夏休み&お盆休みに大渋滞必至の高速走行をどう乗り切るか
いよいよ8月の夏休み、お盆シーズンだ。長期休暇で避暑地にドライブしたり、帰郷する人も多いはず。しかし、例年、8月中旬の夏休み、お盆シーズンの高速道路は大渋滞がつきもの。深夜に移動すれば大渋滞を避けられるものの、目的地が実家や自己別荘ではない限り、ホテルのチェックイン時間は午後3時が基本で、飲食店も早朝には開いていないため、着いてからの時間を持て余してしまう。結局、大渋滞に巻き込まれるのを承知の時間帯に出発することになりがちだ。
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高速走行で運転のストレスを最小限にしてくれるのがACC
そんな高速道路の大渋滞で威力を発揮してくれるクルマの機能が、今では軽自動車にも採用されているACC=アダプティブクルーズコントロールである。旧来のただのクルーズコントロールとは違い、セットすればアクセル、ブレーキ操作なしに前車に追従走行し、前車が減速すればこちらも自動減速して一定の車感距離を保ってくれる先進運支援機能であり、レーンキープ機能との連携で、ある程度のカーブもハンドルに軽く手を添えているだけでカーブをトレースしてくれるのだから、高速道路での長時間運転の運転に関わる肉体的、精神的ストレスは最小限で済むことになる。
ACCは高速道路の渋滞時にも威力を発揮してくれる
とくにACCに渋滞追従機能が付いていれば、前車の完全停止に合わせてこちらも完全停止。前車が動き出せば、こちらも一定時間内(車種によって約3秒から3分)なら自動で再発進してくれることになる。停止保持時間を過ぎても、アクセルを軽くちょんと踏むだけで再発進、追従走行が可能になる、高速道路での渋滞時に実に有用な機能なのである。それを使う、駆使するか否かで、大渋滞を伴う移動のストレス、とくに右足のストレスは大幅に軽減されることになる。ちなみにファミリーミニバンとして大人気のMクラスボックス型ミニバンのACCの停止保持時間は様々で、日産セレナは約30秒。ホンダ・ステップワゴンは約3秒。トヨタ・ノア&ヴォクシーは約3分となっている。高速渋滞時の停止保持機能の有難みを感じやすいのはセレナとノア&ヴォクシーだろう。
日産セレナ ハイウェイスター
トヨタ・ヴォクシー
しかし、長年、ACCを使いこなしている人、筆者ならACCを躊躇なく使って高速走行、渋滞をより快適にストレスなくこなせるだろうが、わが家のカミサンのように、長年、クルマを運転していても、ACC未体験だと、いきなり高速道路でACCを使いこなすことは難しい。とくに前車との距離が縮まったときの自車の減速、停止に「本当に安全に減速し、止まってくれるんだろうか」という不安がつきまとうに違いない。そこで提案だが、今年の夏休み、お盆シーズンの運転を前に、一度、ACCを熟知した誰かを助手席に乗せ、練習がてら、高速走行を行い、ACCの作動に慣れておくと、本番でも不安なく使えるようになるかも知れない。もちろん、作動には限界があり、100%安心安全とは言えないものの、筆者の経験では、ほとんどの場面で大いに役立ってくれる機能と言っていい。
今では軽自動車にも高度なACCが用意されている
そんなACCも、前車追従、停止保持機能に加え、今では様々な機能がプラスされている車種もある。例えば、なんと軽自動車でありながら、先進的なACCを用意しているスズキ・スペーシアである。
スペーシアカスタム
スペーシアHYBRID X セーフティプラスパッケージ装着車、およびスペーシア カスタムに採用されている全車速追従機能・停止保持機能付ACCは高速道路で車間距離を保ちながら、自動的に加速・減速。さらに停止までサポートしてくれるだけでなく、カーブ速度抑制機能まで備わっているのだから先進的であり、驚きだ。その機能は、一般的なACCの弱点と言える、カーブに差し掛かっても設定した速度のまま突っ走ってしまうデメリット(速度調整スイッチを押して設定速度を10km/h単位で下げる裏技はあるが)を解消すべく、カメラがカーブを認識し、手前で減速し、カーブを曲がる際に適切な速度を維持してくれるというもの。カーブを過ぎれば、元の設定速度に戻るという仕組みである。さらにスペーシアのACCはウインカーと連動し、自動で加減速まで行ってくれて、スムーズな追い越し、合流をサポート。他車の割り込みなどで先行車と接近すれば、警報を発してくれるなど、その機能は軽自動車にしてかなり高度なものとなっているのだ。
スペーシアのACCスイッチ
スペーシアのACC作動メーター画面
一部車種ではハンズオフドライブや自動レーンチェンジも可能
日産車では高速道路での同一車線走行時に、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をサポートするシステムであるプロパイロット=ACCと言っていいのだが、比較的新しいナビリンク機能付きプロパイロット(1.5?)では、ナビゲーションの目的地設定とリンクし、制限速度が変わった時の設定速度の切り替えや、カーブの大きさに応じて減速をシステムが支援することで、ドライバーの操作頻度を軽減。日産の一部車種に搭載されているプロパイロット2.0では、3D高精度地図データ、準天頂衛星みちびきの信号の高精度衛星測位技術を活用し、360度センシングで、高速道路の全てのレーンの区分線情報と速度標識、案内標識などの情報が含まれるため、日産のTVCMでもおなじみのハンズオフドライブや自動レーンチェンジまで行ってくれるのだから、まさに半自動運転と言える高速走行を可能にしてくれるのだ。
プロパイロット2.0搭載の日産アリア
アリアのプロパイロットスイッチ
アリアでハンズオフドライブ中の筆者
高度なACCではカーブ前&料金所前減速制御も可能
同様に、スバルのアイサイトXも、全面的に進化した「新世代アイサイト」に「高度運転支援システム」を搭載したSUBARU最先端の安全テクノロジーで、GPSや準天頂衛星「みちびき」などからの情報と3D高精度地図データ(年4回更新予定)を組み合わせることで、自車位置を正確に把握。ステレオカメラやレーダーでは検知しきれない行く先々の複雑な道路情報まで認識。新次元の運転支援を実現してくれるのだ。一定の条件を満たした自動車専用道路において、かつてないほど安心で快適な安全運転をサポートし、クルマで移動することの歓びを限りなく広げてくれる先進運転支援機能なのである。渋滞時のハンズオフアシスト(約50km/h以下で作動)、ドライバーの操作なしでOKの渋滞時発進アシスト、カーブ前速度制御、料金所手前原作制御、自動レーンチェンジのアクティブレーンチェンジアシストなども含まれている。
スバル・レヴォーグ
レヴォーグの渋滞時ハンズオフドライブ
トヨタの先進運転支援機能であるトヨタセーフティセンス+アドバンストドライブ支援機能でも、ノア&ヴォクシーの例では約0~40km/hの速度域でのハンズオフドライブが可能となっている。
トヨタ・ヴォクシー
ACCを駆使して高速道路の大渋滞を乗り切ろう!!
それらの上位ACC装着車なら、暑さに加え、今年も予測される8月のお盆休みの高速道路の大渋滞も、より安全で快適に乗り切れること請け合いである。ただし、すでにACC未体験者のところでも説明したように、あらかじめの予習、操作体験は不可欠。いかに高度な運転支援機能を搭載したクルマでも、それをいきなり初体験で使いこなすのは、操作・設定方法、実作動を含め、難しいからである。もし、愛車にそうした運転支援機能が付いているのであれば、”本番”前にぜひとも機能を熟知し、予習し、大渋滞を乗り切ってほしい。渋滞追従機能だけでもその機能の有難みを心底、感じるに違いない。もちろん、SA/PAでの休憩、エアコンが効いた車内は乾燥しているので水分補給もまた不可欠。エアコンは内規循環のままだと車内の酸素が欠乏し、眠気を誘うため、適時、窓を開けたり、エアコンを外気導入モードにすることもお忘れなく!!
文/青山尚暉
写真/雪岡直樹
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