2021年1月、マツダが北米でCX-5、欧州でマツダ6のディーゼルエンジン車の販売終了を決定したというニュースが一部メディアで報じられた。
確かに、世界的に見てもカーボンニュートラルが叫ばれ、電動化が加速している流れもあって、これまでディーゼルエンジンの開発に注力してきたマツダにとっては逆風といえる状況だ。
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今回は撤退を決定したと言われる米国でのマツダのクリーンディーゼルの評価はどうだったのか? また、日本のみならず世界市場でマツダは今後どうかじ取りをしていくのか? について考察をしていきたい。
文/桃田健史
写真/MAZDA、編集部
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■CX-5ディーゼルモデル販売終了、その報道は本当か?
マツダの地元広島の中国新聞が2021年1月20日、北米市場でマツダがディーゼル撤退、また欧州市場ではディーゼル縮小と報じた。
このところ、日本でも電動化シフトが大きな話題となっており、そうしたなかでマツダのディーゼルが今後どうなるのか、ユーザーや販売店はとても気になるところだ。果たして、こうした報道は事実なのか?
マツダの本社、アメリカ、そして欧州での企業ホームページには、こうした報道に直接関連するようなニュースリリースは見当たらない。そこで、事の真相を確認するためマツダ本社広報部に問い合わせてみた。すると、報道は事実であることがわかった。
まず、アメリカ市場について見ていこう。
マツダの回答は、「現時点でのCX-5のディーゼル搭載モデルについて在庫販売のみになっているのは事実。お客さまのニーズや販売環境を鑑み、米国で2020モデルイヤー以降でのディーゼル搭載モデルの発売の予定はない」ということだ。
マツダのスカイアクティブ戦略の柱のひとつであったディーゼル搭載車に、撤退や縮小というネガティブな報道がされた。北米市場でのディーゼル車販売はわずか2年弱で撤退となってしまった
CX-5のSKYACTIV-D 2.2が北米発売されたのは2019年7月で、導入からわずか2年弱での撤退となる。同年4月の米ニューヨークモーターショーでは「マツダのプレミアム性を上げるための象徴としてディーゼル導入」を高らかに掲げていたが、かなり早いタイミングでの軌道修正となった。
■アメリカでの乗用ディーゼルの立ち位置とは?
そもそもアメリカでの乗用ディーゼル市場はけっして大きくない。アメリカ人にとってディーゼルは、フルサイズピックアップトラックの最上級モデルや、大型トラックなど商用向けというイメージが強い。
乗用ディーゼルについては、1980年代にメルセデスベンツ(W126)の『300SD』が人気となるなど、一部の欧州車でディーゼル車が普及。その後、2000年代にはフォルクスワーゲンが全米規模でディーゼル普及キャンペーンを行った。
だが、アメリカではレギュラーガソリンとディーゼル燃料の価格差がほとんどなく、またすべてのガソリンスタンドでディーゼル燃料を扱っていないというインフラ側の課題もある。さらに、2010年半ばに発生したフォルクスワーゲンのディーゼル/ガソリンの制御システム不正問題で、乗用ディーゼルに逆風が吹いた。
そうした社会背景を考慮し、マツダは日本市場では成功を収めたSKYACTIV-Dの北米導入について慎重な姿勢を示してきた。
とはいえ、マツダの世界戦略として北米市場の強化が最重要課題であり、「CX-30」がSUVラインアップに加わることも踏まえて、「CX-5」のさらなる販売増を見込み、満を持してディーゼルを北米に持ち込んだ。
こうしたチャレンジが行えるのは、ここ数年で北米法人(MNAO:マツダ・ノースアメリカ・オペレーションズ)が販売店の体制強化を進め、販売の地盤固めができてきたからにほかならない。マツダとしては、スバルが2010年代に北米市場で飛躍した光景を目の当たりにして、北米戦略を大きく見直してきたのだ。
だが、蓋を開けてみると、SKYACTIV-D 2.2搭載のCX-5販売実績は、日本でのディーゼル販売比率6割強という状態からはほど遠い販売が続き、さらにはコロナ禍に突入。そしてカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が2020年9月に表明した「2035年の新車ICE(内燃機関)発売禁止」がとどめを刺し、マツダとして北米市場での早期の戦法見直しを余儀なくされた。
北米では珍しいディーゼルエンジンを搭載することで車両商品性の向上を狙ったのであろうが、急速に進む電動化の波に飲み込まれてしまった格好での撤退となってしまった
北米市場で今後、gm(2021年から小文字表記)がプレミアムブランドとしてGMCハマーを皮切りに、EV専用プラットフォーム「アルティウム」について、ホンダとの協業を含めてEVシフトを加速させるなど、北米市場の主要カテゴリーであるSUVでさらなる電動化シフトが進む可能性が高い。
そうした中で、マツダとしては、マツダがラージ商品群と呼ぶラインアップでのディーゼルから電動化への商品変革が進みそうだ。
■欧州市場ではどう生き残るのか?
次に、欧州市場ついてだ。
マツダからは「欧州でマツダ6のディーゼル搭載モデルがラインアップから外れたことは事実。CX-5のディーゼル搭載モデルは販売を継続」との回答だ。
欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)が推進する欧州グリーンディール政策の影響で、これまで欧州市場で主流だった乗用ディーゼルが今後、一気に縮小する可能性が高い。
ディーゼルの本場であったはずの欧州市場でも、マツダ6のディーゼル搭載車の販売を終了。モデル末期である事情もあろうが、乗用ディーゼル単体での販売が難しくなってきている現実を痛切に感じる
例えば、2021年1月に中期経営計画「ルノルーション」を公開した仏ルノーの場合、
2020年時点では販売全体の4割弱を小型・中型・大型のディーゼルエンジンが占めていた状況が、2025年には対象を小型商用に絞り込んで全体の1割程度まで縮小するとした。
こうした社会変化の中で、マツダとしてはこれまでの販売実績からディーゼル搭載車の割振りを行ったといえるだろう。
このような欧米でのディーゼル搭載車縮小の流れは、マツダ全体に対して、そして日本市場に対して今後、どのような影響を及ぼすのか?
マツダからは「中期経営計画で公表した内容」に照らし合わせて、「次世代ディーゼルの開発を鋭意進めている」との回答だった。
この点について、2021年1月後半にオンラインで行った「MX-30 EVモデル」の商品説明会で、同席した執行役員・R&D管理・商品戦略・技術研究所担当の工藤秀俊氏は次のように話している。
「ディーゼルは高効率のCO2削減のポテンシャルがある。欧州の各種学会でも、ディーゼル技術進化に関する研究成果発表も多くあり、ドイツ大手各社もディーゼル研究開発に継続して投資することを表明している状況だ。マツダは今後、カーボンニュートラルに向けて、再生可能燃料を活用するディーゼルの改善や技術開発は継続する。ディーゼルは将来も残り得るパワートレーンであることをわかっていただきたい」
マツダの事業戦略は内燃化技術革新へのチャレンジだけではない。人間の感性に訴えるいいクルマ造りすべてに注力している。今後の展開にも要注目だ
マツダとしては、2017年に公表したZoom-Zoom宣言2030を基盤に、車両の部品の素材製作から車両使用後の廃棄まで、クルマの一生を考えるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を重要視する中で、世界各地のエネルギー事情を考慮したパワートレーンの選択を進める。 その中では当然、マイルドハイブリッドのe SKYACTIV-Dという選択肢もあると思う。今後のマツダの動きを注視していきたい。
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