荷物を満載できても走りまでいいクルマは少ない!
ラゲッジ容量がたっぷりあり、荷物を満載できるクルマは、例えばコンパクトカー、コンパクトSUV、もっと言えばスーパーハイト系などの軽自動車にもあるにはある。しかし、荷物だけでなくフル乗車といったクルマにとっての、悪条件下でも走りが楽しくて余裕のあるクルマは、そうはない。ここでは、荷物満載、フル乗車といった条件下でも大活躍してくれる、とっておきのクルマたちを紹介したい。
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オススメその1:スバル・レヴォーグ STI Sport
まず、アウトドアやキャンプ、あるいは宿泊を伴う家族や仲間とのドライブ旅行などを想定すれば、ラゲッジスペースの広さは譲れない。また、後席に人が乗る(3人乗車ができても、快適なのはふたりまでだろう)ことを前提とすれば、余裕ある足元空間が大事。これは頭上よりも足元空間の広さや、足の置く自由度が快適感につながるからだ。さらに、暑い時期を想定すれば、後席エアコン吹き出し口の装備は欠かせない。
とすると、まずお薦めしたいのは、都市部の駐車事情でも威力を発揮する、全高1550mm以下のステーションワゴン、そう、スバル・レヴォーグのSTI Sportである。肝心のラゲッジスペースはVDA測定方式で561L(カーゴボード上部492L、サブトランク69L)の大容量で、その寸法は開口部地上高が560mmと低く、重い荷物の出し入れは楽々。フロアは奥行き1065mm、幅1065~1570mm、天井高771mm。
そして後席がこのクラスとしては珍しい、4:2:4分割のため、長尺物の積載、あるいはラゲッジスペースに大型犬などのペットを乗せたとしても、ラゲッジスペースにエアコンの風が届きやすく、飼い主とのアイコンタクトも容易になるというメリットまであるのだ。※VDA方式はシートバックの高さまでの容量を計測。
後席の居住性にしても、この2代目ではエアコン吹き出し口が完備され、身長172cmのドライバー&乗員基準で後席に座れば実測で頭上に120mm、膝周りに200mmものゆとりがあるから、とくに2名乗車であれば、ロングドライブもすこぶる快適だ。
もちろん、走りは文句なしにワゴンとして最上級。高度運転支援システムのアイサイトXによる絶大なる安心感、走りのスムースさや静かさに加え、ハンズフリーも可能な快適さは、ロングドライブや渋滞時のストレスを低減。スバル自慢のAWDによる悪天候下、荒れた路面での走行性能もまた信頼に足るものなのだ。スポーティな操縦性、そして抜群の安定感は感動に値するレベルと言っていい。全高1500mmだから、立体駐車場への入庫も容易。ある意味、万能な1台なのである。
オススメその2:トヨタRAV4
トヨタRAV4も、荷物満載かつフル乗車で威力を発揮してくれる本格SUVの1台だ。なにしろ現行型の5代目は、いきなりそれまでのクロスオーバー路線から脱却。本格クロスカントリー路線に変更した。パッケージングもそうした使い方を前提に、ラゲッジスペースの容量を最大限にしつらえているのだ。その上で、後席はエアコン吹き出し口やUSBソケットを備え、身長172cmのドライバー&乗員基準で頭上に180mm、膝周りに210mmのゆとりを確保する。
ラゲッジスペースはデッキボード下位置で580L(VDA測定方式による)もの容量で、奥行き1020mm、幅1150~1345mm、天井高最小805mmと大容量だ。
パワーユニットは2Lガソリン、2.5Lハイブリッド、そしてPHVを用意し、盤石の布陣。とくにガソリン車のアドベンチャーグレード、G“Zパッケージ”に備わるダイナミックトルクベクタリングコントロール4WDは、オンロードでは曲がりの性能、オフロードでは抜群の走破性を発揮してくれる。
運転が楽しく、また悪路走破性に特化したグレードとなり、ゆとりある動力性能、走破性、居住性、荷物の積載性をもつ。そして最新の先進運転支援機能、SOSコールやオペレーターサービスの用意を含むコネクテッド機能のすべてを備えた、悪条件下でこそ頼りになる、オールマイティな1台と言える。ただし、モノトーンのボディカラーだといきなり地味になるので、ルーフを塗分けた2トーンカラーを選んでほしい。
オススメその3:三菱デリカD:5
最後の1台は、パリダカのサポートカーとしても活躍した実績ある、三菱デリカD:5だ。ひと言で表せば、3列シートミニバンの皮をかぶった本格クロスカントリーSUVということになる。
ここでは3列目席を格納した状態を基本とするが、5名乗車でも室内空間は余裕の余裕。2列目席は身長172cmのドライバー&乗員基準で頭上に210mm、膝周りに最大260mm(スライド位置による)ものスペースがあり、フロアはフラットだから、ベンチシートの3名乗車でも無理がないのである。
ラゲッジスペースは、3列目席使用時だと奥行きが160mmしかないものの、3列目席を格納すれば奥行きは一気に1200mmまで拡大し、幅は890~1250mm。ボックス型ミニバンだけに全高が高く、天井高は1135mmもあるから、アウトドア、キャンプの大荷物も余裕で積み込めるのである。具体的な容量は、3列目席格納時で2列目キャプテンシートが約828L~1003L!! 2列目ベンチシートが約805~982L(VDA測定方式)だ。
もちろん、走っても良し。2019年のビッグチェンジ以降のモデルであれば(クリーンディーゼルのみ)、ATは燃費とスムースな変速を可能にする、新開発のワイドレンジなスポーツモード付き8速ATを搭載。電動化されたパワーステアリング、走行性能と乗り心地を高めるためリヤダンパーを大径化したサスペンション、フロントウインドウの遮音ガラスやフロアカーペットを含めた入念な遮音・吸音対策まで施されているのだから、ほぼフルチェンジに近い進化ぶりを味わえる。
具体的には、ステップ式8速AT、トルクアップしたエンジンの効果もあって、加速は文句なくトルキーで力強く、スムースだ。とくに変速の速さ、スムースさは前型の6速ATとは別次元。前型とは絶対的加速性能に大きな差はないものの(それでも十二分)、感覚的に「速い」「軽い」、そして「気持ちいい」である。ステアリングは正確で応答遅れなく、思いのままに進路を変えてくれるし、コーナリング時のトレース性、安定感は、重心がずいぶん下がったかのような錯覚を覚えさせてくれるほど。
タイヤの接地感がわかりやすくなったため、運転する側も自信を持ってカーブに飛び込め、グラリとせず、リヤがねばりにねばるコーナリングを軽快に披露してくれるのだから驚きを隠せない。このあたりは新エンジンの豊かなトルク、パワーステアリングのスムースさ、新チューニングのサスペンションに加え、フロントまわりの剛性アップも貢献していると思われる。これでサマータイヤでなく、M&Sタイヤなのだから、恐れ入る。
しかも、前型ではステアリングを取られるような悪路に遭遇しても、何事もないようにサラリと走り抜けてしまうのだ。オールロード性能の高さもまた、確実に向上しているのだから申し分なしだ。つまり、荷物満載、4/5名乗車であっても(キャプテンシート/ベンチシート)、ドライバーも乗員共々、絶大なる安心感と心地よさに包まれたドライブが可能となる。とくに2列目キャプテンシートでの4名乗車であれば、後席でもビジネスクラス並みの贅沢な居住感覚を味わうことができるのだから、ロングドライブも快適そのものである。
今回はスペースの都合で、荷物満載は当たり前で、悪条件でも走りを楽しめるクルマ……を国産ステーションワゴン、SUV、ミニバンのなかから1台ずつ選んでみたが、その条件を満たすクルマはまだまだあるから、またの機会に紹介したい。
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