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【試乗】いま乗るならコレが最適解! ボルボXC60のPHEVは一生懸命考えても「ネガ」が見つからないクルマだった

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【試乗】いま乗るならコレが最適解! ボルボXC60のPHEVは一生懸命考えても「ネガ」が見つからないクルマだった

 この記事をまとめると

■グレード体系が一新されたボルボXC60リチャージ・アルティメットT6に試乗した

【試乗】「マイルドでしょ?」なんてナメちゃいかん! ボルボV60のマイルドハイブリッドが2023年モデルでもの凄い進化を遂げていた

■2022年にエンジン、モーター、バッテリーのすべてに変更を受けたボルボのPHEV

■ボルボのPHEVは現状で最良の選択と思えるほどの完成度を有している

 パワートレインを一新したボルボのPHEVに乗った

 もはやほとんどピュアEV(以下、BEV)じゃん……。

 ボルボXC60リチャージ・プラグインハイブリッド・アルティメットT6 AWDに試乗しての素直な感想にして、おそらくもっとも端的にクルマの性格を示してるだろう心の声、である。そしてその心の声は、「これって現状の最適解なんじゃないか?」というところに結びついていく。

 すでにお伝えしているとおり、ボルボのプラグインハイブリッド(以下、PHEV)モデルは、2022年の頭にパワートレインに改良の手が入り、エンジン、モーター、バッテリーのすべてが一新されている。

 さらっと説明すると、まずリチウムイオンバッテリーの電池容量が、従来の11.6kWhからおよそ60%増の18.8kWhとなった。おかげでEVモードでの航続距離ほぼ2倍ほどに延び、このXC60では81kmとされている。このPHEVモデルのAWDはフロントを内燃エンジンとモーター、リヤをモーターで駆動する仕組みだが、リヤ側のモーターの出力がおよそ65%高められ、145馬力/309Nmを発揮している。

 また、2リッター4気筒の内燃エンジンは、従来型ではスーパーチャージャーが担っていた主として低回転域のトルクやレスポンスを、クランクインテグレーテッドスタータージェネレーター(以下、CISG)の出力を54馬力/160Nmへと増強することで肩代わりさせることとし、スーパーチャージャーを廃止した。

 XC60に関しては従来のT8がなくなり、今回のT6がラインアップのトップとなった。内燃エンジンが253馬力/5500rpmと350Nm/2500-5000rpm、フロントモーターが71馬力/165Nm、リヤモーターが先述のとおり145馬力/309Nm。従来型のT8と較べると内燃エンジンの出力は低下しているが、前後のモーターが強力になったおかげで、システム総合出力は350馬力とおおよそ不満など感じることのなさそうなレベルをキープしている。

 いや、実際のところ、不満などまったくなかった。力強さも、得られる速度も、滑らかさも、心地好さも、そして完成度の面でも、重箱の隅をつついてみたところで何ひとつウイークポイントらしいウイークポイントを見つけることができないくらい素晴らしかったのだ。

 BEVだけの生活に不安があるならPHEVが断然おすすめ

 今回の試乗は街なか7割、高速道路2割、ワインディングロード1割といった感じだっただろうか。

 走行モードを基本といえる「ハイブリッド」にして街中を穏やかに走っている限り、まず内燃エンジンに火が入ることはない。昨今のフルハイブリッドシステムを搭載したクルマの多くがバッテリーの残量が充分な場合には優先的にモーターのみでの走行するよう作られているのだが、ボルボの最新PHEVはバッテリー容量が大幅に増したおかげで、モーターだけで走っていられる時間と距離が飛躍的に伸びている。

 発進の段階からたっぷりとしたトルクが立ち上がり、滑らかさと力強さと静けさと重厚さを感じさせながらクルマを前へと押し進めていく。そのときのフィーリングが、とても心地好い。冒頭で「もはやほとんどBEV」と述べてるけれど、その理由はここにある。走行モードにはEV走行用の「ピュア」というのもあるのだが、モーターで走る楽しさや気持ちよさをさまざまな局面で満喫したいというとき以外、必要性をほとんど感じなかったくらいだ。

 もちろんこれまた多くのフルハイブリッドモデルと同じように、充電量がたりなくなってきたりアクセルペダルを強く踏み込んだりすると内燃エンジンが始動するわけだが、その際の振動はあってないようなものだし、音も静か。BEV走行からハイブリッド走行への切り替わりはシームレスで、XC60のもつエレガンスはしっかり保たれる。

 内燃エンジン+前後モーターの力をすべて使っての加速は、なかなか強力。スピードもしっかりついてくる。とはいえ、過激な素振りなど微塵も見せず、穏やかに確実に膨らんでいくような印象があるのはボルボらしい。ヒステリックな盛り上がり感のようなものも、物足りなさのようなものも、どちらもドライバーに感じさせず、素早くスピードを積み上げていく味つけの仕方は見事だと思う。走行モードを「パワー」に変えると少し勢いは増すが、そちらも必要性をほとんど感じなかったほどだ。

 もうひとつトピックを述べるとするなら、このPHEVシステムではワンペダル機能が備わった。発進も加速も減速もアクセルペダルひとつでコントロールできるのは、慣れてしまえばとてもラク。その独特のドライブ感覚はやっぱり新鮮で楽しい。しかもボルボのこれは、停止までまかなえてしまう。制御が緻密だからか、すべての動きがとても滑らかだ。こうしたところからも洗練性を感じることができる。

 余談だが、姉にあたるXC90のリチャージ・アルティメットT8 AWDプラグインハイブリッドにもチョイ乗り試乗をしてみた。こちらは内燃エンジンが317馬力に400Nmなので、T6よりもさらに力強いのはたしか。だが、フィーリングや味つけなどは、基本的には同じベクトルの上にあるように感じた。

 XC60はもともと乗り心地も優しく快適で、ハンドリングもほどよくスポーティなSUVだった。それと文句のつけどころが見つけられないPHEVシステムとの組み合わせ、だ。クルマとしての印象が悪いわけなどないだろう。

 冒頭のほうで「現状の最適解」とお伝えしているのだけど、その「現状」とは、これから迎えることになるBEV時代──ということになってる──を前に、充電インフラがロクに進んでいないいま、のこと。買い物だとか送り迎えだとか、そうした日常的な使用はBEV走行だけで軽々まかなうことができ、遠出のときには内燃エンジンがいろいろと補ってくれる、モーターが主役で内燃エンジンがサポート役みたいに仕立てられたこのPHEVシステムは、BEVのクルマに乗りたいのに充電環境の面で諦めざるを得ない、BEVだけで日々を過ごすにはまだ不安がある、といった人たちにとっても抜群に素晴らしい選択肢となるはずだ。

 唯一ボトルネックになることがあるとするなら、マイルドハイブリッドのXC60 B5との180万~185万円ほどある価格差か。もちろんそれだけの価値は充分にあるとは思うのだけど、またMHEVはMHEVでいいところがあるのも事実なのだ。

 どちらか1台を選べといわれたら、僕はだいぶ悶絶する。

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みんなのコメント

22件
  • この内外装、特にインテリアのセンスは未来永劫日本人には追いつけなさそう。
    レクサスなんて野暮ったいニトリ風だしな 笑
  • ボルボに1000万はでっかい「ネガ」だな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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