酷暑の8月開催、2020年スーパーGT第3戦鈴鹿サーキットでのGT500クラス公式予選は、ダンロップタイヤ装着の64号車Modulo NSX-GTが、Q1担当の大津弘樹、そしてQ2担当の伊沢拓也ともに1分46秒台と圧巻のタイムを記録し、伊沢は自身の手によるQ2アタックでGT500クラス初のポールポジションを獲得した。
梅雨明け宣言以降、全国的な暑さに見舞われた8月のお盆期間を引きずるように、迎えた8月22日(土)の鈴鹿も、午前の公式練習、午後の公式予選と気温35℃に迫る炎天下での勝負となった。
【タイム結果】2020スーパーGT第3戦鈴鹿 公式練習。両クラスNSXがトップタイムを記録
午前10時からと例年より少し遅めの走行開始となった公式練習では、路面温度が43~44 ℃で推移するなか早い時間帯に自己ベストを記録するマシンが多く、トップ5中で4台が混走時間序盤に最速をマーク。唯一、3番手に入った38号車ZENT GR Supraの石浦宏明が11時35分からのGT500クラス占有走行枠で1分47秒696をマークし、首位の64号車Modulo NSX-GT、2番手MOTUL AUTECH GT-Rに続くトヨタ勢最上位となった。
開幕連戦の舞台となった富士スピードウェイではセットアップに苦しんだセルモ陣営が、コース特性の変わるここ鈴鹿でどの位置の予選グリッドを獲得できるか。灼熱の鈴鹿でダンロップ、ヨコハマ装着組が上位に来たホンダNSX-GTと、好調12号車カルソニック IMPUL GT-Rを含むニッサン勢が最速を賭けて争う、三つ巴の勝負が期待された。
■Q1
GT300クラスの組み分け予選Q1を経た午後15時03分にコースオープンとなった予選Q1は、湿度が午前より4%上がった74%に。気温34 ℃、路面温度は52 ℃まで上昇し、灼熱ドライ決戦の場が整った。
すると開始2分でau TOM'S GR Supraサッシャ・フェネストラズ、そしてCRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平が早々にコースイン。その1分後には、各車続々とピットを離れてウォームアップへと入っていく。
すると残り1分30秒を切ったところで前戦勝者の17号車KEIHIN NSX-GT、塚越広大が1分46秒764を記録して首位へ。するとこのターゲットタイムをすぐさま更新したのが公式練習トップタイムのModulo NSX-GTで、Q1を託されたルーキーの大津弘樹が17号車をコンマ6秒近く引き離す、1分46秒160という堂々のタイムをマークする。
その後も、ZENT GR Supraの石浦が1分46秒631、続くMOTUL AUTECH GT-R松田次生が1分46秒500と続き、続々と2番手が入れ替わっていくものの、大津のタイムを更新するマシンは現れず。
チェッカー直前には19号車WedsSport ADVAN GR Supraの宮田莉朋が5番手に飛び込む好走を披露し、同じくGR Supraの14号車、2019年チャピオン大嶋和也の7番手を挟み、6番手と予選カットライン8番手にはそれぞれRed Bull MOTUL MUGENとRAYBRIGのNSX-GT勢が並び、これでホンダ勢は4台がQ2へと進出。
その一方で、8号車ARTA NSX-GTと12号車カルソニック IMPUL GT-Rは、14番手と15番手に沈み、まさかのQ1敗退となってしまった。
■Q2
ペナルティでポールポジションの入れ替わる波乱も巻き起こったGT300クラスQ2を挟んで、15時41分から8台の勝負となったGT500の予選Q2は、開始2分ほどで先陣を切ってコースインしたベルトラン・バゲットの17号車に対し、最後までウエイティングの判断をしたロニー・クインタレッリのMOTUL AUTECH GT-Rがセッション残り5分30秒で、坪井翔のWAKO'S 4CR GR Supraもさらに1分遅れで、ようやくコースへと入っていく。
するとセッション残り2分でまずは計測3周目のKEIHIN NSX-GTが1分47秒635をマークし、背後に続いていた100号車RAYBRIGの牧野任祐が1分48秒122で2番手に飛び込んでくる。
しかしその背後で、フリックボックスのフロア面から火花を散らしながら迫って来たのが64号車Modulo NSX-GTの伊沢拓也で、全セクターベストの完璧なアタックを決めて1分46秒239で首位へと躍り出る。
さらに16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT笹原右京が1分47秒147で続くと、その後はGR Supra、GT-Rも入り乱れてのフロントロウ2番手争奪戦となり、最多ポールポジション獲得記録更新を狙った立川祐路を抑え、最後の1撃に賭けたロニー・クインタレッリが1分46秒699を叩き出し、GT-R復活の狼煙を上げる最前列を確保する。
4番手には、同じくラストアタッカーとしてコースインしていた坪井翔が入り、38号車ともにセルモ陣営のGR Supraが2列目を占拠し、以下5番手Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、6番手WedsSport ADVAN GR Supraと続き、ターゲットタイムを記録していたKEIHINのバゲットは、連続アタックで自己ベストを更新するも7番手止まりに。
全車チェッカー時点で最速タイム更新はなく、2番手以下に圧巻の0.460秒もの大差をつけた伊沢がキャリア初となるQ2アタッカーでのGT500ポールポジションを獲得した。なお、Modulo NSX-GTは公式練習、予選Q1、Q2と土曜日に行われた公式セッションのすべてでトップタイムをマークし、チームとしても完璧な1日となった。
明日23日(日)、52周300kmの決勝は午後13時のスタートが予定される。ドライかウエットか、天候の判断が難しい状況となってはいるものの、2017年8月の鈴鹿1000kmでは、ドライとウエットが交錯する難しいレースで、ダンロップタイヤを装着した64号車が勝利を挙げているだけに、Modulo Nakajima Racingがその再現に挑む展開となりそうだ。
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