■海外専用のスズキ車はステキなモデルばかり!?
スズキは1980年代初頭にインドへの進出を果たし、現地では自動車=スズキというくらいの圧倒的な支持を得ています。
■やはり出てきた「ジムニートラック」! スズキが「ジムニーシエラ」ピックアップ仕様を出展!
その後、アジア圏を中心に南米にも進出し、現地生産をしながら好調なセールスを記録しています。そのなかには日本に向けて輸出しているモデルがありますが、日本国内で販売していないモデルも多数存在します。
そこで、スズキの国内モデルと同じ車名ながら、海外専用車となっているユニークなモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●ジムニー(ブラジル)
2018年に20年ぶりとなるフルモデルチェンジがおこなわれ、大いに話題となった「ジムニー」は、いまや軽自動車唯一の本格的なクロスカントリー車として不動の地位を築いています。
このジムニーの先代モデルがまだブラジルで生産されており、そのカスタマイズされたような外観が話題となりました。
元々日本からブラジルへ「ジムニー」を輸出していましたが、2008年に現地法人と代理店契約を結び、ブラジルならではのアルコール燃料に対応したモデルを販売。2012年ごろには、現地で生産を委託する形でブラジル版ジムニーの生産が開始されます。
現行のブラジル版ジムニーは4つのグレードに別れ「4ワーク」「4オール」「4スポーツ」「デザート」となっています。
なかでもデザートは最低地上高が上げられ、国内の「ジムニーシエラ」とは異なったデザインのオーバーフェンダーやバンパー、オフロードタイヤが装着されるなど、高い悪路走破性を誇ります。
さらに、フロントガラス横のAピラー部に「シュノーケル(エンジンの空気取り入れ口)」が取り付けられ、渡河性能も向上。完全にオフロード走行に特化したモデルとなっています。
エンジンは全車1.3リッターで、ブラジルでの価格は、日本円でおよそ200万円から240万円です。
なお、ブラジルではジムニーシエラも販売されており、こちらは国内の現行モデルと同様のデザインとなっています。
●アルト(パキスタン)
パキスタンにあるスズキの子会社パックスズキモーター社(以下、パックスズキ)は、2019年6月に新型「アルト」発売しました。
パキスタンで販売されているアルトは、国内仕様のアルトと同じボディに、660ccの「R06A型」エンジンを搭載。パキスタンの道路事情を考慮して最低地上高を15mm高くするなど、使用環境に合わせた変更が施されています。
パックスズキは1982年から現地生産をおこなっていますが、スズキの軽自動車をベースに800ccから1000ccのエンジンを搭載したモデルが中心でした。
しかし、このアルトはスズキの海外拠点で初となる、日本の軽自動車規格と同じボディとエンジンを採用。
外観は日本仕様から大きな変更はありませんが、フロントグリルの空気導入口が拡大・追加され、パキスタンの気候に合わせてラジエーターの冷却性能を向上させています。
さらに、国内仕様では樹脂製のフロントフェンダーと燃料タンクが装着されていますが、現地調達部品に置換するためにスチール製に変更されました。
パキスタンでの価格は、日本円でおよそ78万円から100万円となっています。
●ワゴンR(インド)
インドにあるスズキの子会社マルチスズキは、2019年1月に小型乗用車「ワゴンR」をフルモデルチェンジして発売しました。
1999年にインド市場へ投入されたワゴンRは、スズキが得意とする小型エントリーカーの主力モデルとして高評価を得て、これまで累計約220万台を販売するベストセラーモデルです。
インド製として3代目となる新型ワゴンRは、新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用したAセグメントの専用ボディで、サイズは全長3655mm×全幅1620mm×全高1675mmです。
エンジンは1リッター直列3気筒と、よりパワフルな1.2リッター直列4気筒をラインナップ。軽量・高剛性の車体との組み合わせにより、安全性を高めながら優れた低燃費と快適な走行性能を両立しています。
インドでの価格は、日本円でおよそ68万円から90万円です。
■インドネシアのスズキが面白い!
●キャリイ(インドネシア)
インドネシアにあるスズキの子会社スズキ・インドモービル・モーター社(以下、SIM)は、2019年2月にグローバルモデルの小型トラック新型「キャリイ」を発売しました。
日本のキャリイは軽トラックとして長い歴史がありますが、インドネシア製キャリイは1.5リッターエンジンを搭載し、最大積載量1トンという、まったくの別物です。
ボディサイズは全長4195mm×全幅1675/1765mm×全高1870/1910mmと、荷台の大きさが異なるため2タイプとなっています。
防錆対策を施した荷台の地上高を低くして、重い荷物の積み下ろしもしやすくし、農業や建設業などの現場における未舗装路など、厳しい使用環境にも対応するために高剛性なサスペンションを採用しています。
また、働くトラックに欠かせない積載性能と耐久性能に加え、快適性能や動力性能など、ユーザーが求める性能を充実。
さらに、キャビンの室内幅や足元空間を広く取って3名乗車とし、使い勝手の良さを実現しています。
インドネシアにおける価格は、日本円でおよそ105万円から112万円です。
●ワゴンR GS(インドネシア)
キャリイと同じくSIMから、2014年に「ワゴンR GS」が発売されました。
ワゴンR GSは2013年11月に発売された現地版「ワゴンR」の新グレードで、インドネシア政府の「LCGC(Low Cost Green Car)」政策に適合するモデルとして開発され、初めてクルマを購入する若年層をターゲットとしています。
国内で2012年まで販売されていた2代目「ワゴンRスティングレー」をベースに、1リッター直列3気筒エンジンを搭載。トランスミッションは、5速MTと5速AMTです。
スタイリッシュな外観デザインと、黒を基調とした質感の高い内装を採用。1リッターエンジンを搭載するためにエンジンルームが拡大されており、ボンネットからフロントフェイスにかけたデザインは、ワゴンRスティングレーから変更されています。
インドネシアにおける価格は、日本円でおよそ106万円から113万円で、前席デュアルエアバッグ、キーレスエントリーなど装備が充実しています。
※ ※ ※
スズキの海外展開は他メーカーでは見られないケースが多く、ブラジルのジムニーはその典型的な例ではないでしょうか。
ほかにも2019年の春に生産を終えたマルチスズキ「ジプシー」は、先々代のジムニーをベースにロングホイールベース化されるなど、非常にユニークです。
保安基準による安全性能や質感の問題もあり、日本にそのまま導入することは難しいモデルばかりですが、海外のサイトを探してみると、意外と面白いモデルが見つかるかもしれません。
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