現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 圧倒的販売力に助けられた!? トヨタじゃなければ売れなかった車たち

ここから本文です

圧倒的販売力に助けられた!? トヨタじゃなければ売れなかった車たち

掲載 更新 119
圧倒的販売力に助けられた!? トヨタじゃなければ売れなかった車たち

 2020年、トヨタは登録車の国内販売シェア51.1%を記録した。トヨタ一強の時代は続いており、全国に約5000ある地場資本を中心とした販売店(トヨタ・レクサス合算)と、圧倒的な従業員数が販売力を支え続けている。

 トヨタエンブレムを付け、世に送り出されるクルマは、素晴らしいものばかりだが、性能が高く、革新的なコンセプトだからと言って、全てのクルマが順当に売れるわけではない。なかには販売力に助けられたクルマも存在する。

カローラツーリングがコスパ最強なモデルである理由とは!?

 そこで本稿では、元トヨタ(レクサス)ディーラー営業マンの筆者が、トヨタの販売力がなければ売れなかったかもしれないクルマを紹介していく。

文/佐々木亘、写真/TOYOTA

【画像ギャラリー】営業マンのおかげ!? 販売力に助けられたトヨタ車をみる

■ライズ/ルーミー

ライズは2019年11月に販売開始されたコンパクトSUV。ボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm

 2020年の乗用車ブランド通称名別順位で、堂々の2位(12万6038台)に入ったライズ、そして6位(8万7242台)に入ったのがルーミーだ。どちらも、トヨタがダイハツからOEM供給を受けるクルマである。

 それぞれの兄弟車の成績を見てみよう。ライズ兄弟車であるロッキーは24位(3万1153台)、ルーミーの兄弟車であるトールは34位(1万9699台)だ。クルマとしての大きな差はないが、トヨタブランドから販売されているだけで、年間販売台数は約4倍にもなる。

 ライズとルーミーがここまで売れるのには、強固なトヨタの販売網と、穴のないトヨタのラインナップがあるからだろう。トヨタじゃなければ売れなかったとは言わないが、トヨタが売ったからこそ、爆発的なヒットにつながったクルマの筆頭格だと、筆者は思う。

■イプサム

2001年に登場した2代目イプサム。初代からサイズアップして3ナンバーに

 1996年に登場したイプサムは、2世代にわたり約13年のモデルライフを全うした。ミニバン市場が過熱化する中、圧倒的王者のオデッセイに対抗する、乗用車ベースのミドルサイズミニバンとして登場する。

 初代では「イプー」というマスコットキャラクター(今でいう「ゆるキャラ」)を採用し、ファミリー層を狙い撃ちにした。愛くるしいイプーを使ったテレビCMは、子供受けが良かったのを覚えている。

 2代目は高級志向へ変わり、シックで大人びた雰囲気をもつ。初代と2代目を合わせると、52万台以上を売り上げた。しかしながら、ミニバンブームの熱が冷めぬうちにと、突貫開発されたイプサムは、ライバルと比較すると能力的に劣る面も多い。

 親しみやすさを軸にしながら、あえて子育てファミリー層の多いカローラ店ではなく、トヨペット店とビスタ店で取り扱い、上級感を意識させたのは、販売戦略の一つと考えられる。イプサムのほかにも、トヨタ販売網でなければ、大失敗した可能性があるミニバンは意外と多い。

■SAI/レクサスHS250h

写真は2013年改良型のSAI。当時のトヨタのモデルラインナップのなかでは「クラウンハイブリッドとプリウスの間を埋めるモデル」というポジショニング

 2009年から8年間、トヨタのアッパーミドルクラスのセダンとして販売されていたのがSAIだ。プリウスに次いで2車種目のハイブリッド専用車であり、高級価格帯に位置するSAIは、トヨタ全チャネルで販売された。

 クラウンを代表格とするトヨタのセダンは、各チャネルに看板車種があり、他車種との共存が難しい存在である。しかし、SAIの販売台数は堅調に推移した。

 ただ、ユーザーから見ると、プリウスや他の有名セダンとの違いが明確に分からず、SAIを購入したいと販売店に訪れる客は数少ない。それでも、年間平均1万台強の販売台数を誇るのは、販売店の積極的な「紹介」があったからだ。

 トヨタの営業マンは、プリウスや自チャネルの看板セダンでは満足しない顧客に、こぞってSAIを紹介した。買ってもらえるとは思わなかったが、話題程度にと思ってセールスすると、意外なほどに契約に結び付く。筆者もSAIの雑談から、契約に至った体験を何度もしている。レクサスのHS250hも、提案や紹介からの契約が極めて多かったクルマだ。

 大きな話題にならず、強いCM訴求なども弱かったクルマだが、販売店の地道な活動で、販売台数を伸ばした。トヨタ(レクサス)販売店の提案力が際立つ一台である。

■マークX

2004年秋に送り出されたマークX。デビュー時はスポーツセダンのような軽快なハンドリングが話題になった

 スポーティな上級セダンだったマークIIの後継車として、2004年に登場したのがマークXだ。バブル経済を足がかりに大ヒットしたマークIIとは違い、時代はミニバン全盛期。セダンに注がれる視線は冷たかった。

 スポーツセダンとして、キャラクターを強め、硬派な印象を貫き通した。トヨタの代名詞であるハイブリットも搭載されず、2019年まで販売を続けられ、上級スポーツセダンとして、恥ずかしくない販売台数を挙げている。

 マークXは、チャネル販売体制をとるトヨタだからこそ生き残ったクルマだ。トヨペット店で、最上級スポーツセダンの地位を確立し、ブランド化されていたのが、売れ続けた理由だろう。

 販売車種が限定されていたチャネル体制だが、個性的なクルマや、限られた市場で高いニーズを誇るクルマが誕生しやすい販売体系でもある。

 現在、各チャネルの取り扱い車種は統一されたが、チャネルを分け専売化していたことで、売れ行きが良く、さまざまなクルマが生き残る土壌が作られていたことを忘れてないでほしい。

 ◆  ◆  ◆

 キャラクターが弱くとも、広告にインパクトが無くても、似たようなクルマが同一メーカーに存在しても、何とか売ろうと考えるのが、トヨタの販売現場だ。ここには、メーカーと販売店が完全に分離しているからこそ生み出される、緊張の糸がある。

 メーカーは良いと思えるものを作るし、販売店は作ってもらったもの良い形で売るだけだ。売れなければ、作り手のせいではなく、まず自分たちの売り方が悪いと考える。

 販売のトヨタは、日本各地の真面目なセールスマンが作り出した。もしかすると、良いクルマを作りよりも、彼らをもってしても売れないクルマを作るほうが、難しいことなのかもしれない。

【画像ギャラリー】営業マンのおかげ!? 販売力に助けられたトヨタ車をみる

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

約138万円! 全長4m以下のホンダ「超小型セダン」がカッコいい! MTもある「アメイズ」インドで爆売れ! どんなモデル?
約138万円! 全長4m以下のホンダ「超小型セダン」がカッコいい! MTもある「アメイズ」インドで爆売れ! どんなモデル?
くるまのニュース
キジマから GSX-8S/R用カスタムパーツ5アイテムが発売!
キジマから GSX-8S/R用カスタムパーツ5アイテムが発売!
バイクブロス
圧倒的加速の[GT-R]は価格も別格! そもそもターボの[定義]ってなに?
圧倒的加速の[GT-R]は価格も別格! そもそもターボの[定義]ってなに?
ベストカーWeb
「幻の最終戦」で悪い流れをどう断ち切る? 豪雨から快晴で劇的展開!! KONDOレーシング56号車はもてぎでどう走った?
「幻の最終戦」で悪い流れをどう断ち切る? 豪雨から快晴で劇的展開!! KONDOレーシング56号車はもてぎでどう走った?
ベストカーWeb
ストロール、フォーメーションラップでのコースオフはブレーキトラブル? しかしなぜかグラベルにハマる……クラック代表「予想外のこと」
ストロール、フォーメーションラップでのコースオフはブレーキトラブル? しかしなぜかグラベルにハマる……クラック代表「予想外のこと」
motorsport.com 日本版
高速のカーブが走りやすいのはアウトバーンゆずりの大発明のおかげ! 誰もが知らずに恩恵を受けている「クロソイド曲線」とは
高速のカーブが走りやすいのはアウトバーンゆずりの大発明のおかげ! 誰もが知らずに恩恵を受けている「クロソイド曲線」とは
WEB CARTOP
究極の『インテグラ・タイプS』爆誕か!? アキュラ「HRCプロトタイプ」公開へ…SEMAショー2024
究極の『インテグラ・タイプS』爆誕か!? アキュラ「HRCプロトタイプ」公開へ…SEMAショー2024
レスポンス
モロゾフがフォルクスワーゲンコラボ「Love Beetle」2025年バージョンを発表!食べも飾っても楽しめるバレンタインギフトだ
モロゾフがフォルクスワーゲンコラボ「Love Beetle」2025年バージョンを発表!食べも飾っても楽しめるバレンタインギフトだ
Webモーターマガジン
角田裕毅、序盤3番手走行も赤旗が不利に働き7位「走りには満足。結果に複雑な思いだが、入賞できたことは嬉しい」
角田裕毅、序盤3番手走行も赤旗が不利に働き7位「走りには満足。結果に複雑な思いだが、入賞できたことは嬉しい」
AUTOSPORT web
【MotoGP】ヤマハに復活の兆し? クアルタラロ、電子制御の改善を実感「パフォーマンスはずっと良くなった。良いステップだ」
【MotoGP】ヤマハに復活の兆し? クアルタラロ、電子制御の改善を実感「パフォーマンスはずっと良くなった。良いステップだ」
motorsport.com 日本版
2026年レギュレーション調整で“コンセプト違い”のマシンが生まれる? F1チームは歓迎
2026年レギュレーション調整で“コンセプト違い”のマシンが生まれる? F1チームは歓迎
motorsport.com 日本版
メリットなかった!? トヨタもホンダも「アイドリングストップ機能」廃止へ! 「使いにくい」の声も! どんな反響があった?
メリットなかった!? トヨタもホンダも「アイドリングストップ機能」廃止へ! 「使いにくい」の声も! どんな反響があった?
くるまのニュース
欧州ではすでに新型が登場! アドベンチャー大型スクーターの大ヒットモデル ホンダ「X-ADV」はどう変わる?
欧州ではすでに新型が登場! アドベンチャー大型スクーターの大ヒットモデル ホンダ「X-ADV」はどう変わる?
VAGUE
コンセプトはGo Ahead! トムスが40系『ヴェルファイア』用「スタイリングパーツセット」を発売
コンセプトはGo Ahead! トムスが40系『ヴェルファイア』用「スタイリングパーツセット」を発売
レスポンス
ハミルトン、低調メルセデスF1での残り3戦はヤケクソ? フェラーリ移籍を前に「今はクリスマスを楽しみにしている」
ハミルトン、低調メルセデスF1での残り3戦はヤケクソ? フェラーリ移籍を前に「今はクリスマスを楽しみにしている」
motorsport.com 日本版
[自動車ディーラー]が運営母体? [神戸マツダ]が整備専門学校を開校へ
[自動車ディーラー]が運営母体? [神戸マツダ]が整備専門学校を開校へ
ベストカーWeb
13年放置のホンダ「ライフ ステップバン」を仲間とともにレストア…現代風にアレンジしたおしゃれなカスタムメニューを紹介します
13年放置のホンダ「ライフ ステップバン」を仲間とともにレストア…現代風にアレンジしたおしゃれなカスタムメニューを紹介します
Auto Messe Web
「カワサキ プラザ横浜戸塚」がリニューアルオープン!楽しいモーターサイクルライフをサポート!  
「カワサキ プラザ横浜戸塚」がリニューアルオープン!楽しいモーターサイクルライフをサポート!  
モーサイ

みんなのコメント

119件
  • トヨタで無ければ売れなかった、、、沢山有りますね。
     逆に言えばトヨタだから間違いない、賢い買い物と思わせる実績の賜物。
  • トヨタでも売れなかったキャバリエ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

155.7192.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

46.5285.0万円

中古車を検索
ルーミーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

155.7192.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

46.5285.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村