日産は2024年2024年12月、セレナ AUTECH SPORTS SPECとノート オーラ AUTECH SPORTS SPECという2台のカスタマイズモデルを発売しました。今回は後者の試乗レポートを交えつつ、その実力をご紹介していきます。
ニスモとは異なる方向性のスポーツスペック
日産直系のチューニングブランドというと、NISMO(ニスモ)がありますが、こちらはモータースポーツとGT-RニスモやフェアレディZニスモなどに代表される本格的なスポーツ走行も楽しめる速さと高揚感を味わえるロードゴーイングスポーツモデルを手掛けています。
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一方、今回ご紹介するオーテック スポーツスペックは確かに標準車と比べるとスポーツ志向ではあるのものの、上質さと爽快感を持つクルマ、わかりやすく言い換えるとニスモモデルよりもGTカー寄りに仕上げられています。ただし、どちらも日産直系のチューニングブランドとして、走る喜びや操る楽しさ、安心感という根本は同じです。
なお、以前はニスモとオーテックは別の会社でした。しかし、2022年4月に日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)として統合、現在はニスモ、オーテックともにNMCのブランドとして魅力的なクルマづくりに取り組んでいます。
まず、ノート オーラ AUTECH SPORTS SPEC(以下、オーラ スポーツスペック)のエクステリアをチェックしていきます。撮影用に用意された車両はひと言でいうとエレガントです。前後バンパーやボディ両サイドに追加されたロアスポイラーやクロームドットのドットのフロントグリル、専用デザインのアルミホイールもクローム調に仕上げられ、標準車との差別化を図っています。
ちなみに、スポイラー類は波打ち際で光る白波を、ドットのフロントグリルは界面のきらめきを、アルミホイールは水中に差し込む光の躍動感ときらめきを表現してます。これらは湘南の海をモチーフにしています。神奈川県茅ヶ崎市に本拠地を置くオーテックらしい演出です。
インテリアを見ると、トリムなどに青いステッチが施され、シートやシフトセレクター後方には「AUTECH」エンブレムが入ります。青いステッチやシート地は湘南の海を意識したものとのこと。このほか、基本デザインや操作系は標準車と共通となります。
▶▶▶次ページ:走りは思った以上に「オトナ」な味付け
走り出した直後に標準車との違いを実感できる
試乗会場は神奈川県横須賀市にある日産のテストコース「GRANDRIVE (グランドライブ)」です。そこに用意された試乗車のボディカラーは鮮やかなブルーでした。この色も湘南の海をイメージしているとのことです。まずは走行モードを「ECO」にセットして走り始めます。電動パワーステアリングのアシストマッピングを専用にチューニングした効果か、ステアリングフィールは標準車よりも適度に重く感じました。
試乗コースに出て加速していくと、想像していたよりも乗り心地はジェントルかつ快適です。カーブではロールは少なく安心して進んでいけると同時に曲がることが楽しいと感じます。道路の継ぎ目を再現したセクションでは大きな衝撃を車内に伝えることなくトントンといなしていきます。平坦路に入ると乗り味は滑空的といった表現がしっくりくる、とても落ち着いたものでした。
続いて高速走行セクションに入っていきます。ここではアクセルペダルを深く踏み込んでいきます。「ECOモードでの加速感は標準車と比べて少し強くなったかな、といったくらいで個人的にはそこまで強化されているようには感じられませんでした。ただし、同じセクションを「SPORT」モードにして走ると明らかに加速感が強くなったと感じました。ちなみに加速フィールに関しては力強さと伸びの良さとレスポンスを「ECO」「NORMAL」モードでは強化、「SPORT」モードではさらに強化したとのことです。
また100km/h程度でのレーンチェンジも試してみました。直進性が高くレーンチェンジ後にすぐに車体が安定性を取り戻す感覚で、車線変更後に姿勢を安定させるためにハンドルを操作するといったことは必要ありませんでした。
▶▶▶次ページ:パフォーマンスダンパーや専用サスを備える
どんなメニューを施して走りを磨いているのか?
こういった落ち着いた走りと軽快な動きはリアバンパーの裏に設置されたYAMAHA製パフォーマンスダンパーの効果といえます。実はNISMOモデルにも同じようなボディ強化策が施されているのですが、こちらにはダンパーではなく剛性を補うバーが採用されています。この場合、ダイレクト感や路面状況は運転者によく伝わるのですが、乗り心地は悪化する傾向にあります。これを嫌ってオーラ スポーツスペックには適度な伸縮性と剛性を併せ持つパフォーマンスダンパーが採用されているのです。
これ以外にも走りを磨くためのチューニングメニューは足まわりのセッティングや制御系プログラムの変更など多岐にわたります。下にそのレシピをまとめました。
オーテックによると、スポーツスペックはオーラ以外のモデルでもメインユーザーの年齢層は40代後半~50代前半を想定しているといいます。今回試乗したオーラ スポーツスペックは、スタイリシュでありながら落ち着いた内外装の設えや、スポーティさと快適性を両立した走りもこういったターゲット層にはマッチすると確信できるものでした。
価格に関しては車両本体価格(税込み)で見ればノート オーラの中ではもっとも高いモデルになりますが、下に示したチューニング内容や走りを考えればそれだけの価値はあると感じる人も多いはずです。
(写真:井上雅行)
■ノート オーラ オーテック スポーツスペック の変更点と専用装備
・専用の電動パワーステアリングのアシストマッピング
・各走行モードのアクセルレスポンスを変更
ECO→標準車のECOとNORMALの中間に変更
NORMAL→オーラ NISMOのECOとNORMALの中間に変更
SPORT→オーラ NISMOのNORMALとNISMOの中間に変更
・シャシ制御変更
VDC(ビークルダイナミクスコントロール)→専用仕様
・VCM(ビークルコントロースモジュール)→専用特性に変更
・タイヤをミシュラン e-Primacy(205/50R17)に変更
・フロントスプリングのバネレートを約30%アップ
・フロントバンプラバーを専用形状に変更
・フロントストラットの外筒厚をアップ、減衰特性を変更
・モノチューブリアショックアブソーバを採用し減衰特性を変更
・リアバンプラバーを専用形状に変更
・リアスプリングのバネレートを約40%アップ
・20mm低重心化
・YAMAHA製パフォーマンスダンパー
・大型ルーフスポイラー
・AUTECH SPORTS SPECエンブレム(リアおよびセンターコンソール)
■日産 ノートオーラ オーテック スポーツスペック 主要諸元
●全長×全幅×全高:4085×1735×1505mm
●ホイールベース:2580mm
●車両重量:1290kg
●モーター種類:交流同期電動機
●モーター最高出力:100kW(136ps)/3185-8500rpm
●モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)/0-3183rpm
●エンジン種類:直3DOHC(発電用)
●排気量:1198cc
●エンジン最高出力:60kW(82ps)/6000rpm
●エンジン最大トルク:103Nm(10.5kgm)/4800rpm
●燃料種類・タンク容量:レギュラー・36L
●駆動方式:FWD
●サスペンション形式 前/後:ストラット/トーションビーム
●ブレーキ 前/後:Vディスク/LTドラム
●タイヤサイズ:205/50 R17
●車両価格(税込み):319万8800円
[ アルバム : 日産 ノート オーラ スポーツスペック はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
もしMTで遊びたいのであればGRヤリスを選択すればいいと思っています。
オーラはエンジンで発電しモーターで走らせる車ですから、ミッションもありません。
アクセルワークで運転ができる、俗にワンペダル運転を楽しめばいい車だと思っています。
オーラ既に3年乗って車検も受けましたが、モーターのパワーと300NTというトルクは相当ですから、高速での追い越しや合流地点でも満足することができる伸びがあります。
オーラはコンパクトカーですから、それ以上を求めずとも十分に楽しめる車だと思っています。
先日渋滞のなかにK12マーチがいて結構長い時間眺めていられたのだけど、今の車と比べても遜色ないどころかむしろ上回るデザインだと思った。前後左右どこから見ても愛嬌があり、何かのマネでもなくオリジナリティが非常に高い。
日産も昔はこういうデザインが出来たのにいつからダメになったんだろうと、ふと考えてしまった。