クルマの耐久性向上や高額化の影響から、一台のクルマに長く乗り続ける人が増えている。10年/10万kmも珍しくないが、それ以上となると結構な額の出費を求められる。そこで、10年/10万kmという節目にかかる金額を試算してみる。
※本稿は2024年3月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トップ画像=tamayura39AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年4月26日号
※金額は普通車サイズでかかるおおよその金額です。実際は車両によって異なります
R34GT-Rはタービン交換に40万円!? 中古で激安の過走行車購入はアリなの? 10年/10万kmのメンテ費用はいくらかかるのか
■10年/10万kmをともに歩むには定期メンテナンスが必須!
最近のクルマは、オイル交換だけきっちりすれば、10万kmノートラブルがほとんどだ(Byrd Setta@AdobeStock)
まずは10年/10万kmを目指す方に注意してもらいたい、定期メンテナンスの話をしておきたい。
気に入った愛車に長く乗り続けるためにやるべきなのが、油脂類や消耗品の定期的な交換だ。特にエンジンオイルはクルマの血液と言えるもので、まめに交換しないと、エンジンヘッド内にスラッジがヘドロ状に堆積する……なんて惨事にも繋がりかねない。
「たまにしか使わないから平気でしょ」と考えているアナタ、その考えは危険だ。オイルはエンジンをかけなくても経年劣化する。さらに、近距離しか乗らず、エンジンが温まりきる前にストップすることが多いと、シビアコンディションと判断される。
意外かもしれないが、そういった状況では軽自動車、アイドリングストップ装着車、ハイブリッドカーであっても、3000kmくらいでの交換が推奨される。
そこまでマメにできないという人も、メンテナンスパックなどに入っていれば定期的に案内が届き、純正品なら無料で交換可能なので、忘れずに管理したい。
基本的にはオイル交換を怠らなければ、現在のクルマはそうそう壊れることはない。バッテリーの電圧、タイヤの残り溝をたまにチェックし、必要であれば交換するくらいで10万kmは余裕で走れてしまう。
■トータル金額に驚く! 覚悟が必要な10万kmでかかるお金
日本車は部品の寿命を、最長10年/10万kmで計算している。そのため、部品の交換がその時期に一気に発生し、高額請求にたまげることも。長く付き合うために必要なお金について知ってもらいたい。
●10万km整備とは?
10万km整備はあくまでも基本メニュー。へたっている部品があれば、より高額になる(KMPZZZ@AdobeStock)
10万kmを迎えるクルマは10万km整備を受けることになる。スパークプラグ関係、燃料ポンプ関係、Vベルト&ベルトテンショナー関係などの交換がセットになっている。
近年のエンジンは、タイミングベルトがチェーン式のものも増えおり、10万kmでの交換が不要なモデルもあるので、事前に自分のクルマはどちらなのか調べておくことをおススメする。
スパークプラグ関係はコイルアッセンブリーが高額で部品代:約5万円(4気筒)、工賃:約2万円。燃料ポンプは部品代:約4万円、工賃:約1万円。Vベルト関係は部品代:約2万円、工賃:約5000円といった感じで、トータル約15万円となる。車検のタイミングに合わせて見積もると、30万円オーバーになる。
★いくらかかる?
・部品代:約11万円
・工賃:約3万5000円
●サスペンション
ショックアブソーバーは、寿命が8万~10万kmだ。ダンパー内部のピストンとともに収められたオイルの漏れが発生したら、寿命だと考えてもらいたい。
車外品に交換するのも手だが、ディーラーの保証が使えなくなる可能性があることは考慮したい。
サスペンションを交換する際は、4本まとめて交換するのがお薦めだ。同時期に寿命を迎えるので、一本一本交換というのは効率がよくない。結局すべて換える必要があるのだから。
金額については純正サスペンションの部品代(4本)が約10万~20万円で、工賃は約1万~2万円/本といった感じだ。トータルでは高額だが、交換した効果を誰でも感じやすく、費用対効果は大きい。
★いくらかかる?
・部品代:約10万~20万円
・工賃:約4万~8万円
●ブッシュ類
ストラット式に比べてマルチリンク式はブッシュが多いなど、クルマによって異なる(sigemin@AdobeStock)
ブッシュ類がへたってくると、操安性や乗り心地に大きな影響を与える。ブッシュ交換をすると、動きが見違えるように落ち着いて走りがしなやかになる。
しかし、クルマはいたる所にブッシュを採用しているので、すべて打ち換えようと思うと、時間も費用もかなりかかる。フルブッシュ交換ともなれば、15万~25万円(工賃含む)と高額。車種によっては、サブフレームのマウントブッシュ交換も必要になるので、確認が必要。
交換しやすい箇所では、ロワアーム(トランスバースリンク)があるが、そこでも部品代:約1万円、工賃:約2万5000円といった感じだ。
★いくらかかる?
・部品代+工賃:約15万~25万円
●ATF
現在ではメーカーや車種によって10万km毎の交換が推奨されているのがATフルード(CVTもフルードを使用しているが、こちらは基本無交換でOKということになっている)。
ATフルードの交換費用は、使用するフルード量によって変動するのだが、純正品であれば約1000円/Lで、工賃は4000円程度となっている。
ただし、ATフルードに関しては、10万kmまで無交換だった場合、フルードに内部に付着したゴミが剥離・混入し、動作不良の原因になるとも言われているので、交換に際してはディーラーなどのメカニックに事前に相談することをお薦めする。
★いくらかかる?
・部品代:約1000円/L
・工賃:約4000円
●ハブベアリング
症状があれば交換が必要になるハブベアリング。予防的措置での交換もアリだ(happycreator@AdobeStock)
必ず交換が必要になるものではないが、使用条件によっては寿命を迎える可能性があるのがハブベアリングだ。タイヤ脱落の原因にもなるので走行時に異音が聞こえたり、ハンドルを切った時に違和感を感じる場合は確認したい。
4輪すべてのハブベアリングが同時に問題を抱えるケースは少ないが、1カ所でも部品代+工賃でなかなかのお値段になるのがハブというもの。
フロント1カ所でも、部品代で約5万円、工賃は約1万5000円といったところだ。フロントを両方交換すると、合計で約13万円と痺れる。リアはサイドブレーキを分解する必要があるので、工賃がさらに高くなる。
★いくらかかる?
・部品代:約5万円
・工賃:約1万5000円
●オルタネーター
多くの電気を消費しながら走行する現代の自動車は、オルタネーターが故障すると、電力供給がストップしうんともすんとも言わなくなる。しかも、予兆なく突然息絶えるケースが多い。10万kmを超えたら交換を考えたい(壊れる前の交換は断られるケースがあるので、事前にディーラーなどと相談が必要)。
交換品は新品も選べるが、オルタネーターに関してはリビルト品(廃車から利用可能な部分を取り出して再利用する部品)も選ぶことができる。こちらを使えば比較的安価に修理ができる。
リビルト品については、部品代が工賃として請求される。なので、工賃のみで約5万円となる。新品が部品代だけで約10万円と考えれば、かなりお得だ。
★いくらかかる?
・部品代:0円
・工賃:約5万円
●クラッチ(MT車)
クラッチ調整はノウハウが必要なので、信頼できるディーラーなどに依頼したい(wellphoto@AdobeStock)
使い方次第で、10万kmよりも前に交換したという人もいるかもしれないが、大体10万kmが交換の目安になる。選択肢としては社外品もアリだが、使いやすさやコスパの部分で今回は純正品で話をさせてもらう。
クラッチの交換はミッションケースを下ろす必要があり、工賃も高めになる。また、フライホイールも傷んでいれば交換になるので、その部品代もかかる。
一般的な部品代としては、フライホイールが約3万円、クラッチディスクが約2万円、クラッチカバーが約2万円、レリーズベアリングなど数点で約3万円。そこに工賃で約9万円が乗っかるので、すべて合わせて約19万円といったところだ。
★いくらかかる?
・部品代:約10万円
・工賃:約9万円
■ベストカー編集部の経験者が語る!! 10万km超え車のメンテ費用
実はベストカーでも10年以上保有、約10万km走行の車両を保有している編集部員がいる。そんな編集部員が経験した、リアルなお金の話をお届けしたい。身近な例として、参考にしていただければと思う。
●編集長・飯嶋……スカイラインGT-Rのメンテ費用
目移りはするけど、乗り続けているR34GT-R。ネオクラはいろいろお高い……
私の愛車は1999年生まれ。今年めでたく25歳となりました。いまだに走りは楽しく、RB26DETTのエンジンフィールは快感ですが、維持しようと思うと大変です、お金が。
まずパーツが出てこなくなります。出てくるパーツも価格がガンガン上昇します。先日、エアフロメーターを交換しましたが、2コで工賃込み20万円を超えました。
その前に予防整備的にタービンを換えた時は、純正品を指定したせいで40万円超え。ディーラーマンの「アフターのものでも……」との提案を蹴ったのを、激しく後悔しましたね。
4月に車検なんですが、前回は法定費用を除いて35万円かかりました。今から怖くて仕方ないです。
気持ち的には永遠に維持したいです。ですがお財布事情的には……。非常に悩ましいのです。
●編集部・梅木……ファンカーゴのメンテ費用
ちょっと色あせてきたボディカラーも味があっていい。まだまだ乗りますよ!
いつも言うようにファンカーゴの代わりになるクルマって、なかなかないのよ。それに、20年も乗り続けちゃうと、そう簡単には手放せなくなる。いい感じにヤレてきて味も出てるし。
あんまり遠乗りはしないからオドメーターは10万kmちょいなんだけど、3年前の車検前整備時にフロントブレーキ周り、ナックル周辺が錆びで要交換、さらにリアトーションビームのリンクやらも錆びで要交換との診断が。で、見積り取ったらザっと65万円!!
ディーラーの営業マンはさすがに買い換えを薦めたけど、そ~いうことじゃあない!! 「愛車」というのは病める時も互いに慈しむものなのよ!! かくしてファンカーゴ、今日も元気に走ってます。
●編集部・林……フォレスターのメンテ費用
日本全国を走り回ったフォレスター(SJG)。節目のタイミングで退役です
ちょうど今年で10年を迎え、あと300kmで10万kmを迎える我が家のフォレスター。すでに編集後記などでも語っていますが、節目の金額に驚愕し、乗り換えを決意しました。はい、日和りました……。
で、ぶっちゃけ整備費用がいくらだったのかというと、車検と合わせて見積もったら、なんと約50万円!
えっ、下取り金額より高いんですけど……となった(苦笑)。車検の法定費用が約6万円、10万km整備が約15万円、すでに抜けているフロントサスペンション交換費用で10万円、その他へたっている部品の交換費用で積もり積もって約19万円と、それを受け止める覚悟が足りませんでした……。
* * *
現行型でもけっこうお高い10年/10万kmの節目でかかる費用。それがネオクラ車だったりすると飯嶋のように、もっと高額になったりする。長く乗るためには、高額出費を受け止める覚悟と貯金、定期的にメンテをするマメさが必要だ。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
マツダ「“5人乗り”軽トラ!?」公開! 「4人も寝られる」全長3.7m級ボディに「驚き」の声も! 「AZ-MAXラクーンツー」登場に反響集まる
スバル新型「“すごい”4ドアセダン」公開に反響多数! 約680馬力の2リッター「水平対向4気筒ターボ」に「スゴイ技術」「走りが気になる」の声も! 漆黒の最速マシン「プロジェクト ミッドナイト」米国で登場
スズキ新型「コンパクトSUV」いつ登場? MTあり&全長4m以下の「カクカクボディ」が超カッコイイ! 注目の「“5ドア”ジムニー」導入どうなる!?
全長2.2m級で3人乗れる! 59万円からの「小型マシン」に反響あり! 普通免許&ノーヘルでも乗れる新型「トライク」どんなモデル?
街に溢れる「マツダ車」の“1番人気”ってなに? 「流麗SUV」や10年続く“ロングセラーモデル”も! 爆売れの「マツダ車」トップ3とは?
メリットなかった!? トヨタもホンダも「アイドリングストップ機能」廃止へ! 「使いにくい」の声も! どんな反響があった?
原付二種の教習が最短2日に!それでも実際の免許取得には最低4日かかるって本当?
「ウインカー」出す意味知ってますか? 適切なのは「直前? 3秒前? 30m前?」道交法的に正しいのはどれ? 出さない人は免許返納を!
「左足ブレーキ」の是非を問う!…AT車普及率98%の日本なら、なおさら「踏み間違い」による事故を減らすことができます【Key’s note】
ホンダ「“ド迫力”コンパクトSUV!?」初公開! ローダウン×「真っ白」エアロが超カッコイイ! クールの「“シャコタン”WR-V」発表
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
年1万キロだよ。
走行少ない方だぞ。
これが過走行っていうなら、ガレージに入れてずっと保管しておけ。