかGを選ぶ必要があり、価格はG-Tでも277万5600円、Gは290万5200円と高額だ。グレードや装備については、かなり不親切なクルマになっている。
☆ ☆ ☆
以上、いろいろ挙げさせていただきましたが、どれもいい車であることに違いはありません。あくまで「ここが気になる人は別の候補もあるよ」という指摘となります。売れてる車を「売れているから」という理由だけで選ばないよう、ご注意ください!
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