現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > [ハスラー]が新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは

ここから本文です

[ハスラー]が新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは

掲載 3
[ハスラー]が新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは

 2024年1~7月の軽自動車届け台数を見ると1位のN-BOX、2位のスペーシアに続いて、なんと3位にハスラーが食い込んでいる。ハスラーは2020年1月のデビューだから4年半も経っているのにいまだ売れ続けているということになる。なぜこれほど売れているのか、その秘密に迫る!

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb、スズキ

[ハスラー]が新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは

■ハスラーが登場4年半でも売れている3つの理由

2024年5月24日に設定された特別仕様車のタフワイルド。専用フロントグリルやメッキバンパーガーニッシュ、タフワイルドエンブレムやブラックメタリックの15インチアルミホイール、ルーフレールなどを採用

 2024年1~7月の1か月平均届け出台数は1万6740台だった。軽自動車で販売2位のスズキスペーシアも、スーパーハイトワゴンに含まれ、2024年1~7月の1か月平均届け出台数は1万3920台だ。

 注目されるのは3位で、スーパーハイトワゴンではないスズキハスラーであった。1か月平均は8069台だ。なぜハスラーが3位に入ったのか。

 スーパーハイトワゴンの代表車種は、最近は国内販売総合1位をキープしているN-BOXになる。2024年1~7月の1か月平均届け出台数は1万6740台だった。軽自動車で販売2位のスズキスペーシアも、スーパーハイトワゴンに含まれ、2024年1~7月の1か月平均届け出台数は1万3920台だ。

 注目されるのは3位で、スーパーハイトワゴンではないスズキハスラーであった。1か月平均は8069台だ。なぜハスラーが3位に入ったのか。

 この背景には3つの理由がある。

 1つ目は2024年5月24日に行われたハスラータフワイルドの追加と、大がかりな改良を受けたことで魅力がさらに増したことだ。

 タフワイルドはエクステリアに専用フロントグリルやメッキバンパーガーニッシュ、タフワイルドエンブレムやブラックメタリックの15インチアルミホイール、ルーフレールなどを採用し、タフで存在感のあるデザインに仕上げている。

 インテリアは、撥水加工を施したファブリックシート表皮やドアトリムクロス、マットカーキを基調とした専用のインテリアカラーを採用し、エクステリアデザインと合わせて、アクティブな印象を持たせている。

ハスラーハイブリッドX。アクティブイエローガンメタリック2トーン

 改良の内容は機能、装備面ではLEDヘッドランプを全車標準装備としたほか、ハイブリッドX、ハイブリッドXターボに「ナノイーX」を搭載したフルオートエアコンや360°プレミアムUV&IRカットガラス、シートバックアッパーポケットなどを採用し、快適装備を充実させた。

 さらに全車コネクテッドサービス「スズキコネクト」にも対応。またハイブリッドX、ハイブリッドXターボは、エクステリアにHUSTLERアルファベットエンブレムやメッキフォグランプガーニッシュ、メッキドアハンドルを採用している。

 デザイン面ではハイブリッドX、ハイブリッドXターボは、HUSTLERアルファベットエンブレムやメッキフォグランプガーニッシュ、メッキドアハンドルを新たに装備。

 インテリアでは、グレー基調のレザー調&ファブリックシート表皮やレザー調ドアトリムクロス、ブラックパールのインパネカラーガーニッシュやドアトリムカラーガーニッシュなどを採用し、より質感を高めた。

2024年5月の改良でグレー基調のレザー調&ファブリックシート表皮やレザー調ドアトリムクロス、ブラックパールのインパネカラーガーニッシュやドアトリムカラーガーニッシュなどを採用

 2つ目はダイハツタントの出荷停止だ。タントはダイハツの認証不正問題の影響で、2023年12月に出荷停止に踏み切った。その後、2024年3月下旬まで出荷を止めていたから、2024年1~7月の届け出台数は激減した。その結果、タントが後退してハスラーが3位に浮上している。

 3つ目の理由は、ハスラーがユーザーから高い評価を得ていることだ。それはハスラーの売れ方を見ると分かる。現行ハスラーは2020年1月に納車を開始したから、一般的には最も売れ行きが伸びるのは2020年だ。

 ところがハスラーの届け出台数は、2021年にも対前年比が3%増えて、2022年は約15%下がったが、2023年は再び18%増加している。

 さらに2024年1~7月は33%の上乗せに達した。発売された2020年の1か月平均届け出台数は6676台だったが、約4年を経過した2024年1~7月は、8069台に増えているのだ。2020年にコロナ禍があったものの、この増え方は大きい。

■販売店に人気の理由を聞いてみた

3つのフレームが並んだように見えるインパネのデザインは、インテリアに明るい雰囲気を与えている

 なぜハスラーは、フルモデルチェンジをせずに、売れ行きを4年前の1.2倍に増やせたのか。販売店には、どのようなユーザーがハスラーを買っているのかを聞いてみた。

 「ハスラーでは、先代型からの乗り替えが一番多いです。次にスズキワゴンRからのお客様も目立ちます。他社の製品では、ダイハツムーヴとか、コンパクトカーからのダウンサイジングもあります。最近はSUVが人気のカテゴリーになり、ハスラーが今まで以上に注目されています」。

 先代ハスラーは2014年に発売されて人気車になった。先代型も1か月平均で5500~8000台が届け出されて保有台数も多い。先代ハスラーを気に入ったユーザーが、2代目の現行型に乗り替えて、売れ行きを増やしている。

 販売店はワゴンRからの乗り替えも指摘した。ワゴンRはスズキの主力車種で、従来型は、おおむね5年ごとにフルモデルチェンジを行っていた。それが現行ワゴンRは、2017年に発売されて以来、フルモデルチェンジを実施していない。

 そうなると5年ごとにワゴンRを乗り替えてきたユーザーが2018年に現行型を購入した場合、2023年に乗り替え時期を迎えた。この時に同じワゴンRを2台続けて乗りたくないと考えれば、2020年1月から納車を開始した設計の新しいハスラーが有力候補になるわけだ。

 ワゴンRとハスラーでは、車両の機能が異なるように思えるが、実際には共通点も多い。ハスラーのプラットフォームは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値を含めてワゴンRと共通だ。

ハスラータフワイルド。ボディカラーはオフブルーメタリック ブラック2トーン

 全高もワゴンRが1650mm、ハスラーは1680mmだ。ハスラーはSUV風の車種とあって、ワゴンRに比べると最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)が30mm高いから、全高にも30mmの差が生じた。つまり室内高はほぼ同じだ。

 このほか前後席の床から座面までの高さ、前後席に座る乗員同士の間隔、シートアレンジの種類なども等しいため、ワゴンRのユーザーがハスラーに乗り替えても違和感が生じにくい。つまりSUVのスタイルで、ワゴンRの優れた実用性を備えることも、ハスラーの大切な魅力だ。

■ワゴンRやムーヴの新型が出ないというのも

カーキベージュ内装

 販売店では、ワゴンRのライバル車になるムーヴの車名も挙げていた。2014年に登場して、2023年に販売を終えている。その一方で新型ムーヴは、予約受注を2023年5月に開始しながら、認証不正問題が発覚して発売が先送りになった。

 この新型ムーヴは未だに発売されておらず、2024年の末から2025年の初頭に登場すると思われるが、正確な日程は分からない。したがって現行ムーヴのユーザーも、発売から10年以上を経て新車の乗り替えに困っており、ハスラーを購入した場合もある。

 このようにワゴンRやムーヴの設計が古くなった今、全高が1700mmを超えるボディやスライドドアが不要なユーザーは、購入すべき車種を見つけにくい。その時に、設計の古さを感じさせないSUV風のハスラーが格好の選択肢になっている。

 ちなみにハスラー、ワゴンR、ムーヴなどと同様、全高が1700mm以下でスライドドアを装着しない軽自動車には、日産デイズやホンダN-WGNもあるが、個性がいまひとつ弱い。

2024年3月29日、認証不正による生産、出荷停止を解除されたタフト(右)

 SUV風のダイハツタフトは、ハスラーにとって一番のライバル車だが、後席や荷室などのアレンジはシンプルだ。その代わりガラスルーフのスカイフィールトップや電動パーキングブレーキが全車に標準装着されるが、これらのニーズはユーザーによって異なる。2024年1~7月の1か月平均届け出台数も、タフトは1924台に留まってハスラーの24%だ。

 以上のようにハスラーは、全高が1700mm以下でスライドドアを装着しない軽自動車のニーズを一手に引き受けて、売れ行きを増やした。その理由として、低価格グレードの工夫も挙げられる。ハスラーで最も安価なハイブリッドG 2WDの価格は151万8000円で、ホイールはアルミではなくスチールだ。

 しかしスチールホイールにも2種類のペイントが用意され、ボディカラーがオレンジやオフブルーの2トーンでは、ホイールが明るいソフトベージュになる。ほかにブラックのスチールホイールもあり、安価なグレードの内外装も、丸型ヘッドランプとの相乗効果によってオシャレで洗練されている。

 今は個性的な軽自動車といえば、スペーシアカスタムのような精悍なフロントマスクとエアロパーツを装着した車種が中心だが、ハスラーは異なる世界観によって共感を得た。ホンダフリードのエアーなども含めて、穏やかで明るい雰囲気のクルマが人気を高める時代になってきた。

【画像ギャラリー】[ハスラー]の売れ行きが新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは(7枚)

投稿 [ハスラー]が新車発売後4年半も経っているのに売れ続けている理由とは は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
くるまのニュース
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
バイクのニュース
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
レスポンス
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
レスポンス
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
VAGUE
 専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
くるまのニュース
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
WEB CARTOP
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
モーサイ
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
motorsport.com 日本版
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
AutoBild Japan
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
くるまのニュース
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
レスポンス
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
VAGUE
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ベストカーWeb
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース

みんなのコメント

3件
  • こうりん
    同じスズキのクロスビーと共に、
    かわいい顔して、意外にタフ!
    そこが頼もしい。
  • pon********
    愛嬌あるフェイスに古い表現になるけど「小股の切れ上がった感」「小鹿感」が嫌味のない若さを感じさせるんだよね。全体のバランスもいんだろうけど、初代・二代ともあのリヤバンパーの造形を考えたデザイナーに感動。後ろ走ってるだけで「軽快イメージ」が伝わってくる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

151.8197.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0287.0万円

中古車を検索
ハスラーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

151.8197.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0287.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村