この記事をまとめると
■フォルクスワーゲンはかつてスポーティな3ドアハッチバックの「シロッコ」をラインアップしていた
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■初代は1973年デビューでジウジアーロによるスタイリッシュなボディが与えられた
■一時期コラードと車名を変えたが2008年に復活し、のちに「R」も追加された
アフリカ大陸から地中海に吹く風を車名とした「シロッコ」
スタイリッシュな3ドアハッチバッククーペスタイルのボディとスポーティな走り。フォルクスワーゲンがビートルに代わって誕生させたゴルフから派生させた(実際にはゴルフのほうがデビューはあとになるのだが)、「シロッコ」を覚えている人はどれくらいいるだろうか。
ちなみにシロッコとは北アフリカの砂漠地帯から地中海に吹きこむ熱風のことで、それもまたシロッコが求めたコンセプトには良く似合うネーミングだった。
初代シロッコが登場したのは1973年(1974年モデル)のことになるが、イタルデザインのジョルジョット・ジウジアーロによって描かれたそのボディデザインは、じつにスタイリッシュなものだった。
搭載されたエンジンは1.1リッターと1.6リッターの両直列4気筒SOHCで、1.6リッターにはチューニングの異なる2タイプのエンジンが用意されていた。最高出力は1.1リッターが60馬力、1.6リッターは70馬力と85馬力というスペックだったが、のちにGTIの名を掲げてアメリカ市場に輸出されていた85馬力仕様は、さらに排気量を1.7リッターに拡大してメカニカルフューエルインジェクションを装備、110馬力の最高出力を発揮した「GTI」としてラインアップに加わっている。
この初代シロッコでは、ほかにシリーズ途中でワイパーがそれまでの2本から1本に改められたり、フロントのバンパーが大型化され、それと同時にウインカーランプもより視認性の良いサイズに拡大されたりと、さらに実用性を高めるためのマイナーチェンジも行われた。
日本仕様のシロッコは1976年にデビューした。1.5リッターの70馬力エンジンを搭載したTSがファーストモデルで、翌1977年には82馬力のLSと、1.5リッターで75馬力の最高出力を得たGTEが加わる。
1980年にはさらにこのGTEは1.6リッターの82馬力仕様へと進化し、最終的には1.7リッターの排気量でKジェトロニックを組み合わせたモデルに進化。78馬力の最高出力でコンパクト・スポーツの人気モデルとなった。
復活のシロッコはフォルクスワーゲン13年ぶりの3ドアハッチ
1981年、シロッコはフルモデルチェンジされ、セカンドジェネレーションへと姿を変える。デザインは初代モデルとは異なりフォルクスワーゲンの社内チームが担当。エアロダイナミクスもCd値で0.38にまで向上するが、一方そのプラットフォーム自体は初代シロッコ、つまり初代ゴルフに使用されていた、グループA1プットフォームのままだった。
このセカンドジェネレーションのシロッコにも注目すべきモデルは数多くあるが、そのなかでも1984年にマイナーチェンジを受け、トップグレードとなったGTXの存在は見逃せない。エクステリアではさまざまなエアロパーツを採用し、さらにエンジンの高性能化を図ったGTXなどはその象徴的な例。
1987年には1.8リッターの排気量から125馬力の最高出力を発生するGTX-16Vの導入も行われた。そしてシロッコは、1988年に後継車のコラードが誕生したことで、徐々にその姿を消していくのだった。
コラードが2世代にわたって進化を続けたあと、フォルクスワーゲンはシロッコの復活を決断する。フォルクスワーゲンとしてはじつに13年ぶりとなる3ドアクーペ。もちろん期待は大きかった。
搭載されたエンジンは、こちらは6世代目に進化していたゴルフとほぼ同様の布陣。その中から1.4リッターの直列4気筒ツインチャージャーや、2リッター直列4気筒ターボ、そして2リッター直列4気筒TDIなどがシロッコには選択されている。
日本仕様の販売は1.4リッターツインチャージャーのTSIと、2リッターターボの2.0TSIでスタートするが、のちに同じRでも、4WDのゴルフRとは異なりFWDの駆動方式がチョイスされた、シロッコRも輸入されている。こちらはそのパワーユニットは256馬力の2リッターTSI直噴ターボとなるが、ならばなおさら4WDのシステムがほしいところでもあった。
フォルクスワーゲンはシロッコの生産を2017年で中止。シロッコの名を掲げたその直接の後継車は、残念ながらまだ誕生の兆しすらない。
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みんなのコメント
いやいや。FFで大馬力を扱うのが面白いのに。