現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 電気自動車に積む「リチウムイオン電池」には2種類がある! レアメタル不足問題を解決する「LFP」ってどんなバッテリー?

ここから本文です

電気自動車に積む「リチウムイオン電池」には2種類がある! レアメタル不足問題を解決する「LFP」ってどんなバッテリー?

掲載 66
電気自動車に積む「リチウムイオン電池」には2種類がある! レアメタル不足問題を解決する「LFP」ってどんなバッテリー?

中国ではLFPを積極採用

中国製の電気自動車(EV)が、ひとつの優位性を誇るのは、リン酸鉄を正極(+極)に使うリチウムイオンバッテリーだ。

中国のプレミアムEVブランドが満を持して日本進出を表明! 「Zeekr」とはいかなるブランドでどんな車種をもつのか?

現在、もっとも高性能なリチウムイオンバッテリーとして多くのEVが採用するのは、三元系と呼ばれ、ニッケル/コバルト/マンガン(NCM)を組み合わせた金属リチウムを+極に使う方式だ。一方で、世界的なEV普及の流れになると、ことにコバルトやニッケルは希少資源のため、奪い合いや価格高騰につながる懸念がある。

対するリン酸鉄は普遍的な資源であるため、価格競争力をもつとされ、中国のEV用バッテリーで積極採用している。同様に、米国のテスラも、一部の車種でリン酸鉄のリチウムイオンバッテリーをすでに使用している。

ただ、モノには何でも長所と短所がある。

リン酸鉄のリチウムイオンバッテリー(LFP)は、三元系に比べ容量が小さいとされる。したがって、航続距離を問うEVでは、一充電走行距離に不足を生じる懸念があった。

それを突破したのが、中国のBYDだ。ブレードバッテリーと呼び、1セルの電極の面積を細長く板状にして、より多くの面積を確保した。1セルが大きいことから、電極をつなぐ配線を減らせる構造になり、これも面積を稼ぐのに役立つ。あるいは、セルをモジュール化せず積層したり、バッテリーパックを車体と一体構造にしたりすることで、車載容量を増やす技術もある。こうして、三元系に迫る容量を確保した。

たとえばBYDの4ドアセダンであるシールの場合、82.56kWhのバッテリー容量から、後輪駆動車で640km(WLTC)の一充電走行距離を得ている。

ZEEKRからも新型バッテリー現る

同じく中国のZEEKRは、ゴールデンバッテリーと名付けたリン酸鉄のリチウムイオンバッテリーを車載する。日本にはまだ市場導入されておらず(2025年の予定という)、その詳細は不明だ。材料の若干の変更と、構造設計により、一般にリン酸鉄の体積利用率が約66%とされるところ、83.7%へ増大させたことで、2023年の広州モーターショーで公開された007では、100kWhのバッテリー搭載(後輪駆動のロングレンジ仕様)により、一充電走行距離で870km(中国のCLTC)を達成しているという。

車載バッテリーの写真を見ると、ブレードバッテリーと似た組付けだが、ブレードバッテリーのセルが左右のサイドシルをつなぐ長さがあるのに比べ、ゴールデンバッテリーは車体の中央で左右にセルが分かれているようだ。

ちなみに、テスラ・モデル3のアップグレード版(ハイランド)の最上級車種であるパフォーマンスは、78.4kWhのバッテリー容量で、日本のWLTCモードでの一充電走行距離は610kmである。

WLTCは、CLTCに比べその測定法の違いにより、エネルギー消費が25%以上低くなるとの報告がある。そこで、007の870kmという数字を換算すると、約652kmになる。モデル3の一充電走行距離に近く、それに比べバッテリー車載量は3割弱多いことがわかる。BYDのシールと比べれば、同等性能といえそうだ。

あとは、100kWhの大容量バッテリーを搭載しながら、車両価格をどこまで抑えられるかで、ゴールデンバッテリーの本当の実力が見えてくるのではないか。

資源の地域偏在性や原価のほかに、リン酸鉄バッテリーの利点として、充放電性能に優れたり、発火などの危険性の少なかったりがいわれている。とはいえ、リン酸鉄のバッテリーでも火災は起きているとの話もあり、いずれにしても、リチウムイオンバッテリーは、製造段階での厳密な品質管理と、使用段階での制御の緻密さ、そして温度管理の徹底などが、万全な安全対策につながるはずだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
AUTOCAR JAPAN
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
THE EV TIMES
【クルマだけではない水素社会を広げるために】ホンダCR-V e:FCEVから読み解くホンダの未来
【クルマだけではない水素社会を広げるために】ホンダCR-V e:FCEVから読み解くホンダの未来
AUTOCAR JAPAN
ホンダの新SUV「CR-V」にはエンジンがない!? “燃料電池で発電”モーターで駆動! 欠点さえ許容できれば「全方位的に魅力的」
ホンダの新SUV「CR-V」にはエンジンがない!? “燃料電池で発電”モーターで駆動! 欠点さえ許容できれば「全方位的に魅力的」
VAGUE
スペック上はポルシェ・タイカンターボもテスラ・モデルSも凌駕! シャオミSU7 Ultraは世界最強の4ドアEVとなるか?
スペック上はポルシェ・タイカンターボもテスラ・モデルSも凌駕! シャオミSU7 Ultraは世界最強の4ドアEVとなるか?
THE EV TIMES
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
ホンダ 全固体リチウムイオン電池のパイロット生産ラインを公開
Auto Prove
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
ホンダが全固体電池のパイロットラインを初公開。一連の生産工程を再現しながら徹底検証
Webモーターマガジン
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
THE EV TIMES
「EV時代の1リッターカー」メルセデスベンツ『CLA』新型、800Vシステム採用で超急速充電にも対応
「EV時代の1リッターカー」メルセデスベンツ『CLA』新型、800Vシステム採用で超急速充電にも対応
レスポンス
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
THE EV TIMES
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
THE EV TIMES
この手があったか! 水素エンジンをハイブリッド化した[ハイエース]がついにデビュー!?
この手があったか! 水素エンジンをハイブリッド化した[ハイエース]がついにデビュー!?
ベストカーWeb
メルセデスから新型EQS登場! さらなる装備の充実とバッテリー大型化でEV航続距離最長モデルへ進化
メルセデスから新型EQS登場! さらなる装備の充実とバッテリー大型化でEV航続距離最長モデルへ進化
THE EV TIMES
最大92人乗りの次世代電気バス『Enviro200EV』、英メーカーが2025年発売へ
最大92人乗りの次世代電気バス『Enviro200EV』、英メーカーが2025年発売へ
レスポンス
過酷なダカールラリーで排気量998ccの「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
過酷なダカールラリーで排気量998ccの「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表
THE EV TIMES
新時代のホンダ「モトコンポ」誕生か? “電気自動車への電力供給”&“ラストワンマイルの移動手段”を両立!? 北米での「見逃せない特許」とは?
新時代のホンダ「モトコンポ」誕生か? “電気自動車への電力供給”&“ラストワンマイルの移動手段”を両立!? 北米での「見逃せない特許」とは?
VAGUE
「ホンダの時代が来た」 CEOが語るEVの未来 世界で存在感を示せるか
「ホンダの時代が来た」 CEOが語るEVの未来 世界で存在感を示せるか
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

66件
  • 冥土インPRC
    >中国製の電気自動車(EV)が、ひとつの優位性を誇るのは、リン酸鉄を正極(+極)に使うリチウムイオンバッテリーだ。

    日本よ、中国のEVに不当な関税をかけたらレアメタルを売ってやらないぞ!
    とプーさんが脅迫してくるもんねえ。
    中国メディアのEV TIMESだから中国擁護アルなあ。
    日本の記事なんだから、中国の悪事をどんどん正確に記事にしたほうがいいアルよ。
  • sta********
    エネルギー密度、重量の問題は今時点で進んでいない。
    リン酸鉄は安全性は上がったが、それすら中国だと燃える。
    特に優位性は感じないな。
    全固体はエネルギー密度を上げることもノルマ課せられているから良いEV欲しい人はあと数年は待ちですね。
    EVは未来だとよく言ったもので、全固体が完成した未来ならEVはなんとかなる。
    今現在はHVが最適解。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.089.9万円

中古車を検索
Kの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.089.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村